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プポル諦める

あ、王子がシティさんを呼んでる。

と、言うことはシオン王子との真面目な話は終わったんだなとプポルは台所のベルが二回鳴ったのを聞いてそう思った。


散歩でもしておいで、と言われたプポルとキリエだが、キリエがあまりシオン王子の側を離れたくないと言ったので城の中の台所の片隅のテーブルで二人はお茶をしていた。


「キリエさん、王子たちのお話終ったみたいです。部屋に戻りましょうか?」とプポルが言うとキリエは「はい、プポル様」と答える。


ぞわぞわ〜


プポルはキリエに会話の途中途中でプポル様、と呼ばれるたびに鳥肌が立っていた。

う〜こんなきれいな女の子にプポル様なんて呼びかけられる日が来るとは!

マジ幸せ〜


ちょっと恨んでいたけど、こうしてキリエさんを連れてきてくれたんだからシオン王子がうちの王子に剣を抜いたの、許してあーげよっと。

それにしても、わざわざ訪ねて来るなんてシオン王子はステラ王子にどんな用があったのかな?


シオン王子とうちの王子は見た目も雰囲気もどことなく似てるもんね?

いつのまにか似た者同士の間で友情のようなものが芽生えてたんだろうな…などとプポルは考えた。




シオン王子は滞在場所として通されたこじんまりとしたゲストルームの窓から領地を眺めていた。

そこにキリエがやってきた。


シオンはキリエに話しかける。


「キリエ、のどかな良い土地だな。このゆるい起伏の丘がこの場所を都市とすることを阻んでいるが、とても気候が良く暮らしやすそうな農村だ」


「はい。プポル様のお話では夕食に地域特産の美味しいワインを農民の方が振舞って下さるそうです」


「ふ…ほんとに仲が良いのだな、領民と」


「葡萄の収穫時には第16王子城の方々も総出でお手伝いされるそうです。ステラ王子も。

樽に入ってワイナリーの方たちと一緒に葡萄を踏むそうです。

手伝った方たちには日当か出るそうですが、流石に王子がそれをもらうわけにはいかないので、代わりに城の行事の際、ワインを差し入れてもらうそうです」


「…何か、農民と楽しげに働くプポルと王子の姿が目に浮かぶようだ」


そう言ってシオン王子は目を細める。

そしてキリエに向かって呟く。

「…うらやましいな?」と。


それに対しキリエは静かにうなずいた。




一方第16王子城の食堂では晩餐の支度を総出で行っていた。

総出と言っても執事のシティとプポルとステラ王子だけだけど。

夜の食事係のパートのおばちゃんは四時にならないと来ないから人手が足りずステラ王子も手伝っているのだ。


「ほんとにいつもながら王子のテーブルクロスの敷き方は完璧で感心します」とプポルはステラの手際良さを褒めた。


「いや、普通だ。プポルが下手すぎるだけだ」と言って王子はプポルをからかう。そして尋ねる。


「プポル、美少女とのデートはどうだった?」


「な、な、何言うんですか!」と王子の言葉にプポルは顔を真っ赤にした。


「そんなんじゃありません!ただ台所でお茶しただけなんですからっ」とムキになる。

が次の瞬間へにゃっとした。


「でもまあ、幸せなひとときでした〜自分の人生であんな美少女とお茶出来る日がくるなんて思ったこともありませんでしたから」


まだ少し夢見心地のプポルに対して「…彼女は魔族だそうだ」とステラは告げる。


「えっ?う、嘘っ」


「まあ、魔族と言っても何か特殊な力があるわけではなく、年の取り方が私たちよりゆっくりなだけらしい。私たちの二年が彼女の一年だそうだ。つまり…」


「つまりあの方15歳くらいに見えるけど、ほんとは三十くらいってこと?

はあ〜道理で落ち着いてると思った…」


「プポルは年上受け付けないんだったな?がっかりしたか?」


「王子ってばからかわないで下さい。

最初からそんな下心はありませんでしたよ、私は。ただ美しさに驚いただけで」


「ふふ、そうか?」そう言って王子はプポルの顔をのぞき込んだ。


「もうっ!王子だってボーッと見とれてたくせにっ!」と言うプポルの反撃に「ハハハ、そうだったな」と王子は笑った。


「それにあの人…

どう見ても、シオン王子のことが好きじゃないですか」


そう言いながらちょっと残念そうにテーブルにカラトリーを並べるプポルを見て、そうか、プポルもそれに気づいたかとステラは思った。



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