万歳
石で積み上げられた壁が音を立てて崩れていく。
何もないところから突如として現れた異様な存在。
その存在から発せられる奇妙な声。
紛れもなくこの空間を支配していた。
「あっちの件は解決したのか?」
「%&'('&#?????#)')」
「ふむ、やはり一筋縄ではいかぬか。」
「=)$&'((&#=~)(&=`L}?B!」
「あぁ、いいぞ。
ちょうどこんがり焼けたやつがいるだろ?」
エール・ドムノミュはぐるりと首を回転させノーミューに視線を移す。
「っひ!」
得体のしれない何かからの視線に思わず後ずさりする。
「ノーミュー!
今すぐ逃げろ!!」
「~'&$%&'()~=|~!」
一瞬のことだった。
瞬きを行い、目を開けたその時にはすでにノーミューの身体は頭部とおさらばしていた。
その場にぽとっと、頭が落ちる音が響いた。
血が溢れ続ける身体をエールは喰らった。
骨が軋む音と、人間の身体からは出ない音が耳を刺激する。
「おえっ!」
「うっぷ。」
恐らくノーミューと同じ役員と思われる連中が嗚咽する。
認識阻害魔法をかけていたため、何もないところから嘔吐物が現れた。
その独特の匂いと音に反応したエールは、すぐに距離を詰める。
恐怖で声も出ない役員達は足がすくんで動けなくなっていた。
「酷い顔をしているな。」
俺にはローブの中まではっきりと見えているので、今どんな表情をしているのかがよく見える。
眼の焦点が合っておらず、口をパクパクとさせ、涙や鼻水で顔が崩壊していた。
ノーミューの後を追わせるように、エールが攻撃する。
「)('#$%()$&'%%%&!!!」
「うおっ。」
思わず声に出してしまった。
真っ赤な液体が四方八方に飛び散り、俺の身体にかかりそうだったので避けた。
7人いた役員は残り3人になってしまった。
「おい、減らしすぎだ。
あと片付けしろよ?
足の踏みどころがないしな。」
「=~)=~==~~~」
しょんぼりした様子でエールが掃除を始めた。
爪先で色んな魔法を同時に発動しながら床を清掃しているのを見て、器用だなと思った。
そしてこのギャップに脳の処理を諦めたのか、3人の役員はその場にへたり込んでしまった。
それと同時に認識阻害魔法もとけ、こげ茶色のローブを着た男女が普通に認識できるようになった。
「なんなのよ、あれ。」
「死にとうない。
嫌じゃ。」
「やはり間違えていた。
くそっ!」
見たところ、若い女、じじい、おっさんといったところか。
着ているローブにはそれぞれバッチが付いていて、順に褒章が高くなっているのだろう。
「おい、女。」
「!?ぁぁぁぁぁ。」
「聞こえているならいい。
ここの正確な位置を教えろ。」
「ぃぁあああ、ここここはは...。」
「はっきりと喋れ、さもないとこうだぞ?」
頭を抱えながら指先で魔法を発動させようとしているおっさんの頭を鷲掴みにする。
それを見て女はさらに顔色を悪くした。
「わ、悪かった。
いててってててててって!!!」
「反逆するならこうだぞ?」
果物を潰すかのように徐々に力を込めていく。
「ぁぁああ”あ”あぁ””!!!」
「うるさい。」
「っひゅ”!」
喉を潰す。
手足をバタつかせ、顔色が土色になっていく様を女とじじいに見せつける。
「正確に答えろよ?」
「ぁっぁああ”ぁぁ!」
「おまえのせいだな。」
必死になって暴れていたおっさんから力が抜けるのを感じ、女とじじいの目の前に投げ捨てる。
ピクリとも動かないおっさんの頭を目掛けて足を上げる。
何が起きるか分かったのか、視線をそらそうとするので強制視させる。
「強制・部分指定魔法≪オーダー・アイ≫」
二人の瞼が大きく開き目の前しか見れなくなった。
眼から血や涙が出ていた。
「こうならないようにするにはどうすればいいか分るよな?」
大きくあげた足を勢いよく下ろす。
ぐちゃ、びちゃびちゃ。
おっさんの全身が大きく跳ね、ぴくぴくと震えてまた動かなくなった。
血で濡れた床を見てエールに言う。
「悪いが、これも片付けておいてくれないか?」
「~=~~~~||||\^^-\=」
やれやれといった様子で掃除を始めてくれた。
二人に近づき再び問う。
「さて、ここの正確な位置を教えてくれないかな?」
「あわわわあわっわわ”わあわっぁあぁあ”ああ。」
「こ!ここは、ウァルシャワ大陸とリューッデンド大陸の間に位置するサーヴァル海峡じゃ!」
「女、良かったな。
じじいが命拾ってくれたぞ?」
「ぁぁぁ”あああああ....!」
何を聞いても、あああああしか答えなくなってしまった。
「ま、まつのじゃ!
この娘は殺さないでくれ!
質問には答えたぞぃ。」
「まぁ、いいだろう。
次はお前らの番だ。
俺、エール、何でもいい対等な話をしようじゃないか?」




