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小芝居

ススン姫は散歩に行くことを快諾した。

そしてステラと二人で部屋を出る際お互いの付き人に付いてくるように声をかけた。


ここでプポルは頑張った。


「あ、あ、あの王子!できれば私ほんの十分ほど個人的な時間をいただきたいのですがっ!」


そう言うとプポルはススン姫の側に歩いていこうとしていたユリカの手をガシッと取った。


「私たちも明日の朝にはお別れすることになるので、それまでにお互いの気持を確かめたいのです!」


もちろんこの言葉はススン姫とステラ王子を二人っきりで散歩させるための口から出まかせである。

が、うっかりそれを真に受けてしまったユリカは顔を真っ赤にしてどうしましょうと言うようにススン姫を見た。


やっぱり読心術の精度が低いユリカであった。




あら、ユリカ、いつの間にそういう仲になっていたの?

まあプポルはイケメンさんだものね…とススン姫は思う。


そう、そのスチャラカした言動からは想像がつかなかっただろうが、プポルは少し背が低いものの、美しい輪郭と黒目がちの瞳が人の目を引くわかりやすいイケメンだった。

髪も瞳も黒い。

代謝のまだいい二十歳の男だったので細身だったし。


側にいるプポルのこの甘いマスクが、ステラ王子をよりいっそう地味に見せていた。

そしてプポルのちょびちょびした性格がよりいっそうステラ王子をおとなしく見せていた。


一方ステラ王子は顔立ちこそは地味目ではあったが立ち振る舞いが美しかった。

あまりしっかりした作法教育を受けていなかったにも関わらず。


ステラ王子の髪は金色で瞳はブルー。

前髪は右寄りで自然に分かれている。

おしゃれな王子はその結び目にリボンを飾りたいがゆえに髪を伸ばし結んでいたりするが、ステラ王子は襟足を短くしていた。

全体的に色気はないが、清潔感のある22歳の男だった。


ついでだからススン姫とユリカの容姿にも触れておく。


ススン姫はメリハリのある顔をしていた。

目はぱっちり二重だったし、鼻は高からず低からず。

唇はぷっくりとしていて可愛らしい。

クローズ姫より一つ年下の19歳。


彼女は生まれてからずっとおデブさんとして生きてきた。

原因は両親の甘やかしである。

幼い頃から好物のお菓子をたっぷり与えて育ててきたのだ。

長い間彼女の可愛らしい顔のパーツはまん丸く膨れた輪郭に台無しにされてきた。


髪はステラよりは落ち着いた金色で天然の巻毛であった。

今は王子を装っているので襟足付近で一つに結び紺のリボンをつけているがこれを解くとふわっとエアリーな髪型となる。


ユリカはこげ茶の髪にこげ茶の瞳。

お転婆が隠せない生き生きとした18歳のかわいこちゃん。

顔立ち的にはなんとなくプポルに似ていた。

兄妹と名乗れば大体の人は信じたかもしれない。


この二人が恋愛関係になったのち、兄妹だと発覚したりすると物語に幅が出たりするのかも知れないが、この二人は全くの赤の他人。

っていうか恋愛関係に発展するかだってまだわからない。


あ…さて、ここらへんで話を戻す。




「プポル…」


ステラ王子は二人っきりで散歩させようというプポルの意図を汲み取ったが、ススン姫はユリカ同様真に受けた。


「いいわ、プポル。あなた達はここでお留守番してらっしゃい。

ステラ王子、いいわよね?」


その言葉にステラ王子は静かにうなずいた。


「クローズのエステが終わったらこの部屋に来ることになっているから、クローズが来たら教えてちょうだい。


プポル、あくまでも紳士的に親交を深めてね?」


付き人たちにそう告げた後、ススン姫はステラ王子と共にこの国自慢の植物園に向かうため部屋を出ていった。


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