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転生して魔王になったら  作者: 揚羽
二章 アグネス大陸にて
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勇者パーティー登場

昨日の夜、俺達は山の中腹に降りて木の根本で丸まって休憩をしていたが自称神様のセリフから言ってやっぱり町に出なければならないだろう。

自称神様の夢のせいでやたら早く目を覚ましてしまった俺は眠っている“人化”したモリオンの髪の毛を撫でてため息をついた。


「アンも人里に降りるべきだと思う?」

 

聞いてみても今はイヤリングのまま。

アンは気まぐれで、たまに人型になるが基本的にイヤリングの姿でいる。


「行かないと駄目だよな」


降りないと、情報も手には入らない。

……でも、どこで情報を手に入れるんだろう?

あれだ、ゲームだったら酒場とかだな。

うん、酒場に行こう。


「案外、冒険者ギルドみたいなのがあったりして」


有ったら有ったで微妙な気分だ。

情報は手に入るがこちらの事情が露見するかもしれない。諸刃の剣。

危ないことは避けたいがそうも言ってられないようだし、有ったら行こう。


「後は…教会?」


は嫌だな。

めちゃくちゃバレそうで怖い。

拘束されて火炙りにされるかもしれない。

やめておこう。

うだうだ考えているとモリオンが身じろぎをした。


「…ぅん、ぁ、ご主人様ぁ?」


モリオンが目を覚ましたようだ。

なんか声がエロい。


「ぉはよぅ…早いねぇ~」


まだ、半分寝ぼけているようだ。


「どーしたの?」


上目遣いでこっちを見ないでくれ。

竜は何事にも破壊力があってかなわない。


「怖い夢、見たの?」


あれがこの世界の神だと思うと怖いぞ?


「大丈夫、ぼくがギュッとしてあげるから」


……寝ぼけてるよね?


「だぁいすき~」


寝ぼけて、いなかったら?

いやいや、そんな訳あるはずがない。

落ち着け、モリオンは男。

俺は…ぅ、女だよ、コンチクショウ!

そうじゃなくて俺は魔王でモリオンは竜で、身分差の…ってなんか違う!


「あれ、ご主人様どうしたの? 顔色が七面鳥だよ?」


そこでようやくしっかり覚醒したモリオンが俺の顔を覗き込む。近いぞ?


「コケコッコ」


近さに慌てた俺の口をついてでたのは鳥の鳴き声だった。


「寝ぼけてるのかな、それ、鶏だし」


俺達は何をやってるんだろう。


***


「そっか、また夢を」


「うん」


モリオンに、夢のことを忘れない内に話す。


「人里、かぁ…ぼくは嫌だよ、でも、行かないとどうにもならないよね」


前世の記憶で人に嫌なことをされたのだろうか、モリオンは不満そうにしているが一応OKしてくれた。


「でも、あの方もよくやるなぁ…」


……雰囲気で許してしまったがあれも演技なら俺にそれを期待しないでほしい。


「じゃ、行こう、空から見たけど山を降りたらすぐ町みたいだから」


何にせよ従うしかないのが悲しいところだ。


***


「…やっぱりやり過ぎなんですよ、リーダー」


「仕方ないじゃない。あたしがあそこで“神光剣”使わなかったら魔族を根絶できないの」


カトレヤとモリオンが山を下っている頃、町には勇者パーティーがいた。

勇者は腰まである艶やかな栗色の髪に翠の瞳の見た目は十代の美人さんである。

が、これでも百年単位で生きている年増…もとい、熟女…でもないな。

とにかくそんな所である。


「それにしたって今まで轡を並べて戦った兵士まで巻き込むことはないでしょう?」


パーティーメンバーはそうはいかないのでこれで六代目。

勇者に文句を言っているのは禿頭の大男。

武器は…まあ、鉄板で斧。

豪快な戦い方をするが気苦労の多い、気は優しくて力持ちキャラだ。


「でも、あのままじゃどうせ死んだ、違う? それで魔王は悠々と魔族を纏める、で手を着けられなくなる。まだ固まりきってなかったあの時に叩かないとゴキブリのように増えるに違いないのよ?」


それに対して勇者はとにかく行動するじゃじゃ馬タイプな為、大男は必死で止めなければならない。


「あの魔王は賢いの、認めてあげる。殺すのにこれだけ苦労したんだから。だからこそ、予測不能な一撃が必要だったのよ」


「それで民衆から不信の目で見られても?」


「魔族は悪よ。長年の悲願なの、世界から魔族が消えればもっとずっと平和で幸せな世の中になるわ」


勇者が突っ走った時止めるのは大男。

それ以外の二人は他人の振りをするが今日ばかりは様子が違った。

さすがに教会の勇者が教会軍を殺したのはまずかったからだろう。


「でも、何も教会軍が攻めている時じゃなくても…」


「そうじゃないと監視がひどくて神級魔法なんて物騒なもん、使えるわけないでしょう?」


もっとも大男以外の二人は目で“自覚はあるんですよね”と文句を言うだけに留まったが。

そしてさっきまで無言でいた小柄な少女がため息と共に呟いた。


「で、物凄く怒られて、こっそり逃げてきた勇者パーティーって何?」


この少女は猫系の亜人族。

黒猫の耳と尻尾が揺れている。

主人に逆らう態度は本当に猫のようだ。

いや、逆らわないと水に沈められそうだが。


「それが僕らってもんでしょ?」


その言葉に答えたのは脳天気そうな青年。

鳶色の髪は癖毛のようで頭のあちこちにとび出ている。


「まあ、ほとぼりが冷めるまでは寂れた田舎でこっそりやってきましょ?」


勇者の言葉にパーティーメンバー三人はため息をついて顔を見合わせた。

だって、こっそりやっていけた試しがないんだもん。











はい、早速勇者パーティーが登場しました。

え? 名前?

ごめんなさい。

思いつきませんでした。

だって、一応人間だからミドルネームまであるし…はい、言い訳でした、すみません。


次回予告

出会わない訳がない

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