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prologue -プロローグ-
カランカラン―――…と木製のドアについたベルが鳴る。
ゆっくりと中を覗くとティーカップを持つ女性……男性が1人、奥の窓際に立っていた。
怪しげな部屋の中、薄暗い照明の中に立っている。まるで影の様。
「…お客さんかな?悪いけどもう少し開店は後なんだ」
カチャ…と近くのテーブルにティーカップを置いた。
小さく微笑みながら男性は続ける。
「ドアの前に『close』と掛けておくべきだったかな?」
にこり、と微笑めば一歩、また一歩と近付いてくる。
彼の瞳には薄暗い照明が映っている。じっと目を合わせ続けると吸いこまれてしまいそうだ。
「次は…お店が開店してるときね?」