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初めてできたお友達

だから咄嗟に出た手はとめないことにした。


「い!い!え!そんな色ごときで恐れたりわしませんわ!!」


パァンと男の子顔の頬を手で挟み、目を覗きこみ話すと男の子の目は大きく見開かれた。


「だいたい、魔力は神様がくれたプレゼントなんですから、どの魔力を持って産まれてくるかなんて完全な運。

産まれてくる本人に決められない以上どれが良くてどれが悪いなんてそもそもありませんわ!くだらない。」


ここまでノンブレス。

よく言いきったと己を褒めつつも、「く、くだらない……」とぽかんとしている男の子の頬から手を離し、私は続けた。


「…ええ。とてもくだらないですわ。

結局はどの魔力であっても使いようですもの。

だからこそ、持ち主である自分自身に1番自信を持ってあげませんと、他人に自身の評価を委ねていては何にも成長しませんわ。


それと、私にとって魔力というものは、その人を判断する上でのオマケでしかないですし、友達になろうにも大切なのはその人の心と仲良くなれるかですもの。魔力は関係ないですわ」


そう、他人に自身の評価を

委ねていては何にも成長しない。


これは何より自分がこの世界に来て一番痛感していることだった。エトランゼ家の人間、アクエリアスの加護を持つ人間、周りからそうやって付けられた評価を鵜呑みにしていては、それがどんなものであれ重荷になっていき、やがて自分を見失ってしまう。


「(この少年は私と少し似てるのかもしれないわね……友達がいないところとか……)」


だからだろうか。


「……俺には心を見てくれる人なんて1人もいないよ」


無表情か顔をしてそういった彼に思わず、


「ここに1人はいるじゃないですか」


そう言って頬から手を離し、自分の胸を叩いてしまった。

その言葉に少年はなおさら目を見開いて


「君が…?友達に?」


と不思議なものを見る目でそういった。


「ええ??そんなに不思議なことをいいまし……」


ふと、我に返った。

友達になろうと思わずポロッといったけど、確かに素性も知らない初対面の人間と友達になろう!は…だいぶ不思議と言うより変かもしれない。


「……たわね。たしかにまだお互いをよく知りませんものね、さすがにまだ友達には」


まだ早すぎましたわねと続けようとしたが


「…え?…友達になってはくれないの?「いいえ!!なりましょう!!!友達に!!!!だからその捨てられた子犬のような目はやめてくださいませ!」


「…っははは」


小首を傾げ、目をうるませた姿に私の心は秒速で折れた。

美形パワー恐るまじ。

それにしても、


「やっと笑いましたわね」


作り物のような顔が崩れ少年らしく声を上げて笑う姿に、私は初めてこの少年が年相応にみえた気がした。


「…友達記念に自己紹介でもしましょうか。

私の名前はルイ。貴方は?」


「ノア」


「いい名前ですわね。よろしくお願いしますわ、ノア。」


それから他愛もない話しをポツポツとだけした。

好きな食べ物、好きな色から、最近庭で子猫が生まれた話。

友達なら敬語もいらないね、なんて会話を十数年ぶりにしたりして。

全然なんて事ない話ばかりだったが、


この世界でできた初めての友達と過ごす時間は私とってもたのしかった。




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