いろんな権利を売る屋さん
ツッコミ「どうもー」
ボケ「どうもー。僕ね、最近何か店でも開きたいなと思いまして」
ツッコミ「ほう、ラーメン屋とか?」
ボケ「あー、惜しい」
ツッコミ「惜しいんだ。で、どんなお店を出したいの?」
ボケ「色んな権利を売る屋さん」
ツッコミ「全然惜しくないじゃないですか。っていうか何ですかそれ?」
ボケ「まあものは試しにちょっと来店してみてよ。へいらっしゃい!」
ツッコミ「……なんかラーメン屋みたいだな、どうも」
ボケ「ご注文はラーメンですね?」
ツッコミ「ラーメン屋じゃねえか。おすすめのメニューは?」
ボケ「今日のおすすめはこれですね。『僕にラーメンを食べさせる権利』」
ツッコミ「な、何です?」(聞き返す)
ボケ「だから僕にラーメンを食べさせる権利。貴方がこれを注文すると、僕が美味しそうにラーメンを食べます。買います?」
ツッコミ「買わないですよ! 何が楽しいのそれ!」
ボケ「楽しいですよ! 僕ラーメン好きですし」
ツッコミ「貴方が楽しいだけじゃないですか! お金もらってラーメンも食べて! 僕に何もメリットが無いじゃないですか! 他に良いメニュー無いんですか?」
ボケ「そうですね。他には僕のために割り箸を割る権利とか」
ツッコミ「何それ!?」
ボケ「あなたが割り箸割ってくれるとを、僕が美味しそうに割り箸を食べます」
ツッコミ「割り箸を食べるの!? お腹壊すよ!」
ボケ「人はなぜ割り箸を割るのか……」
ツッコミ「何で急に哲学的なこと言ってるの! 少なくとも食べるためじゃないよ!」
ボケ「後、スープを仕込む権利とか、麺の買い出しにいく権利とか、床を掃除する権利とか」
ツッコミ「なんで本格的にラーメン屋経営させようとしてるの」
ボケ「それらを買うと、僕が割り箸を食べるのを止めます」
ツッコミ「買わなくてもやめなよ! 何の苦行だよ! もっとこう、ラーメンと関係なくて、僕が得するメニューはありませんか?」
ボケ「ありますよ。このCDなんてどうでしょう」
ツッコミ「へえ、どんな曲が入ってるんですか?」
ボケ「僕がひたすらラーメンをすする音です」
ツッコミ「要らんわ!!どういう情緒の時に他人がラーメンすする音を聞きたくなるんだよ!」
ボケ「ちなみに二枚組になっていて、もう一枚で僕がラーメンを鼻ですすりながらお経を唱えています」
ツッコミ「びっくり人間か! それどういう精神状態でレコーディングしてたんだよ!!」
ボケ「今流行りのASMRじゃないですか」
ツッコミ「そんなもん聞いてたら自律神経ぶっ壊れるわ!! もういいよ。他にメリットのある権利はないの?」
ボケ「これなんてどうです? 『僕にマッサージする権利』」
ツッコミ「えっと、それでこっちにはどういうメリットが?」
ボケ「僕にマッサージをすると、さっきのラーメンをすするCDが一枚付いてきます」
ツッコミ「在庫処理してんじゃねえ!!」
ボケ「後、『これを買うと僕が歯を磨く権利』とか」
ツッコミ「買われなくても磨けよ! 何だその、馬鹿か!!」
ボケ「貴方が買ってくれないと僕虫歯になりますよ?」
ツッコミ「知らんわ!」
ボケ「後、『僕のムダ毛を笑顔で抜く権利』」
ツッコミ「それもいらねえ! 何が楽しくて笑いながら男の体毛を毟らないといけないんだよ!!それもう放送事故だよ!!」
ボケ「これを買わないと僕が毛むくじゃらになりますよ」
ツッコミ「羊かお前は!」
ボケ「いや僕山羊座です」
ツッコミ「眉毛むしり取るぞ!!!!」
ボケ「後、これおすすめなんですけど」
ツッコミ「何ですか?」
ボケ「『僕が貴方のことを考える権利』」
ツッコミ「いらねえ! 『そのへんの草を食べる権利』よりずっといらねえ!!」
ボケ「でもこれを買えば、僕がこれから死ぬ瞬間までずーっと貴方のことを考え続けますよ」
ツッコミ「いや怖いよ! それ人を呪い殺す奴のメンタリティじゃねえか!!」
ボケ「後、僕に服を着させる権利」
ツッコミ「待って今まで何も着てなかったの!?」
ボケ「ちなみに100万円です」
ツッコミ「値下げしろよ春なんだから! スプリングセールしろ!」
ボケ「後、僕に呼吸をさせる権利」
ツッコミ「なくてもしろよ!」
ボケ「いやこれ買ってくれないと僕呼吸出来ないんです」
ツッコミ「何その謎システム!? か、買ってあげえるから! いくら!?」
ボケ「1億円です」
ツッコミ「呼吸する気無いだろお前!!」
ボケ「後、『これらの権利をトラックに乗って宣伝する権利』」
ツッコミ「トラックが可愛そうだろ!!」
ボケ「もちろん外に向けて僕がラーメンを啜りながらお経を唱える音を流します」
ツッコミ「葬式か!!」
ボケ「最後に、僕を人間に戻す権利」
ツッコミ「お前何だったんだよ!! もういいよ」




