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転生して魔王になったら  作者: 揚羽
1章 幼女時代
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情報収集

あの謁見から俺は竜の卵が孵る瞬間を見るために部屋からでなくなった。

……暇だ。


「カトレヤ様?どうかなさいましたか?」


部屋に本でも持ち込もうとドアをあけたら目の前に赤毛のメイド、エレナだ。

……当たり前だが俺が見た目通りの“カトレヤ”でないことは伏せている。

“カトレヤ”は文字を習っていない。

本は読めない。


「…おみず、のむ」


誤魔化すことにする。


「でしたら、呼び鈴を押して頂ければよろしいのに」


誤魔化されてくれた。

それと水を持ってきた。

別に喉は乾いていないけど受け取って飲む。


「カトレヤ様は竜をお知りですか?」


知っているが知らないことになっている。


「竜の話をして差し上げます」


沈黙を知らないのだと判断してエレナは話を始めた。


「遠い昔、竜は神様の使いでした。

そしてこの世界を直接動かせない不器用な神様の代わりに世界を動かしていました。

人間が産まれるまでは。

神様は世界を創りました。

その時の計算で竜は人間にいつか取って代わられる存在だと決められていました。

竜達はそれを神様から聞いた上で仕事をしていました。

人間が繁栄すると竜達はひっそりと暮らすようになりました」


あの自称神様はそんなことを……というか二歳児に話す内容じゃないだろ、これ。

……ひょっとしたらエレナは俺のことを気づいているのかもしれない。恐るべしエレナ。


「少し難しかったもしれませんね、ただこれは私が子供の頃から聞いていた話なので、つい」


と思いきや、ただの昔話感覚だった。

恐るべしエレナ。


「それでは私は失礼しますね」


水の入っていたコップを俺から受け取りエレナは部屋を出た。

……いまいちエレナのことは分からない。


じゃなくて、最初の目的を忘れかけていた。

本だ。

ここ一年で鍛えたこっそりスキルで図書室に向かう。

図書室は魔王城にいる誰もが使うので本が少し減っていても誰も気にしない。

中に誰もいないか確認してから図書室のドアを開けると古い紙の匂いがしてきた。

見つからない内にそそくさと中に入って歴史系統の本や、地図を持てるだけ持って部屋に戻った。

持ってきたものは“人間の歩み”“世界の知的生命体”“世界大地図”だった。

分かりやすそうな地図を開く。

まず、三つの大陸があった。

“魔大陸”

言わずもがな、ここだ。

“聖大陸”

天人族という種族がいるらしい。あとで調べよう。

“アグネス大陸”

人間の大陸、アグネスは聖女の名前だとか。


魔大陸は地図の右上、聖大陸は右下、アグネス大陸は左にある。

大きさは

アグネス大陸>魔大陸>聖大陸

だった。


ひとまず地図を閉じて天人族について調べることにする。

書いてありそうな世界の知的生命体を開く。


天人族は所謂天使と同じようなものだった。

きっと邪神が封印されてから元気になっているに違いない。固有魔法は光系統だった。


他にも色々なことが書いてあった。

魔族とは

闇系統に特化した生命体。主に魔大陸に生息している。邪神を頂点として魔王、上位魔族、中位魔族、低位魔族、魔物に分類される。


邪神は目玉焼きは塩派だと書き加えておいた。


人族とは

集団の強さと(ずる)賢さを持つ生命体。主にアグネス大陸に生息している。現時点で一番繁栄している。固有魔法はない。


もうすでに(ずる)と書き加えてあった。


亜人族とは

人族に近い外見を持ちながら固有魔法を持つ生命体。アグネス大陸の隅に追いやられている。固有魔法は主に身体強化。


挿し絵がケモっ娘だった。

どことなくデジ●ャラットに似ていた。


主にこの四種が世界で確認されている知的生命体らしい。

ただし、亜人族は魔族や、天人族、人族以外の知的生命体を指しているらしく、分け方がかなり適当だ。


ひとまず世界の知的生命体を閉じて人間の歩みを開いてみた。

今後、邪神の封印のことで人族と関わることになりそうだからだ。


調べてみてどうやら人族は魔族や、天人族よりも歴史が浅いことがわかった。

人族の繁栄のはじまりは一人の聖女から、これがアグネスだ。

聖女はアグネス大陸の魔族を撲滅して人族の楽園を作り出したとか。


これは俗にいう勇者と同じ存在だ。

勇者の定義は固有魔法“勇者”を持つかという点で“勇者”はすべての魔法を呪文なしで使え、次代の勇者が生まれるまで全盛期の若さを保っているというふざけた固有魔法だ。

ただし、魔法の威力は固有魔法なのに通常魔法と同じらしい。


で、今人族が信じているのはあの自称神様で間違いないことが分かった。

“薄紅の髪を持つ幼き神”という記述があったからだ。なぜここまで具体的かというと教会の偉い人が信託を受けたとき目撃したからだそうだ。

ついでに教会は魔族は敵だと思い込んでいるらしい、はた迷惑な。

あの自称神様も信託とかで“邪神が旦那様なんだよ?”とか言えばいいのに。


「カトレヤ様、エレナです。昼食を…」


やべ、本隠さないと。

ベッドの下はエロ本の専用スペース(持ってないからな?)と昔から決められているから駄目。

エレナがさがるまでタンスにしまっていよう。


「まだ孵りませんね」


本を隠す音が聞こえた筈だが全く気にする素振りもなく話しかけてくる。

恐るべしエレナ。

いや、単に聞いていなかっただけかもしれない。だってエレナだし。


「それでは掃除も…」


ベッドの下だったら見つかっていた。

恐るべしエレナ。










説明回でした。

竜はまだかよっ!

という方も説明回は避けて通れぬ道ということで。

それに宿命のライバル、勇者の説明だけはしないと不味いので。


次回予告

やっと竜が孵ります


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