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遥かなる慧眼  作者: たむーん


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禁忌の所以

「ここは、どこかな?」


 くすんだ色をした地面が四方八方にただただ広がっている。

空は曇りのような感じになっていた。


「ようこそ、私の部屋に。」


 しっかり見ていたのに真正面に人が現れた。


「私は帝都魔法騎士、騎士団長兼皇帝の右腕である。

以後お見知りおきを。」

「俺はシン。」

「偽名はよい。

本当の名は何という?

調べても出てこなかった。」

「さぁね。」

「ふむ、まぁそんなことはどうでもいいか。

ちなみに他の4人は現在私の妹であるロノと交戦中だ。

久しぶりの殺戮でロノは嬉しがっている。」

「それは良かったな。」

「あぁ。

で、お前は他の奴とはあまりにも桁が違いすぎるが故にこの空間に飛ばされた。

私と真正面から戦えること、その喜びを噛みしめてくれたまえ。」

「もぐもぐ、美味しいな。」

「ははは!

ありがとう。

では長話もなんだ、世界魔法協定執行部最高責任者、ノロ・ヴァ―ニッシュが相手しよう。」

「大層な肩書だな。

かかってきな?」


 できる挑発はしておいたがあまり聞いてないみたいだな。

こいつはその1よりも強く感じる。

他の4人とも違う、異質さを感じた。

さて、どうしかけてくるかな?


「顕現せよ、我が力、固有魔法≪高揚する心臓(バーニング・ビート)≫」

「ほう、詠唱付き固有魔法か。」


 久しぶりに見たな、この程度の魔法を扱うということは並大抵の者ではないな。


「感心するのはまだ早いぞ。

固有魔法≪真意を問いただす者(トゥルー・オブ・シン)

強化魔法≪メイジ≫」

「ふむふむ、多重魔法発動とバフか。

おもしろいな。」

「では参る。」


 蹴り上げた空間が軋むような力を生み出し、一瞬で俺の間合いに入ってきた。

顕現した一本の剣は周りの空間事巻き込むように俺の身体を横に両断する。

切られた断面には魔法を封じ込める、あの枷にかかっていた力と同じように感じた。


「ぬん!」


 凄まじい熱波が後から遅れてやってきて、皮膚が爛れるような苦痛が全身を駆け巡る。

俺の身体はそのまま乱雑に吹き飛ばされ、転がった。


「いやはや、凄まじい魔法だったな。」

「ほう、この私でも驚いたな。

まさか、その状態で喋れる奴がいることにな。」

「下半身が吹き飛ばされたが、上半身には両腕と頭がくっついている。

何も問題ない。

次は何をするのかい?」

「舐められたものだ。

そんなに死にたいならいいだろう。」


 ノロは素早く後退し、剣を空に掲げ始めた。

曇りがかっていた空は、暖色のような明るい空に変わり、剣に力が集中していた。


「跡形もなく消し去ってやる。

こんな化け物放っておけないな。

準禁忌魔法≪サンシャイン≫」


 剣先に球形の何かが形成され、それがゆっくり俺に近づいてくる。

近づいてくるたびに身体から煙が上がり、地面も溶けていった。

よく観察してみるとあの球には消滅魔法や遅延魔法、灼熱魔法など様々な魔法が組み合わさって出来ていることが分かった。

このままくらってみるのも興味があるが、こちらも反撃をしなくては戦闘の意味が無い。

と、いうことで片手で魔法を発動させる。


「本日二度目の、禁忌魔法≪腐食魔法≫」

「なっ!?」


 ふわ~りっと浮き上がる紫の球はそのまま向かってくる球とぶつかり合う。

焼肉がたべたくなるような音が聞こえてくると、そのまま飲み込まれて落ちた。

落ちた球は黒い色をしており、地面を浸食しようとしていた。


「消滅魔法≪カット≫」


 今のはノロが発動した消滅魔法だ。

俺のイレースとは違い、対象とその周りに物まで部分的に消し去った。


「これは流石に驚愕した。

お前、禁忌魔法が使えるのか。」

「君こそ、禁忌魔法に指定されなかったが、その次に危険とされている準禁忌魔法を使えるんだ。」

「私の魔法は禁忌魔法をベースにしたもの。

くそっ、オリジナルには敵わぬ。」

「再生魔法≪ゴッド・ブレス」

「っち。」


 ずっと地面に転がっているのも悪いと思い、視線を合わせるため下半身を再生させて立ち上がった。


「禁忌に再生魔法持ちか、持久戦向きのロノに任せた方がよかったな。

まぁ、今更そんなことを言ってもしょうがない。

私の責任を全うしなくては。」

「それで次はどんな魔法を見せてくれるんだ?

君は見たところ弱そうに見える。

凄そうな肩書に埃でも付いているんじゃない?

見た感じさっきの魔法を発動したせいで体内の魔素量は減っているし、休んだら?」


 殺気がひしひしと伝わってくる。


「妹のロノさんだっけ。

今ごろサンドバックにでもなっているんじゃないの?

助けに行ってもいいよ。

俺ここで待ってるわ。」


 さらに殺気が増した。


「魔素だけじゃなくて体力も使い切っちゃったのかな?

背負ってあげようか?

騎士団長さん...?」

「殺す。」

「殺されるのはお前だよ、絶望を味わいな。」


 殺気にさらに大きな殺気で返す。

その圧にノロは萎縮したのか、少しの恐怖の感情を感じ取った。

さらに追い詰める。


「君がどんな人生を送って来たか分からないが、ここでおしまいさ。

俺という存在が君を破壊する。」

「なぜだ!なぜ身体が動かない!!」


 ノロは自分の足がすくんで震えているのに気づいていないようだ。


「強者が弱者へと変わるこの瞬間の味は、最高のスパイスなんだ。」


 ノロの顔は怒気や恐怖、憎悪でぐっちゃぐちゃになっていた。

そんなノロに一歩一歩近づき、右手で頭を鷲掴みにする。

頭をこっちに引き寄せて耳元でささやく。


「ロノが待ってるよ?」


 右手に力を込めて、爪を食い込ませる。


「禁忌魔法≪破魔法≫

後は俺に任せな。」


 ノロの身体は大きく跳ね上がり、びくびくと全身を痙攣させる。

注ぎこまれた魔法はノロの体内で暴れまわっていた。

その間、ノロの口からは言葉では表せない音が溢れていた。

10秒ぐらい経った頃、急にノロの身体は軽くなった。

どのくらい軽くなったかと言うと、風が吹いたら吹き飛ばされてしまう紙ぐらいまでの軽さになった。

根源を破壊し終えたノロはただの人形になり果ててしまった。

と、同時に空間に大きなひびが入り、気が付くと元居た牢の空間に戻っていた。

後ろを振り返ると、床にギールが転がって、ハーレーの首にはギールの剣が突き刺さっていた。


「あれ、お姉ちゃん?

もう終わっちゃったの?

こっちはあと2人やったらおしまいだからちょっとまって...て......ね...?」


 カランと、手に持っていた武器を落としたロノはぺたりとその場に座り込んでしまった。

奥の方から血相悪そうなヴァルトと全身血まみれのノーミューが壁伝いに歩いてきた。

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