表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

0.呪われた力、救いの願い

数ある作品の中から、この物語を見つけてくださり、本当にありがとうございます。


この作品は、触れたもの全てを灰に変えるという呪われた力を持つ少年カースが、

唯一の光となる少女アルカと出会い、その運命が動き出すファンタジーです。


シリアスな展開の中に、思わずクスッと笑えるようなコミカルな日常、そして胸を締め付けるようなロマンスも織り交ぜながら、カースとアルカが世界の謎、そして自身の宿命に立ち向かっていく過程を書いていきます!


どうぞ、最後までお楽しみください!

続きが気になった方はブックマークや評価で応援して頂けると嬉しいです!

これは──俺の“病”が生んだ物語だ。


 目の前に立ちはだかるのは、山のような巨影。

 岩の塊のような腕、鉱石と魔力が融合した装甲。

 

 そして、地を揺らすような咆哮が地を揺らす。


「アルカ──!」


「カースさん!!」


 アルカの叫びも、咆哮にかき消される。


 ──目の前にいるのは、《九柱の禍ツ神(まがつかみ)》のひとつ。

 この世界に“破滅”をもたらすとされる、九つの超常存在。

 

 その中でも、地を喰らい、大陸を沈めた伝説を持つ“厄災”──


 《震撃獣グランドハゼル》。


 岩石と魔力の奔流が融合したような巨体が、

 唸りを上げてこちらに迫っていた。


「危険です! カースさん、それは──!」


「分かってるよ。だから……俺が行くしかないんだろ」


 俺は右手を見た。

 包帯は、もう外してある。


 全身に包帯を巻いた男が、右手の包帯を外した。

 その手は人間とは思えない程黒く爛れ、黒い瘴気のようなものが浮き出ていた。


「止められるのは、たぶん……俺しかいないから」


「でも……!」


 アルカがそれ以上の言葉を呑み込む。

 彼女の瞳には、戸惑いと、悲しみと、そして──理解があった。


 俺は微笑んで、彼女から目をそらす。


「バレてもいいのかとか、もうどうでもいいさ」


 俺のこの力は、祝福なんかじゃない。

 生まれつきの病であり、呪いだ。

 

 医者も見捨てた、治らない呪い。

 触れたものを、灰に変える──ただ、それだけの力。


 ──だが強い力には相応の代償ってものがある。


 俺もその″代償″ってやつを背負っている。


「……俺の力が誰かを救うだなんて、思ったことはない。

 ……だけど今だけは、そう信じたい」


 ほんの少しだけ、声が震えた。


 ──そうだ。

 この力を、ずっと憎んできた。

 

 どれだけ包帯で覆っても、人と触れ合えなかったこの“皮膚”を、 俺自身が一番、拒絶していた。


 それでも今、

 ここで誰かを救えるのなら。


「──こんな力、欲しいなんて思う奴なんていないだろ」


 俺はゆっくりと、目の前の“神災”のもとへ踏み出した。


 足元を大地が裂く。

 頭上には瓦礫が降る。

 

 肌に触れる空気すら、重く、熱い。


 けれど俺は、進む。


 この“呪われた力”でしか、止められない存在がいるのなら。


 たとえ、それが──“神”だとしても。


 ──俺の名は、カース。

 全身を包帯で覆い、触れた者すべてを灰に変える“病”を抱えて生きてきた。

 

 この力は、決して誇れるものじゃない。


 それどころか他人を”不幸”にする。

 大切な人に触れる事が出来ないからだ。


 それでも、包帯の下のこの手で……誰かに触れてみたいと願ってしまった。


 そんな哀れな男だ。 


 だからこそ決めた。

 灰化の正体を暴き出してみせる。


 《九柱の禍ツ神》。

 俺の体についての何かを知っている存在。


 お前たちが俺をどのように見ているかは知らないが──

 その目論見ごと、必ず叩き潰してやる。

最後までご覧頂きありがとうございました!

これは所謂物語の始まりにすぎません。

次回が本番です。出会いから成長、葛藤などを書いていくのでもしよければ、


ブックマークや感想、評価などで応援頂けると嬉しいです!

では次回でお会いしましょう!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★ 共鳴した方、応援をお願いします ★

『この手は全てを灰にする〜君に触れる為なら俺は呪われた力でさえ利用する〜』

誰にも触れられず、孤独を生きてきた少年カース。
その手が初めて誰かのために動く物語。

少しでも心を動かされた方は、
★★★★★評価ブックマークをぜひお願いします。


感想・レビューも大歓迎です。
あなたの声が、次の一歩を照らしてくれます。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ