ティータイム
奪ったティーカップの中身を暖かいものに入れ直してから、ノアへ渡す。
ごきげんな表情で紅茶に口を付けるのを尻目に、私はよろよろと席に着いた。
…目の前に置いてあるフルーツタルトが、私に元気出して。と励ましている気がした。
「…我慢しようと思ってたけど、もうケーキたべることにするよ」
「我慢?どうして?」
「…体重が増えて訓練に支障だすわけにいかないから。」
それに体が女性らしくなることは極力避けたい。
甘いものは好きだが、命を懸けるほどではない。体がある程度大きくなるまでは控えなければ。
「…??筋肉が増えるならよくない?」
心底不思議そうなノアの目が刺さる。
そうだよね、食べたら割と筋肉になるよね。男の子だもん。
「…僕は太りやすいの。
でも今日は食べることにした!せっかくノアがきてくれてるし、おいしい気持ちは共有しないと。」
そう言ってきらきらと輝くフルーツタルトをお行儀よく一口食べる。
色とりどりのフルーツと、控えめなカスタードが口いっぱいに広がった。
「ん~~やっぱり美味しい!!ほら、ノアも。嫌いじゃなかったら食べてみて!」
「…僕もいただこうかな」
私をみて、クスリと笑うと、ノアも目の前に置かれたフルーツタルトを口にした。
「どう?どう?」
「うん、おいしい」
初対面の時には想像もできなかった、花がほころぶように笑うノアをみて、私もうれしくなった。
「よかった。あ、そうだ。ケーキを食べ終わったらまた、練習に付き合ってほしいんだ。
今度はケガさせるんじゃなくて、…手紙でも言った、兎にしない練習。」
「…うん。もちろん。熊にしないでね」
「しない…ように頑張ります…」
情けない返事を返し、ティータイムを終え、部屋の外に出る。
「じゃ、お庭にご案内する。僕についてきて」
ここにきてすっかり慣れた、たくさんの木々に囲まれた庭が迎えてくれた。
背の高い木々に覆われた庭は外から基本見えないようになっており、魔法の練習をしても見えることはない。
「よし!やるぞ!」
大きく意気込んで、練習を始める。
ローズ先生の練習同様、壊れたもの直す内容だ。
壊れた器のまえで意気込む私を、ノアは見守ることにしたのか、近くの木陰で持ってきた本を開いてすわった。
「(さっきの応用を効かせるなら、このガラスも何を、どうやって、直すのか。しっかり考えてやるべきね。コーチがいるうちに掴んでおきたいわ。)」
”どうやって直すのか”
今までは壊れたものをもとの形にもどすイメージで魔力をながしていたが、
今度は元の形を想像するというよりは、割れた断面をつなぎ合わせるイメージでやってみる。
「(一個一個をつなぎ合わせるイメージで…)ってあれ?…できた。」
いつもより時間はかかったものの、
何度やっても修復できなかった、イメージもわかなかったはずの壺が、元の形にもどっていた。
「もしかして…僕って…天才?」
「覚えが早いとは思うけど、その言葉は百発百中になってからだね」
「…うぅ、おっしゃるとおり」
「…ほら、頑張って」




