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転生して魔王になったら  作者: 揚羽
1章 幼女時代
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箱の中身

謁見の間に来る魔族は沢山いた。

やはり魔族が全体的に弱ってきているのが原因だろう。

俺は手土産を見ては欲しいものがないか確認する。

ぷかぷか浮いている正二十面体(タダの飾り)や、トゲトゲで黒い果物(確か林檎の味がした)や、絹(もちろん虫系魔物の糸)の織物………

いらねーよ。


「カトレヤが気に入るものはなかなか無いな」


俺の隣には魔王。

アイリスは別に仕事をしているらしく今頃、鉱山まで視察に転移していることだろう。

魔王城の謁見の間には兵士がいない。

魔王が強いからというのも一つの理由だ。


「私どもは魔王メノウの配下だった者です、しかし去年の教会の侵攻により魔王メノウは討たれ、住む土地も奪われ…」


今度の謁見は緑の鱗が所々に生えた人型の魔族達だったが皆やつれている。

こういうケースは今日で四回目だ。

平たく言うと、主だった魔王が討たれたから配下にしてくださいということだが、人間ならば、本当に忠義を誓うかは怪しいものである。


「よし、いいだろう。前に出ろ」


しかし魔王だと話が違う。

魔王の固有魔法。

“絶対服従”

格下の魔族なら絶対に逆らえない。

これがあるから魔族の結束は堅い。

ついでに謁見の間に兵がいらない。

人の国家と違って、必ず一枚岩なのだ。

魔族のそういうところ、かなり好きだ。


「はい」


鱗の魔族達の頭に触れる。

闇色のひかりが部屋中に溢れた。

固有魔法は呪文を唱える必要は無いらしく非常に地味な為、エフェクトとしてのひかりを用意したという話だ。


「死という終焉が訪れるまで、あなた様への忠義を誓いましょう」


死んだら終わりの関係だと言いやがった。

それでこそ魔族なのだが。


「こちらが貢ぎ物に御座います」


そしてお待ちかねの手土産だ。

鱗の魔族が差し出したのは巨大な箱。

魔王が箱を開ける。


「…竜の卵か、珍しい」


ちょっと待ったっ!!

竜の卵だと?

………めちゃくちゃ欲しい。


「カトレヤ?」


「あずらーと、たまご、ほしい」


欲しいことを伝えるだけでここまで恥ずかしいとは思わなかった。

ちなみに魔王のことをパパとは呼ばない、アイリスもママとは呼ばない、恥ずかしいのもあるが、何より前の親のことが頭をよぎるからだ。


「そうか、なら竜の卵はカトレヤにあげよう。孵ったらカトレヤが“絶対服従”を使って初めての配下にしなさい」


そして娘に優しく接する魔王に申し訳なく思うのだ。

魔王は鱗の魔族達に新しい住処を与え、税収や兵役について説明している。

俺は竜の卵が気になってそっと箱の中を覗いた。

でかかった。

大人でも持てないほど大きな卵。

色は真っ白だが所々に艶やかな黒い幾何学模様が入っている。

それら全てがどくどくと脈打つようにひかっている。


「カトレヤ、卵を部屋に運ぼうか」


魔王は箱を持ち上げようとして


………底が抜けた。


結局卵を抱きかかえて運ぶことになった。

俺の部屋はベッドとタンス、姿鏡くらいしかなかったので巨大な卵も難なく置けた。


「後、数日もすれば孵ると思うから固有魔法の使い方を教える、普通の魔法よりずっと簡単だから大丈夫だ」


魔王はそう言って固有魔法について教えてくれた。

固有魔法とはそれぞれの魔族が必ず持っている特有の魔法で、呪文もなく扱える最も簡単な魔法である。

身体強化したり、念話をしたり種類は様々。

種族によってはいくつもの固有魔法を持つらしい。

通常の魔法で再現出来るものもあるが精度は固有魔法の方が上。

で、ほぼ感覚がものを言う、ひどくアバウトな魔法だった。

魔王種の固有魔法は“絶対服従”と“闇之覇者”がある。

“闇之覇者”は闇っぽい魔法は全部、呪文なしで使える上、普通の闇っぽい魔法の数十倍の威力という魔王らしい固有魔法だった。


そして今繁栄している人族は固有魔法は持っていない。





















というわけで正解は2の大人でも持てないほど大きな卵でした。

今後、主人公のパートナーとしてあれやこれやする予定です。


次回予告

そろそろこの世界のことを整理する



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