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遥かなる慧眼  作者: たむーん


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1/18

どこか遠くで...

 辺りは暗闇に包まれ、人々の声が聞こえなくなってきた頃、突然一つの光が舞う。

「”始まりの合図”だ。構えろ!」

一人の掛け声により、静寂で満たされていた空間が騒めきだす。

「放て!」

眩い光が一直線に突き進む。

その先には手足を縛られ、目隠しをされた人物がいた。

光はそいつの体を貫通し、少し離れた壁にぶつかる。

「止め!」

指揮官らしき男がそいつに近づく。

「”今回も”終了か...?」

腹部に大きな穴が開き、血がぽたぽたと流れている。

すると突然、穴は何事もなかったかのように塞がっていき、少しの蒸気が発生した。

「実験は終了だ。各自戻れ。報酬は約束通りだ。」

その一声に緊張しきっていた者たちは安堵し、

「な、なんだぁ、無駄に緊張しちゃったじゃねえかよ。」

「今日も生活することができる...。」

「帰って、好きな物食うぜぇ!」

などど、気を緩めていた。

「俺も帰らせてくれよぉ?」

「何言ってんだ?帰れるだろ、任務はもう終わったんだし...。」

聞いたことのない声に、一瞬で身体が硬直する。

それもそのはず、その声は先ほど光を当てたそいつから聞こえる。

「なっ!?まずい、今すぐ逃げろ!!」

慌てた指揮官が参加者に逃げるよう叫び、実験室のドアを開けようとする。

が、開かない。

ガラス越しにこちらを見つめてくる老人の研究者。

聞こえるはずのない壁一枚越しで、「”今回も”失敗か。」

と聞こえたような気がした。

「騙しやがったな!このクソじじぃ.........!!!」

と、叫ぶ指揮官の身体が膨張していき、弾け飛んで行った。

それに続き、参加者たちも絶望で表情を歪めながら、汚く爆散していった。

「これにて、第89回、研究者の観察下による実験を終了とする。わしは、休憩にでも入るかね。」

真っ赤に濡れたガラスの向こうでケタケタと笑い続けるそいつを見ながら、老人は去っていった。


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