お目覚めの時間
文章力をください…
カラダがとても軽い…………
まるで重力がないように………地面に体がついていないみたい……
浮い……て…る?
目を開けてみる。
真っ暗。目を閉じても開けても同じくらいの真っ暗。
頭が…ぼーっとする………ここ…どこ……?
軽く腕を動かそうとしたがうまく動かない。
足…はなんか変な感じがする…両足が縛られてる感じ…動かせない…
なにか…聞こえる?
拍手のような…パチパチという音。それに……声?
「……か………さ…………」
遠くで叫ぶ声。徐々に近くなる。
「…こですか!……さま!」
ぼーっとした意識でもはっきり聞こえてくる声。………どこかで……聞いたことがある…ような?
「姫様!どこですか!返事をしてください!」
聞いたことがある。この声は……
「シ………エ……ナ」
呼ぼうとしたがかすれた声しか出ない。うめき声といったほうがいいようなそんな声。しかしそんな声が聞こえたのか、目の前に強烈な光が差し込んだ。
「姫…様……ようやく…お迎えに上がることができました…」
彼女は泣きそうな声でそう言った。
その声を聞いて安心して、目を瞑り、意識を手放す。
「これから仲間の下へ案内しますのでゆっくりお休みください。」
今度は、優しい声でそう言い彼女を抱えていった。
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再び目を開く。
今度は、さっきとは違い真っ暗ではなくてよかったと一息。その時に見えてしまった……自分の体を。
一番先に目についたのが足。というよりかは魚の尾びれ。
大体腰のあたりから、皮膚から鱗のある肌へと変わってた。さっきの足の縛られている感じはこれか。
次に目についたのが髪の毛と体の変化。
髪の毛は銀色っぽい色。白だったり黒だったり、日の当たり方で色が変わって見える。自分でもうっとりするほどの綺麗な銀髪。ちなみに、髪型はツーサイドアップになっていた。
そして自己主張をする胸。自分にはこんなのはなかったはず。確かに女の子の格好をして学校に通ってたりはしたけれども、健全な男の子だったは……ず。
「シ…エナ」
思い出されていく記憶からその名前を口にする。
そういえば確か…助けを求められて…そして…
「はい。呼びましたか~?」
下からにゅうっと生えてきたように目の前に現れる彼女に驚いて後ろに下がろうとしたが、足がひれになっていて変に体勢を崩してしまった。
この時、今更だけれどもここが海の中ということも実感できた瞬間でした。
「すいませんっ!大丈夫ですか?びっくりさせちゃいましたね…すいません」
「それは大丈夫……なんだけ…ど、色々と説明してほしいんだけど。それとセレナでいいんだよね?」
「はい。姫様をこの世界に連れてきた張本人のセレナであっています。それでは何から話しましょうか…」
体制を直しながら一番聞きたいことを聞いてみる。
「この世界に連れてきた理由からお願い。あと姫様はやめて。」
「分かりました。ではエリィ様と。」
「それでいいから説明して。」
「はい。ここにエリィ様を呼んだのは私たちを助けてほしいからなのです。」
その言葉から説明が始まる。
自分をここにこんな姿で連れてきた理由なのだが、自分たちを含めた海の管理をしてほしいとのこと。その話の中で、気になることがあった。どうやら自分の中には途方にもない魔力があるらしい。そのため、男だった時に声が聞こえたらしい。
その魔力について聞いてみたところ、この世界には魔法があるらしい。その魔法でどうにかしてほしいとのこと。ちょっと投げやりすぎな気がする。
ちなみに自分の魔法というものは『声』らしい。普通は何かしらの詠唱をしてから発動するのが一般的なのだとか。
それなのに自分は『声』を出せばそれが魔法になるのだとか……変なことは口にしないでおこう。
話を戻して、海の管理の事について聞いてみた。
魔力があるから大体は想像していたことなのだけど、魔物がいるみたい。
その魔物を倒さなくてもいいので追い払ってほしいのと、魔物のせいで生態系が崩れかかっているので、生態系の改善をしてほしいと頼まれた。
その生態系には人魚も含まれていて、その中でも人魚は絶滅に瀕しているみたいで、地上では絶滅したものとして扱われるほどだとか。
いったん説明はこのぐらいにしてもらい、わからないところはその場その場で教えてもらうことにした。
とりあえずまずは……
「ねぇシエナ?泳ぎ方教えてくれない?」
この後、とても入念に。とても厳しく教わりました。
シエナがとても恐ろしく感じた瞬間でした。
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