悪女への道
魔法を覚えてからかなり便利になった。
文明開化だ、ルネサンスだ。
それと俺は飛べるようになった。
三歳のときに飛ぶのも実はイメージが大切で、固有魔法みたいなものなんじゃないかと気づいたらあっさり出来た。
「ね、ご主人様、とびっこしよ?」
とびっこ、かけっこでも飛び魚の子供でもない。飛ぶのだ。競うのは速さだ。
「じゃあ庭に行こう」
気づいたか?そう、俺はついに舌っ足らず状況から脱却したのだ!
これで恥ずかしさに悶えることもなくなった。
「あのさ、ご主人様は知ってる?今日は魔王様とアイリス様の結婚記念日なんだって」
庭に向かう途中でモリオンが言った。
結婚記念日か、今の今までしらなかった。
モリオンって意外と情報収集得意なんだ。
でも、あの二人の事だからひっそりと祝うのだろう。
今、教会と小競り合いだけど戦争してるし。
「でさ、何かプレゼントしたいよね」
プレゼントか……何がいいんだろう?
「宝石とかは貢がれて簡単に手には入るから手作りがいいと思う、でも何を……」
モリオンと二人、悩む。
「じゃあ、庭には兵隊さんがいるからどんな物が嬉しいか教えて貰おう」
「うん」
俺たちは兵士に話を聞いてみる事にした。
まずは庭で休んでいる悪魔っぽい兵士に話しかける。
「へーたいさん、お話ししてもいい?」
何?口調が変わった?
猫被ってるんだよ、悪いか?
…恥ずいな。
「あ、ああ、何だ?」
…チョロいな。
「お兄さんがプレゼント貰うなら何がいい?」
おじさんな年齢に見えたがお兄さんと呼んでやる。おだてて木に登らせる。
「……御守りかな、戦争で死なないように」
不吉なことを言われた。
だが、御守りは採用する。
「ありがと、今度お兄さんにもあげるね」
サービスはしておく。
振り返ったらモリオンがジト目で見てた。
文句あんのか?
「……さすが、ご主人様」
モリオンが呆れたように呟いた。
「でも、御守りなんてどうやって作れば…」
俺が言いかけた所でさっきの兵士が話しかけてきた。
「御守りが作りたいなら、いい素材が採れる所があるぞ、近いから休憩時間にオレもついていってやれる」
休憩時間に行けるほど近いなら今日までに作れるだろう。
「ありがとう!お兄さん大好き!」
サービスは忘れない。
とびっこしないの?
しません。
ただ単に祖母がかけっこのことをとびっこと呼んでいたのを思い出して書きたくなっただけです。
次回予告
トラブらない訳がない