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転生して魔王になったら  作者: 揚羽
1章 幼女時代
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魔法

結論から言うと確かに死にはしなかった。


俺はあの自称神様に遭ってから(あえてこの漢字)ある程度、変な状況に耐性が出来たと思っていた。

のだが、


「おはよぅ、ごしゅじんさま」


朝起きたら目の前に黒髪の美少年がどアップで笑いかけてくる状況はさすがに戸惑った。


「きょうも、いい天気だよ」


金色の瞳が窓の外を見る。

ついでに体が離れる。

観察しろといわれていたのでそいつを見る。

……全裸&首輪


「…もしかしてモリオン?」


「そうだよ、“人化”してみたんだ、すごい?」


「すごいから、ふくをきろ」


命令してみたものの……やっぱ、迫力の欠片もなかった。


「タンスのふく、可愛い女の子用だった」


ここで精神的ダメージを受けるとは思わなかった。


「でも、ごしゅじんさまが言うなら……」


………え?


「あれ、きるよ」


………………………マジで?

これって結構不味いんじゃ……


「カトレヤ様、エレナです、入りますよ」


ちょっと待てぃ!


「………あら」


ドアを開けて一瞬で閉めた。

エレナ、何をどう誤解した?


「ごしゅじんさま、ふく、やっぱりきれない」


「もう、いいから」


俺の尊厳的に死んだ。


数十分後、


「朝起こしにいったら首輪を付けたショタが全裸でカトレヤ様の上に馬乗りになって女の子用の服を身に付けようと奮闘していましたもので、てっきりイケナイ趣味に目覚めてしまわれたのかと思いました」


……思うよね。


「ごしゅじんさま、イケナイの?ぼくはいいよ?」


もう二度とそのセリフを口にしないでくれ、誰かがまた誤解しそうだから。


「とにかく、モリオン様用のお召し物を用意しなくてはいけませんね、サイズは……」


エレナが言った頃には当のモリオンはもう黒竜に戻っていた。


「がぅぅ」


ついでに喋れなくなっていた。

“人化”しているとき限定のようだ。


「……まずは魔法をまともに使えるようにしてください」


モリオンはエレナのことなど知らないとばかりにパタパタと羽を動かしてジャンプしている。


「分かって……なさそうですね、これでは埒があきません、魔法研究者のアンディの所に行きましょう、ついて来てください」


訳が分からないまま連れてこられたのは東棟。ここは倉庫だらけだった気が…


「こちらです」


……あの用途不明な塔だった。


螺旋階段を上る。

モリオンは飛んでいる。

俺も羽あるんだし、飛べるんじゃないか?

と思って羽ばたいたものの少しも飛べなかった。何故だ。

そうこうしているうちに目的地についた。


「おや、珍しいの、竜なんぞ連れてくるとは」


如何にもマッドサイエンティストですという格好をした爺さんが出てきた。

骨と皮だけで出来ていそうで骸骨のようだ。

ポケットだらけの白衣に怪しげな眼鏡、魔法研究者ってこんななのか?


「今日はどんなご用で?」


「まともに魔法が使えるように鍛えて欲しいのです」


エレナの声が震えているなんて初めてだ。


「かまわんさ、後ろの子供と竜だろう」


え、俺も?


「そ、それでは、失礼します!」


エレナは逃走、裏切り者め。


「魔王の娘に竜か、これはイイ」


ぞくりと寒気がした。

モリオンも俺の後ろで縮こまっている。


「儂はアンディ、不死族のものだ。よろしくの。では、これより講義を始める」


絶対、講義をするときの眼光じゃなかった。


「魔法とは、古の契約により生み出された奇跡だ。古の契約は、神にお前の下で働くから力を寄越せという内容だとされている。詳しいことは知らんがの。

固有魔法は神が最初に与えた魔法とされているが優劣がはっきりしすぎていた、だから皆がそれなりに共通で使える通常魔法が生み出された。

ここまではよろしいかの?」


初耳です。


「お嬢ちゃんは魔法を使いたいかね?」


そりゃあ、使いたいけど。


「使いたいという顔だの、教えてやろう、そっちの竜もだ、まずは呪文について」


アンディは空中に魔法を描き出した。


「汝、古の契約にもとづき、幼き我らに祝福を、神より与えられし、大地を進む一つの道となせ“転移”」


気付いたら真後ろに立っていた。

それ、かなり怖い。


「これは呪文の全文詠唱だ。長ければ長いほど強い魔法であるという傾向があるがこれだけでこんなにも長い詠唱なんて非効率だ、慣れである程度短縮出来るから練習は続けなさい」


二歳児にそのセリフの意味がわかると思いますか?


「詳しい説明をしよう。最初に汝というがあれは神を表す。古の契約は説明したから飛ばす、次の幼き我らに祝福を、はあくまでも神の下の存在だと宣誓している、お偉いさんのご機嫌とりだの」


ご機嫌とりって、そんなのでいいのか?

しかも神ってアレじゃん。


「その後に続くのが本来の呪文で移動したいから何とかしてくれという意味でこれを言わなければ意味がない」


アイリスはご機嫌とりの部分しか詠唱してなかったけど。


「ご機嫌とりだけ詠唱する奴もいるがの」


骸骨と被った?

そんなはずはない、よな?


「基本的に短縮はしない方がいい。よっぽど自信のある魔法ならともかく、初めて使うのなら詠唱から始めて魔法を使うという感覚に慣れるべきだ」


「ほかに、きをつけることは?」


「…やはり、相性だの木、火、土、金、水、光、闇、無。これが互いに影響している。“転移”は無に当てはまる」


五行+aだった。

アニメを楽しく見るために覚えていて良かった。


「それと初級、中級、上級、聖級、神級と強さの段階がある。相性が良くても級が違えば意味もない、“転移”は初級だ」


山火事をコップ一杯の水では消せないしな。


「まずは“転移”から練習だ、よく使うからの」


それから二年かけて魔法の特訓をした。 

カトレヤ(四歳)のステータス↓

木 中級 火 上級 土 中級

金 中級 水 初級 光 無理っす

闇 上級 無 中級


ちなみにモリオンは

木 初級 火 中級 土 初級

金 上級 水 初級 光 無理っす

闇 上級 無 上級

















魔法は五行を採用しました。

神(+)と邪神(-)というバランスのあたりで予想していた方もおられるのでは?

中国の思想が基本です。

それとなかなか成長しないと思ったらいきなり最後、四歳にしてしまってごめんなさい。


次回予告

ドタバタ回をはさみます

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