表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生して魔王になったら  作者: 揚羽
1章 幼女時代
9/61

初めての配下

卵を貰ってから四日目の昼、竜が孵った。

殻に徐々にひびが入って割れた。 

卵の模様と同じ、真っ黒な竜だった。

竜なんだからもっとかっこよく登場すればいいのに。

今は竜を洗面台で洗っている。

終わったら“絶対服従”を使ってみる予定だ。


「がぅ!」


子供の竜だからか鳴き声が妙に可愛らしい。

撫でると大きな金の瞳をぱちくりさせてからすり寄ってきた。

……卵から孵って初めて見たのが俺だから親認定されたのかもしれない。


「がぅぅ!」


タオルで拭いてやると嬉しそうに尻尾を振った。

……尻尾が鏡に当たって鏡が割れた。

さすがドラゴン。

飛び散った破片で手が切れた。

一瞬で治った。

さすが魔王種。


「エレナに聞いたぞ、竜が孵ったのだろう、“絶対服従”を……もうしているようだな」


はいっ!?

無自覚だった。

たしか魔王がやったときは鱗の魔族の頭に…あ、もしかして、頭を撫でたら“絶対服従”が出来るのだろうか。

まじまじと魔王を見ると砕けた鏡に眉をひそめていた。


「りゅーの、こゆうまほ、なに?」


話すのはやっぱり恥ずかしい。

この舌っ足らず状況から脱したい。


「たしか“竜吐息”と“闇之賢者”と“人化”だ」


三つもあった。

“竜吐息”はいわずとしれたブレス攻撃。

“闇之賢者”は“闇之覇者”の下位版。

“人化”は人族と同じ姿をとれるらしい。


「それと、配下の魔族の固有魔法は真似ることが出来るからな」


はいっ!?

それってかなり反則…じゃないのか、勇者相手に戦うならそのくらいでないと。

……敵対したくねー。


「“竜吐息”は危ないから“人化”を使ってみろ、角や尻尾が消えて人族に紛れるのが楽だぞ」


使ってみろといわれても……


「…もし自分が人族だったらどんな姿になるか思い浮かべてみろ、固有魔法は全てイメージだ」


万一にでも藤田健司を思い浮かべないように気を使いつつ想像してみる。

今の金髪から角がなくなって、羽と尻尾も消えて……


「出来ているじゃないか」


え?

いつの間にか魔王が拾っていた鏡の破片を覗き込む。

そこには金髪の人間の子供がいた。


「戻るときは元の自分の姿を思い浮かべればいい」


なんとなくわかった気がした。

きっと“竜吐息”も自分が竜のブレス攻撃をしている所をイメージすればいいのだろう。


「それで、名前はどうするんだ?いつまでも竜と呼ぶのは可哀想だ」


………忘れてた。

雄だったのでかっこいい名前を付けたい。

黒竜だし黒い宝石からとることにする。


「モリオンにする」


「……よりによって強力な魔除けの石の名前を選ぶとは………」


あ、この世界にもあったんだ、そういうの。


「………だめ?」


“必殺頑張ったのに褒めてもらえなくて泣きそうな顔”で誤魔化したら魔王はノックアウト。


「ま、まあカトレヤが決めたことだからな」


これなら子猫を拾ってきても大丈夫そうだ。

拾わないし、子猫じゃなくて魔物にすり替わりそうだけど。


「大切にするんだぞ」


「はい」


俺の初めての配下で初の友達だ。

大切にしないわけがない。


「首輪は必要だろう、これを付けてやれ」


「はい」


魔物の皮製の赤い首輪。

黒い鱗に映えそうだ。


「しっかりしつけるんだぞ」


「はい」


って、竜のしつけってどんな?

魔王に聞こうと思ったらもう仕事にもどっていて対教会戦線がどうとか話していて踏み込みづらい。

取りあえず困ったこと、例えば鏡を割るとかしないように叱ればいいのか?

そこで今の自分の姿を思い出し、迫力の欠片もないことにため息をついた。


「がぅ!」


せめて意思疎通が出来ればいいのだが。

ひとまず甘えてくるモリオンを撫でた。

そして首輪を付けた。


名前を付けるのが苦手です。

いつも宝石とか花とか人名辞典からとっています。

この先、人間も登場させることになるのでミドルネームという悩みの種が……

魔族はその点、楽です(笑)


次回予告

魔法に手を出します


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ