精霊と共存すること
「レ、レム…?」
「……」
優しいお日様の香りがする彼女にどうしていいか分からず、1人でアワアワとしていると、その様子を面白そうにニコニコと眺めていたアクエリアスがくいくいとレムの袖を引っ張った。
「ふふふっ…レム、嬉しいのはわかるけど、ね?
離れて、ほらご挨拶しましょ」
「……………うん…わかった。」
アクエリアスに説得されるとレムは渋々といった様子でアクエリアスの隣へ戻った。
…並ぶと美しさにさらに輝きエフェクトがかかって見えるわね。
「さて、また会えて嬉しいわ、ルイ。」
「…とても、たのしみに、してた。あえてうれしい。ルイ」
「僕も、嬉しいです。
やっと2人にお礼が言える。」
「「お礼?」」
そういうと2人は思い当たることなど何もないといわんばかりに小首を傾げた。
「はい。あの時…王城の庭で助けてくれてありがとうございました」
「いいえ、助けたのは私たちじゃない。
わたしたちは、ちからを、かしただけ。」
「そうよ、あなたの勇敢な気持ちに答えただけ。救ったのはルイ、あなたなんだから。
……ってそんなにおどろくことかしら??」
2人の目には私の驚いた顔が映っていた。
「…僕は、君たちに助けられたとばっかり思い込んでいたけれど、そっか。力を貸してくれた……んですね。なんか、精霊と共存するってこういうことなんだなって実感して……」
精霊と生きる周りの人達は色々な人間がいた。
お父様のように精霊と協力して生きる人もいれば、口先でなんと言おうとも精霊をまるで便利な物のように扱う人もいる。
そういう人は魔力の目覚めた瞬間以外、精霊を見かけることはないのだそう。呼び掛けにも答えないが加護を与えたかぎりは魔法が使えるからだ。
「…うん。思ってたよりもずっとずっと一緒に生きている感じがします。頼るだけじゃなくて自分自身も強くなりたいって思いました。
2人とも…僕と出会ってくれてありがとうございます」
そういうと今度は2人が驚いた顔をして、次の瞬間には私を抱きしめた。
「わ、わっ!」
「ふふっ!ルイ、それはこちらのセリフよ。」
「そう、これから末永く、よろしく、ルイ」
「…はい!こちらこそよろしくお願いします」
不思議と暖かい2人の温度に和んでいると、静かに見守ってくれていたローズ先生の肩のノームがピョンピョンとはねだした
「ちょ、ちょっと、ノームいい所なんだから静かにしなさいよ!
どうしちゃったの?」
「あら…そろそろ限界みたいね」
「……そうね。じゃあ、また、よんでほしい。」
キラキラと光り、少しづつ消えていく2人に、はいと返事を返そうとしたがそれは叶わなかった
「(なにこれ、ものすごく体が重い…!)」
全身がびしょ濡れになったかのような体の重さと、あの時と同じような貧血のような感覚に思わず膝を着いた。
目が眩む視界の中、アクエリアスとレムは隣に居たローズ先生に向き直った。ノームは2人に呑気に手を振っていた。
「ノームの加護を受けるもの」
「は、はい!」
「良い師となり彼女を導いてあげてください。ルイを頼みます」
「頼み、ます。」
「…ええ。もちろんですわ。お任せ下さい。」
「「…それではまた会いましょう、私達の愛し子」」
2人姿が完全に消えた途端、身体力が抜けきった私をローズ先生が抱きとめた。
「……これ…って…」
「……まったく、魔力切れよぉ。まあ同時に最高位2体呼んでいればそうなるわね
あと…ノーム!レムのことあなた知ってて黙ってたわねぇ!」
そんな光景を予め知っていたかのようにぴょんぴょんとノームは跳ねると、あとでちょっと話し合いましょうねとローズ先生に睨まれていた。