寝起きとローズ先生
そして体力…と言うより魔力のの限界に達した私はというと、抱きとめられたまま、ローズ先生の逞しい腕の中で眠ってしまったようで、
次に目が覚めたのは自室のベットだった。
「…んん……あ、あれ?どのくらい眠って…?」
「……そうね、半日くらいかしら。」
聞こえた声に気だるい身体を起こすとちょうどベットサイドで優雅にお茶をしていたローズ先生がティーカップを置いていたところだった。
「そんなに…」
「全く、最初から飛ばしたらこうもなるわよ!」
とデコピンをされた。
たしかに前回覚醒時よりは、精霊を呼んでいる状態で立っていられる時間も長く目が覚めるのが早かったものの、こう何度も倒れるようではいざという時にちっとも役に立たない。
「……不甲斐ないです」
「…えっ!ちょっとそういう意味で言ったんじゃないわ……!!
…あぁもう!そんな顔しないでちょうだい!!
今は魔力の制限が出来てないからそんなに消費しなくてもいい事に大量消費してしまってるだけよ。
もう少し身体が魔力に馴染んでくれば、成長と共に安定してくるもの。よって坊ちゃんのせいではないのよ。」
誰でも通る道よとポンポン撫でられる頭に、はいと返事をし頷くと、ローズ先生は続けて、「むしろ最高位二体の同時召喚なんて痺れたわ」と目を輝かせウインクをした。
「…あまりに毎度倒れるせいで、僕せいでこうなったのかと思っていたんですけど、確かに馴染んでないものをフルで使ってしまったら…こうもなりますか…」
「そうそう。その証拠にいま間だ起きられるほどの力しかないでしょう~?」
「うっ、おっしゃる通りです」
「素直でよろしい。今日はゆっくり休んでまた明日から修行しましょ!」
「…はい!よろしくお願いします!」
「もちろんよ!
……そうと決まったら、とっとと寝る寝る!」
ローズ先生が私の体をポスッとベットへ戻し、瞼に手を置くとひんやりしたその感覚に不思議とすぐに眠気がやってきた。
霞んでいく意識の中、
「お休みルイお坊ちゃま。」
優しい声が聞こえた気がした。
・:*+.サイド ローズ先生・:*+.
ノームの加護を受けるものとして20年
教職業をしていた学園を一時休職してバカンスに勤しんでいた時だった。
「はあ?!…愛し子の我が子を預かって欲しい!?」
「ああ。」
旧友のエトランゼに呼び出されて何かとしぶしぶ王都へおもむくと、突拍子もないお願いをされた。
愛し子自体はたしかに珍しいが、学者でもある自分からすればそう珍しくもない生き物だ。だが……
「ちょっと、冗談でしょ!
大体あなたの子供で魔力が覚醒していないのってルイお嬢ちゃんだけだったじゃない!」
「………ああ、そうだ。」
「…ああそうだって…ちょっと…エトランゼ、本気でいってるの…?」
「…ルイは、紛れもなく女の子だ。そして紛れもなく愛し子なんだよ。」
そう言って見たことがないほど苦い顔をで俯くエトランゼに嘘ではない事を悟った。
「エトランゼが言っていることが事実ならば、
はっきりいって前代未聞よ。
アタシの専門分野であるこの国の歴史上、女性の愛し子は存在したことがない。
こんなこと一般常識でも習うことよ?
それでもその事実は一般常識であるはずの事を今、この瞬間に塗り替えられたということになるじゃない!」
当然の意見だと言わんばかりに頷いたエトランゼはそのままつづけた。
「今のルイは10歳になったものの魔力の使い方を分からない赤子と同じだ。この状況で、王都に置いておけば、間違いなく……良くない方向にいく。俺も大事な娘だから手元で育てたいが、エトランゼには…敵が多すぎる」