第一章第十七話『捕縛作戦④』
余韻に浸ることなくユダは地面を蹴り上げて、森林地帯を走り出した。
あれから五分ほど経った頃、ユダは未だに『アアルの目』の構成員を見つけることができていなかった。
今までの人生で一番に来るほどにユダは全力で走っていた。道中で発見した人間の足の大きさの足跡を追ってだ。
(足跡は偽装したものなのか……?)
疑念がユダの中に疑念が渦巻いた。もしも足跡が偽装したもので、ユダが見当違いな方向に走っていたのなら、ユダの五分間の走りは徒労に終わってしまう。
そんな焦燥感からか、足の動きが鈍りだした。
(いや、もうここまで来たんだ。信じるしかない!)
ユダは迷いを消し去った。
迷いが鈍さを生み出すなら、例えその選択が間違いだろうとも迷わずに進むしかない。
「──っ!」
落ちている枯木を踏みつけてへし折ると、一気に加速した。
聳え立つ大樹にぶつからないように回避しながら走るユダ。
「はぁっ、はぁっ!!」
道中ユダは、新鮮な空気を取り込もうとしては失敗した。
肺に強烈な痛みを感じながら全力で足を、そして手を振り下ろして走り続ける。
「──ぐッ!」
歯を食いしばった。強烈な風圧がユダに洗礼と言わんばかりに浴びかかったからだ。風がこんなに痛くなることもあるのかと、心の中で驚きながらも足の動きを止めなかった。
その賜物というべきか、ユダは前方に人の集団を捉えた。
(見つけた!!)
ユダに背を向ける集団は『アアルの目』の構成員で間違いなかった。
自分の選択が間違いじゃなかったことに安堵感を覚えながら、ユダは声を張り上げた。
「待て! そこで止まれ!!」
逃げる『アアルの目』の構成員たちにユダがそう叫ぶ。しかし『アアルの目』はそんなユダの叫びで立ち止まってくれるほど礼儀正しくなどない。
「野郎ども気にすんな!!」なんて声までもが聞こえてくる。
(武力行使しかないか……!!)
言葉で止まってくれるのならそれが一番であったが、それが無理なら武力を使うしかないと、ユダは考えた。
そこからは早かった。
ユダはまず呼吸を整えた。それから帯剣していた剣を手元に流れるように持ってきて強く握ると、目標を定める。狙うは最後尾にいる構成員だ。
「『虎切り』!」




