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戦慄

「…一真」


「おい裕太、あいつのこと知ってんのか?」


「知ってるもなにも、学校で唯一の友達だよ」


「は?裕太の友達って彩花のストーカーだったのか?でも、この前のやつとは違う気がするぞ」


「一真はストーカーじゃないよ」


 おそらくだが、昨日の出来事の謎を解きたくて情報収集しているのだろう……とはいってもやっていることはストーカーと変わらない。本当に呆れた奴だ。


「あれがストーカーじゃなくてなんだってゆーんだよ?理由はどうであれ許せねぇな」


「ごめん。一真は悪い奴じゃないんだけど、好奇心に逆らえないだけなんだ。許してやってくれないかな」


「なんだよ裕太、随分と肩を持つじゃねーか」


「まあ、俺はあいつに借りがあるからね」


 裕太はポケットからスマホを取り出すと、少ない連絡先の中から一真の文字をを選択する。2回のコールの後、当然のことながら一真が出る。


「もしもし?どうしたんだ裕太」


 どうしたんだと聞きたいのはこっちの方だ。


「一真、なんで今日学校休んだんだ?」


「え?……体調不良だよ」


「その割には元気そうだな」


「まあ、熱はそんなにないしな」


「今なにやってるんだ?」


「コンビニに行く途中だよ。スポーツドリンク買いにな。お前はなにやってんだ?」


 一真は平然と質問に答える。いつもなら一真の嘘に騙されていただろう。だが今目の前には確かに一真だ、コンビニに向かっているはずの人間がなぜ花屋から出てくる。


「そうだなあ、山崎さんの後をつけている男をつけているところかな」


 一真はゆっくり振り返る。目が合う。電話を切ると、一真がこちらの方に来る。なんだか元気がないみたいだ。まさか本当に体調が悪いのだろうか。


「なにやってんだよ一真」


「いや、ちょっとな」


「どうせあれだろ、昨日の事が気になったんだろ?」


「まあ、そうだな」


「で、なにか分かったの?」


 すると一真は暗い表情になる。


「昨日さ……山崎さん彼氏と別れたんじゃねーかって話をしただろ?」


「うん」


「別れたんじゃなくて、3ヶ月前商店街で事故があっただろ?あの事故で死んだのが、山崎さんの彼氏だったみたいなんだよ」


 本当ならここは驚くところなんだろうが、それはもう知っている。なんなら俺の隣に事故にあった本人がいるのだ。


「それでさ、あんまり関わるのは良くないかなって帰ろうとしたんだ。そしたらたまたま山崎さんに遭遇してさ。どうも様子がおかしいんだよ」


「おかしいって?」


「ずっと独り言言ってんだよ。ごめんなさいごめんなさいって。それでどうしても気になっちゃってさ」


 それを聞いた瞬間、裕太の背筋は一瞬で凍るような感覚に襲われる。それは隣にいる立花くんも同じようだった。


「おい裕太!彩花どこ行った!?」


 一真とのやり取りで、山崎さんの姿はとうに見えなくなっていた。

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