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蛇口と水

アクエリアスとレムに挨拶を済ませたあの日から、

基礎訓練に加えて、待ちに待った本格的な魔力訓練が加わることになった。


「(私、ルイが魔法を使うシーンが一番好きだったのよね…!)」


ラブマジは魔法系の乙女ゲームなだけあって魔法を使うシーンのスチルは非常に美しく描かれている。

……初めてプレイしたルイの美しさに時は思わず拍手したんだっけ。


バリバリのお嬢様ボディーだったこともあり、多少慣れてきたものの基礎訓練は、まだまだきつい。

が、魔力を使うことに関してはちょっぴり期待があった。


魔力覚醒してから数日だが精霊2人に会えたことと、

なによりラブマジ内でエトランゼ家の秀才と言われたルイの身体だから、魔力操作も多少何とかなると思っていた。


……思っていたのだけれども。


グラスの縁ギリギリまで水の魔力を使い水を注ぐ訓練では


パリーン!!!


「あ、」


グラスの許容量オーバーの量と圧力で水をそそぎグラスを粉々にしてしまい


欠片を集めて光の魔力でグラスを元に戻す訓練では


「…うーん兎になった…」


何やら元のグラスとは違うものが出来上がってしまった。


要するに


「む、難しい…!」


全然何とかなっていなかったのである。


「一旦やめましょ!」


ガラスでできたウサギを見て途方にくれる私に対して、ここ数日何も言わずに見守っていたローズ先生からストップが入った。


「まあ…やっぱりそうなるわよねぇ…」


「うっ…」


そう、確かに素材は超一級品のルイの魔力だ。

身体に流れる魔力を意図的に使うということはやっと掴んできたが、中身は現代日本で育った私だ。

感覚として馴染みのないもののため、エリートとは程遠いヘボヘボスタートになることとなった。


「って、ローズ先生予想ついてたんですか?」


エトランゼ家の秀才(になれる予定だった)がヘボヘボなのがバレていたとなると肩身が狭いものがあるのだけれど…


「まあ。多少はね。ルイおぼっちゃまの場合はちょっと特殊だから。

ということで、ルイおぼっちゃまは普通のやり方と逆のことをしてもらうわぁ」


「普通と逆、ですか?」


ヘボヘボがバレてる訳では無いようで良かった。


「そうよぉ。

この数日やってた訓練は、普通のやり方の訓練。

普通は魔力量に応じた精霊が現れて、決まった魔力量を最大限引き出せるように、小さいことからやれることを増やしていくものよ。

でも、対象に対しての流れる魔力が多すぎるから今みたいになってるわ。

だからルイおぼっちゃまの場合はその逆。

急に覚醒した多すぎる魔力を小さい型に収まるように出力を調整して行かないといけないのよぉ。」


そういうとローズ先生はパチンと指を鳴らすと目の前に大人の人間くらいはある土の器があらわれた。


「というわけで、大きい器からやってきましょ。

魔力をそのままぶつけるみたいに"出す"んじゃなくて意図的に形や量を変えて"使う"にしていきなさい」


「…使う。」


確かにローズ先生の言う通り私は魔力を使うと言うよりは、「魔力よ、でろー!」という勢いで出していた。


しかし"使う"となれば話が変わってくる。


「(うーん、形や量を調節するもの……量を調節………


…はっ!!!蛇口!!)」


深呼吸をひとつして、身体に流れる魔力が水になるイメージをする。

ここまではもう慣れた。後は、


「(多すぎる水を…蛇口でしぼる…!!)」


大量に流れていこうとする魔力を絞るイメージでなんとか塞き止めつつ、器の上に水を出していく


ザーーッ


「………で、できた?」


ふちギリギリまで入れられた今にもこぼれそうな器がそこにはあった。


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