勉強
フェルの家を出てすぐのことだった。
どこへ行こうかと、立ち止まっていたら村の子供が駆け寄ってきた。
「ん?フェル姉ちゃんの家から...誰だ?」
「君は?」
「ん、僕は、メノウ。」
「メノウ、良い名前だな。
俺は今日からフェルの家に滞在することになった者だ。
今、フェルは忙しいみたいだぞ。」
「ちぇっ!せっかく教えてもらおうとしたのに。」
「暇だし、教えられることがあったら教えようか?」
「え!?ほんとう?」
「答えられる範囲だったらな。」
「じゃあ、こっち来て!」
メノウに案内されて、着いたのがここ。
看板には休憩所と書かれていた。
中に入り、そのまま階段を上がる。
簡易的なドアを開けると5、6人の子供が席に座って前の方を見ていた。
「先生!連れてきたよ。」
「あら、メノウ。フェルさんは...。」
なんかすごい怪しまれたる気がする。
俺を見た瞬間明らかに目つきが変わったし。
「メノウ、こっちに来なさい。」
「えー、なんでぇ?」
「すぐにその人から離れなさい。」
メノウは不思議がりながらも奥の方へと歩いて行った。
なんだか誤解されてるようだなぁ。
「あのぉ、俺は今日この村に来たばかりの者なんですが...。」
「はぁ、この村の人たちは何とも思わないのかしら。
こんな危険人物をやすやすと入れているの!?
あの長危機感が無いなぁ!」
「危険人物なんて言われるなんてちょっと心外だなぁ。」
「どこをどう見ても危険にしか見えないわ。
特にそこの中身。」
「...もしかして見えてるのかい?」
「えぇ、私の目は誤魔化せないわよ。」
うーん、ちょっと困ったな。
特殊眼持ちかぁ。
俺の身体は魔素が8割以上を占めているし、その魔素を見る魔眼とは相性が悪い。
だが、俺の構造は人間とはちがうはずだ。
初見では絶対にわからないはずだ。
ここで、この女をやってもいいけど、来た初日に問題を起こして破壊するのもなぁ。
ここはなんとかして穏便に済ませるか。
「あぁ...、見えているならわかるかもしれないが、俺は今呪いを受けているんだ。」
「呪い?」
「生まれつきの、呪いなんだが魔染症というものだ。知ってるか?」
「一応、確かに魔染症の症状と合致するし、この複雑な魔素構造も納得がいくわね。
ふぅ、誤解して申し訳なかったわ。」
「良いんだ、誤解がとけたならそれで。」
女から力が抜けたように見える。
若干まだ警戒しているのか完全にはとは言えないぐらいに。
この女、少なくともこの村にいていいような人材では無い気がするな。
要注意人物その1とでも命名しておこう。
「メノウ、それでこの人はなぜここに?」
「僕が呼んだの!フェル姉ちゃんは今忙しいんだって!」
「はぁ、そういうことね。フェルさん、また仕事を忘れているんだわきっと。」
「メノウに答えれることは答えようということでここに来たのだが、ここは何をする場所なんだ?」
「まぁまだ子供だし、しょうがないわ。あぁ、ここは一階が休憩所、旅で疲れた人やこの村の人が良く集まる場所。その二階がここ、まぁ子供たちの勉強場所とでも言っておこうかしら。
私は、ここからちょっと離れた場所にある王都に暮らしているわ。
王都で魔法騎士団の指揮を執っているわ。
週に一回程度、お世話になったフェルさんに恩返しでこの村の子供たちに勉強を教えているの。」
「ほう、それはとても良いことだな。」
「フェルさんには何度もお世話になっているし、私の魔法のお師匠様でもあるの。
私は基礎的からや応用的な魔法知識は分かるけど、専門的な見解や詠唱などはまだまだ勉強中なの。」
「それで、フェルに教えてもらおうとして、呼びに行ったけど俺が来たっていうわけか。」
「っていうか、あなた今フェルさんのこと呼び捨てにした?」
「まぁ、呼び捨てにしても気にしない関係であるな。」
「っち。」
「聞こえてるぞ?」
「で、あなたは魔法に関する知識はあるの?」
「あぁ。魔法なら俺の領域だ。何でも答えて見せよう。」
「ちょっと頼りないからテストするわ。メノウ、他の子たちとちょっと遊んできて。
一階におじさんたちがいると思うから。」
「は~い、みんな下に行こう!」
ドドドドドドと音を立てて勢いよく下に降りて行った。
「せっかくなら座りながら話しましょう。」




