魔王のせい?
「でも、やっぱり心配だよ」
「誰が?」
「マスターかと」
「「って、うわぁ!?」」
…状況はこうだ。
普通何日もかけて攻略する迷宮に連れ去られた俺を心配するモリオンのセリフ。
それに驚かせるためにわざと耳元で囁いた俺に注釈を入れる“神器”に全く気づいていなかった二人で驚いた。
「な、何、誰、本物?」
本物じゃなかったら何なんだろ?
「お、お化け? あ、実はご主人様は死んじゃって、今お別れを言いに来た…そんなぁ、ご主人様ぁ!」
勝手に殺された。
モリオンよ、お前の中の俺は何なんだ?
「馬鹿ぁ、ぼくを置いて…ひっく」
「マスターは生きています」
「誰? 透き通って…お化け!?」
いや、違うから。
「…その前にマスターって何?」
「? マスターはマスターです」
マスターマスター連呼しすぎて訳が分からなくなっている。
「ていうか本当にご主人様なの?」
何だろう、長丁場になりそうだった。
***
「ふーん、それでマスターねぇ……」
「なるほど、道理で早いわけだ」
「カトレヤ、よくやった」
「地底人なんて初めて聞いたわ…」
皆を集めてあれこれ説明した。
上からモリオン、ラドルフ、魔王、アイリスの感想である。ちなみに“神器”という名前等々、自称神様の情報は伏せている。
後でモリオンには説明するつもりだ。
「…それで、一応聞いておくが」
そんな事を考えている途中に魔王が真剣な顔で言ったものだから身構えてしまう。
「ソレに名前は付けたか?」
あ。
忘れていた。
モリオンの時もそうだが俺はそこまで名前というものに執着が無いらしい。
昔飼っていた亀も結局名付けないままだったし。
「マスター、私に名前を付けてくださるのですか?」
しかし、自我がしっかりしているものにその扱いは酷いかもしれない。
名前か……女で赤い花だと何があったっけ。
「アンスリウム、略してアン」
ふと思いついた名前。
随分前に母親が育てていた花だ。
「分かりました。私はアンスリウムですね」
本人も気に入ってる…かは分からないがそれでいいだろう。
「決まりだな。次に地底人の村についてだが正直驚いた。こんなにも早く配下の魔族を増やしてしまうとは」
そういえば食料が足りないらしい。
何とか頼んでみようか。
「その村、食料がとれなくて困ってるって、何とかしてあげられない?」
「……そうだな。考えておく」
いい返事、ではなかった。
でも、確かに魔王の配下ではない。
俺の配下の魔族くらい俺が何とかしないといけないだろう。
「それで、こういう場合、試験は合格でいいんですか?」
「ああ。魔族を配下に引き入れ、アンのような耳飾りを手に入れたのはカトレヤだ。それを活用したのもいい判断だと思う」
ラドルフ、それ聞いてないぞ。
試験ってなんのだよ、というか魔王が主犯だったのかよ。
「そうだな。まあ、カトレヤ…様も疲れてるだろうし、今日は休んで、また明日でいいですか?」
ラドルフの敬語は変だ。
聞き慣れない。
それと、様を付けるのか一瞬考えただろ。
呼び捨てより腹が立つ。
「…ああ」
とりあえず解散になった。
なのでモリオンとアンと部屋まで戻る。
「モリオン、アンは“神器”で間違いない」
「はい。私は“神器”です」
モリオンには話しておく。
“神器”のことも、ぼた餅のことも。
「それで…」
言い掛けたところでモリオンが口を開いた。
「ね、その前にご主人様、服、何とかしない? 話はいつでもできるんだし」
そういや、魔物に斬られた時の血とかそのままだった。
完璧に治っていたので完全に忘れていた。
名付けは一苦労です。
やっぱりネットはありがたいですね。
次回予告
何の試験だったのか分かる……筈←こら!




