秘密通路
ラドルフは強かった。
流石は専属騎士団、団長。
剣でゴーレムを叩き斬って攻撃し続けている。
だが、色々不都合があった。
まず、数が違いすぎたこと。
倒そうにも他のゴーレムがそれを阻止してしまう。
次に相手がゴーレムだったため有り得ない腕力を持ち、斬っても斬っても再生すること。
ゴーレムはありがちなパターンで核を破壊しないと倒せないらしい。
最後にお荷物がいたこと。
俺の魔法は歯が立たなかった。
というか呪文を唱える暇もなかった。
魔法は便利だと思っていたが近接戦闘ではラドルフの足枷でしかなかった。
モリオンに関しても同じ様で防戦一方だ。
「“影爪”」
闇属性の魔法なら呪文を唱えなくていいのでまだましだ。
目の前に現れたゴーレムに魔法を叩き込む。
“影爪”は初級魔法だが増幅されて中級魔法の威力でゴーレムを吹き飛ばすのには十分。
「危ないっ!」
目の前のゴーレムに気を取られていた俺の後ろに剣線がはしる。ザ•足手まとい。
と思ったらもうさっきのゴーレムが復活している。ついでに他のゴーレムも迫ってくる。
「“闇天蓋”」
やむおえず広範囲魔法を選んだ。
洞窟の強度がどの程度のものか分からないのが怖いが、ゴーレムが降ってきた闇色の濃霧に飲まれたのでよしとする。
核を破壊出来たとは思わない。
「ご主人様っ!これじゃ、埒があかないよ、一旦道に戻って!」
“闇天蓋”は中級魔法だ。
増幅されて上級魔法の威力なら倒せはしなくでも暫くの足止めは出来る。
その間に逃げろとモリオンが叫んだ。
とは言え数体の足止めでは戦況に殆ど変わりはないが。
「ああ」 「分かった」
それでも少しは隙が出来たのでラドルフが斬り広げ、道に戻った。
道は狭いのでラドルフの剣は期待できないがそれは相手も同じである。
また一体ずつなので無駄に頑丈なゴーレムの相手をする事も出来る。
「もう少し奥にいって」
これならいける。
ラドルフ、俺、モリオンの順で道(来たときと逆だった)を進んだ。
「じゃあ大技いくよ!“竜吐息”」
と思ったらモリオンがさっきまで俺たちがいた円形の部屋に向かって“竜吐息”を全力で吹きかけていた。
……部屋がドロッドロッに溶け出した。
竜とはつくづく恐ろしい。
俺は初陣なのに見せ場なんて無かった。
リアルだ、リアルだった。
モリオン羨まし。
「……」
ラドルフも唖然としている。
斬っても斬っても倒せない敵を竜とはいえ子供があっさり溶かしてしまったのだから。
今頃、あの訓練は何だったんだ……とか思ってるハズだ。
「マジで竜だったんだな……」
そっちを考えていたらしい。
んなの嘘つく必要ないだろ。
「でさ、どうやって戻るとか考えてる?」
さっさと見なかったことにしてラドルフはモリオンに質問。
「戻る必要ないよ。道、知ってるもん。そこ、右に曲がって」
もんってなんだ。
人化しているときのモリオンは美少年なのだ。その、色々問題だろ?
………ちょっと待て、道を知ってる?
どういうことだ?
モリオンが生まれてから俺たちはいつも一緒に行動している。
当然、俺はこんな所に来たことなんて無い。
なのにモリオンは覚えているという。
「なんだこれ?」
モリオンの指示通りに角を曲がると古ぼけた木の扉があった。
「開けて、で中の階段を上って」
開けると石造りの円い部屋。
麻袋や木箱が積んである。
倉庫だろうか。
そして螺旋階段。
モリオンはまるで前世の記憶でも……あ、今、思い出した。
自称神様が言っていた。
自分の手下をリメイクしたと。
あいつがどこかでミスをしたのかもしれない。初めて遭ったときだって(この漢字)ミスをしていたようだし、有り得る。
「早く」
モリオンに急かされて螺旋階段を上る。
一階分上がって気づいた。
「ここ、アンディの塔?」
「そうだよ、ご主人様」
………マジか。
ということは魔王もあの洞窟について知っているということだ。勿論アンディも。
案外、訓練場にしてたりして。
「はあ、良かった」
ラドルフに全面的同意。
「休憩時間の内に戻ってこれて」
そこですか?
「じゃあ、オレは庭に戻るから」
ラドルフは早足で戻っていった。
そしてモリオンが俺の泥まみれゴスロリドレスの袖を控えめに引っ張る(お前、男だよな?)のでどうしたのか聞くとこう言った。
「…プレゼント、どうするの?」
あ。
あっさり戻ってきたね、と言われそうですがその内、本格的に探検します。
初陣で失敗して欲しかっただけなので、今回はこれだけです。
次回予告
夫婦喧嘩勃発注意報。(漢字を並べ立ててみたかった)




