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転生して魔王になったら  作者: 揚羽
1章 幼女時代
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仕事場所にて

突然だが質問だ。

良き王とは何だ?

賢い王だ。

では賢い王とは何だ?

的確な判断のできる王だ。

ではどうやって的確な判断をする?

判断材料を手に入れる方法は?


単純な話だ。

現地に行けばいい。

見て、聞いて、肌で感じる。


そういう意味では魔王は良き王である。

なぜなら書類の内容を少しでも疑問に思ったらすぐに現地に転移して判断するからだ。


だからこそ今残っているわずかな魔族だけで教会と対抗できるほどの国力を保っていられる。


何が言いたいかというと、

俺の生活ががらりと変わったということだ。

“仕事場所に連れて行く”ということはそういう場所に行くということだ。


「聞いてください、アイリス様。この村にまた無魔力児が産まれたんです。これでは兵役にも無理があります」


朝、無魔力児(魔力を持たない子供、まんまだな)ばかり産まれて兵を出せないという報告の書類を見たアイリスが俺を連れて早速現地に転移した。

転移は不思議な感覚だった。

例えるならエレベーターで降りるときのふわっとした感覚に近い。


「………そう、見せて貰っても?」


「はい。それと、その子が…」


先ほどからアイリスと話をしている村人(蛇の頭の魔族)がこちらを見る。縦長の瞳孔が値踏みするように更に細くなる。


「カトレヤよ。私とアズライト様の娘」


「やはり、そうですか、それにしても可愛らしい御方だ」


蛇頭にまで可愛らしいとか言われた、ショック。


「それで、無魔力児はどんな様子?」


「……皆、生まれつき魔力をもたないため周りの者の魔力に過剰な反応を示しています。今までもこういう者は産まれてはいましたが、ここまで多くなかったかと…」


魔力を持たないことは生き物として致命的だ。

弊害は魔法が使えないだけではない。

全ての生き物は(人間も)魔力を持っている。

周り、空気中の魔力と自分との境目がはっきりしているのはこのためである。

でも、魔力が全くなかったら?

周りとの区別がなくなり、いずれ周りに吸収される。

故に必ず短命である。


…こんな風に情報収集は今も続けている。

自称神様(あれから夢は見てない)に言われたからというのもあるが、何も知らないまま能天気に暮らせるほど大物ではなかったためだ。

ニート時代もテレビで(深夜アニメ9ニュース1くらい)必要最低限の情報を得ていた。


「そうなの…不思議ね」


不思議の塊のあなたが言わないでください、と言いたい所だが原因が何となく分かる気がする。

おそらく邪神の封印が関係している。


「まったく、不思議ですな」


無魔力児のいる家に入る。

そこには透明な蛇頭の子供が横たわっていた。

透き通っているのだ。


「……吸収される寸前ね」


「……はい」


うっすらと目(蛇だった)を開けた子供はぼーっとしているだけだ。

意識もほとんどないのだろう。

かろうじて生きているがもう、直ぐにでも消えてしまいそうだ。


「…兵役は気にしなくていいわ、これが何人もだなんて村を維持するだけで大変だもの」


子供が目を閉じた。

そのとたん、ゆらりと姿が揺らいで消えた。

空気中の魔力に吸収されたのだ。


「……何でなのでしょう?何で子供たちが、何で…」


こんなことが、蛇頭の村だけでなく、全ての魔族の元で起きている。


「カトレヤ、帰るわよ?」


アイリスは空中に魔法を描く。


「汝、古の契約に基づき、幼き我らに祝福を“転移”」


魔法は皆が当たり前に使いすぎるので盗み聞きしても情報が集まらない。

成長して魔法を教え込まれるのを待つしかないようだ。

またエレベーターのふわっとした感覚を味わっている内にアイリスの部屋に戻っていた。


「さて、次は……」


そこからさらに一年こんな生活を続けた。


……文字は覚えた。

読みが日本語で文法は英語、文字は見たこともなかった。

もういっそ、全く違う言語の方が良かった。




まだかよっ!

という方もいるかと思いますが魔法はまだ使いません。

その内使うので待っていてください。

何回か先になりそうですが。


次回予告

角が生えます

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