「『ワンスモア・トポロジー』:~伸び縮み往く、無数の穴に抱かれて~」
僕は、鵜山禎一。十二歳。今年で中学一年生になる。
父は日本人、母はフィンランド人。生粋のハーフだ。そして、その血筋を色濃く受け継いだ容姿のせいか、僕は昔から年齢以上に幼く見られてきた──。
故に周囲は、いつだって僕を子ども扱いする。だが、その例外が一人だけ存在した。──義妹、鵜山夢月。それが、彼女の名前だった……。
僕ら四人家族は、今は無き『としまえん』の跡地を見下ろすマンションの一室で暮らしている。窓の向こうに……今や失われた遊園地の残滓が、微かにその地に息づいていた──。
僕はサッカー部の活動を終え、夕暮れの街並みを抜けて家路に着こうとしていた。茜色に染まる街並みは、どこか幻想めいて見えるほど美しかった。沈みゆく夕陽に目を細めながら歩いていた、その時だった。「お義兄ちゃん!」その聞き慣れた声に、僕ははっとして振り返る。茜色の夕陽を背に、燻銀の双結びの小さな影がこちらへ駆け寄って来ていた。
「夢月!!」振り返った僕のもとへ、義妹は弾かれたように駆け寄ってくる。そして、その勢いのまま僕へと抱き着いた。「お義兄ちゃんも今、帰りなんだ! 一緒だね?」夢月は満面の笑みを浮かべながら、そう言った。その声音は、夕暮れの街並みが醒めるように明るかった。
「あぁ……今日は部活が少し長引いてさ」
「そっかぁ!」
夢月は僕の隣へ並ぶと、上機嫌な足取りで歩き始める。僕もその歩調に合わせ、再び家路へと足を向けた。
茜色に染まっていた空は次第に紫紺へと移ろい、街にはぽつぽつと灯り始めている。他愛もない会話を交わしながら歩く帰り道。それは、僕らにとって当たり前で……、けれど何より大切な時間だった。やがて見慣れたマンションが視界に入り、僕らは自然と歩みを速める。我が家は、もう目の前だった――。
※※※
僕は玄関の扉を開き、夢月へ先に入るよう手で促す。夢月は「うんっ!」と元気よく頷き、ぱたぱたと家の中へ駆けていった。「ただいまー!」弾むような声だけを残し、夢月は廊下の奥へと消えていく……。
僕は静かに扉を閉めると、玄関へ視線を落とした───。案の定、脱ぎ捨てられた靴が乱雑に転がっている。小さく苦笑を漏らしながら、僕は夢月の靴を揃えた。何度言っても直らないのだから、半ば諦めている。それでも、こうして片付けてしまうのは兄の性分なのだろう……。
僕はリビングの扉を開く。キッチンへ向かい、冷蔵庫からコーヒーミルク取り出して、二人分のカップへ注ぐ。皿の上には、以前、買い置きしてあったドーナツを載せ。一人分ずつ座卓へと並べた。──夢月はすかさず手を伸ばす。「いただきます!」夢月の明るい声が響いた。両親が帰って来るまで、まだ少し時間がある。だから今だけは、兄妹二人の穏やかな休息だ。窓の向こうでは夕陽が沈み、街には夜の灯が灯り始めていた……。
僕等は二つのドーナツと二つのマグカップに手を伸ばし、彼女の唇がマグカップの縁にそっと降り立つ……。
マグカップに注がれたミルクコーヒーを共に口にし、──熱が全身に廻るように……確かめ合う。それが唯の夢物語ではないと信じたいが故に、互いの指と指を絡ませた……。
その想いが、彼女の小さな身体を微かに震わせる。引き寄せられるように視線を重ねながら、僕は彼女の愛らしく、美しい珊瑚に言葉を紡いだ……。
============≪作者の感想≫============
「誰だよ! 千文字でやろうとか言い出した馬鹿は!! 」
戀愛物、無理!! いや、本当に無理!! 何を書いても情景描写が生えてくる! 気付いたら夕陽を眺めてるし、気付いたらドーナツ食べてる!! ミルクコーヒーを飲む。肝心の戀愛描写に至るシーンが何処にも居ない!!
以上である────。私は敗北した……。
6/7内容を精査し、描写を追加したものの。九百九十八文字が限度であり。手動による視点・行動描写を追加したことでバランスが損なわれたと思われます。私としての観測は以上となります。
次回の銀髪ロリ開催がありましたら。お声をお掛け下さい。再度挑戦したく存じます。
===================================




