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政治経済エッセイ

減税したくない人たちの「論理のすり替え」とその対抗策

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は4月27日以降のトレンドに「減税をすれば買い控えが起きる」という岸田前首相の過去の発言がありましたので、それを皮切りに「増税派の論理のすり替え」「破綻理論」について考察していこうと思います。



質問者:

 一体いつのどのような場面での発言だったんですか?



筆者:

 僕の探したところ、2021年4月18日、日本記者クラブ主催の党首討論会で、当時の首相である岸田文雄氏が消費減税についての質問に対して「消費減税をすれば買い控えが起きる」と言った発言をしたのです。



◇増税論①「減税をすれば買い控えが起きる」



質問者:

 実際のところどうなんでしょうか?



筆者:

 恐らく岸田氏がおっしゃりたかった趣旨としては「安く買えると分かっているものは安くなってから買う」と言う消費性向についてだと思います。これによる経済的損失について論じられていたのだと思います。


 消費税については減税されたことが無いので分かりませんが、過去には増税前や補助金が減る前の駆け込み需要というのがありましたので、「変動が分かっていることによる消費性向の変化」と言うのはあると思います。


※ただし消費税(付加価値税)は「第二法人税」であるために、減税をしても価格減少効果はEUでは予算規模の25%しか無かったことが分かっています。


 ただ、生活必需品に関しては価格変動が見込まれても、例えば突如として食べるのをやめて断食したり、電気を使わなくなったりすることはまず無いと思います。



質問者:

 確かにそうですよね……。



筆者:

 ただ、一律減税の場合では車や住宅など高額商品の場合は需給バランスが崩れ、突如として需要が減税後に増えると言った可能性はあると思います。


 それを考慮するのであれば、「減税の日時を決めずに突然減税」をすれば良いだけだと思うんです。


 このように対策は非常に簡単であり、これは明らかに「減税をしたくない言い訳の典型」と言えると思います。



◇増税論②「地方の大幅減収が起き、地方公共団体が立ち行かなくなる」



質問者:

 最近、ガソリンの暫定税率の廃止について議論されているんですけど、その際に「地方の財源が減る」と言った話があるんですがそれについてはどうなんでしょうか?



筆者:

 これは消費税でも所得税の壁の引き上げでも言われていました。


 恐らくは国税と地方税に別れているあらゆる減税の話の際に上がってくる話題だと思います。



質問者:

 なるほど。そうなるとかなり使われる理論だという事なんですね……。

 どう反論すれば良いんでしょうか?



筆者:

 そもそもの話なんですけど「一般財源総額実質同水準ルール」というのがありまして、


 例え地方税が大幅減収になったとしても、ある一定の水準に達するまで各地方公共団体の財源について国の地方交付税交付金で補填しなければいけないというシステムが存在しています。


 それをマスコミ関係者の方がまさか知らないとは思わないんですけど、

報道してくれていないことで「情報の偏り」を生んでいるのだと思います。



質問者:

 確かにそんなルールがあるだなんて知りませんでしたね……。



筆者:

 ただし、「一般財源総額実質同水準ルール」というのはこの法律で定められているわけでは無いようで、秋ごろに毎年決まる“骨太の方針”で決まって、何年かに1回更新されているだけみたいです。


 ですから、これを堅持することが大事だと思いますし、堅持すれば問題の無い案件だという事です。


 つまり、これについても「国が地方が減った分、地方交付税を増やせばいいだけ」に過ぎないわけです。



◇増税論③「(ギリシャのように)財政破綻する」



質問者:

 やはり減税したくない人たちの一番の主張としては「ギリシャのように財政破綻する」と言う話だと思うんですけど、それについてはどうしたら良いんでしょうか?



筆者:

 まず基本的なことを抑えていただきたいのですが、ギリシャはEUに所属しており、自ら発行できない通貨「ユーロ」による取引を行っています。


 その状況下ではギリシャが自ら通貨を発行することが出来ないためにどうしても、海外からの借り入れが増えてしまいます。


 そのために、海外借り入れが返済できなくなり、その上でギリシャ国民側が増税を拒否したために「破綻」と言う形になってしまったのです。


 日本においては海外投資家などからの借り入れは10%ちょっとの状況が続いているためにギリシャのように債務不履行になることはあり得ません。


 一般的に教えられている考えとは真逆だとは思いますが、

 日銀の国債引き受けが減れば減るほど、海外投資家が増えれば増えるほど、「日本が破綻するリスク」がむしろ上がっていくという事です。



質問者:

 ですが、過去には韓国やロシアと言った自国通貨建ての国も金融危機になったようなのですが……。



筆者:

 自国通貨建ての破綻のケースにおいては次の項目で詳しく解説しますが「ハイパーインフレ」になったケースで、自国が発行した通貨が自国内で使われなくなるケースです。


 また「財政破綻論者」が使っている「GDPと債務の比率」の指標においては確かに世界で最悪なのですが、

 他の指標として対外純資産/GDP、政府債務対外債務比率、経常収支の3つの指標があり、どれも世界で優良の評価となっています。


 つまり、財務諸表で言えば資産の部門を評価せずに負債だけを見て騒いでいるという事で、まだまだ国債を発行することは可能であるという事です。



◇増税論④ハイパーインフレになる 



質問者:

 それではハイパーインフレになる可能性と言うのは無いのでしょうか?


 現状においてもインフレ率が3%と、近年では見たことのない数字になっているのですが……。



筆者:

 確かに自国通貨建ての通貨を利用している最大の懸念事項が「ハイパーインフレ」であることは間違いありません。


 しかしハイパーインフレと言うのは基本的に前年度比100%値上げの状態を指します。つまりすべての商品が今の米のような価格の推移になればハイパーインフレと言って良いのですが、流石にそこまでの状況ではありません。

 


質問者:

 例え今がハイパーインフレで無かったとしてもその前兆と言う可能性は無いのでしょうか?



筆者:

 注目すべき点は「インフレの内容」です。


 ニュースではあまり報じてくれませんが、今現在起きているインフレは供給力不足から起因した「コストプッシュインフレ」になります。


 減税をして需要が増加することによる「ディマンドプルインフレ」ではありません。


 実質消費支出増加額は1%未満で推移しており、とにかく節約していることが伺えるために減税や財政出動をしても問題無いと僕は考えます。


 因みにこのような需要増に伴うインフレでも無いのに日銀が利上げをすれば、

利息分を価格転嫁し、更なるコストプッシュインフレの要因になるので絶対にやってはいけません。



質問者:

 財政出動に関してはどのような部門に行えばいいのでしょうか?



筆者:

 これはコメに関することで最も分かりやすいですが、需要と言うより供給力が不足(減反政策のやりすぎ)による価格の引き上げだと思います。


 それなら供給力を上げる政策を重点してやるべきですね。

 供給力が十分な状態で農家を潤わせて売り価格を安定させたいのであれば、JAが高く買い取って安く市場に出すだけで済みます。

 そこに国は金を出すのです。


 一般的な国民に対しては所得税の壁引き上げや、低所得者の社会保険料減免を行うべきだと思います。


 また国内の供給力に疑問を持っているのであればインバウンド需要などを求めることは間違っていますし、それこそインフレ要因になると思いますね。



◇増税をしたい理論①国民に公平な負担を求める・全世帯型社会保障



筆者:

 ここからは減税をしたくない理論と言うより「増税をしたい理論」についてまとめていこうと思います。



質問者:

 よく消費税や社会保障について話題になる際に「全世帯型保障」「広く公平に負担」と言った話が持ち上がるんですけど、それについてはどうなんでしょうか?



筆者:

 これは問題外の考え方だと思います。


 そもそもの話として税金と言うのは格差の是正や悪いことの行き過ぎの是正などそう言った役割が期待されています。(個人的には税は必ずしも財源では無いと思っていますので)


 全世帯から取るという考え方は「格差の是正」と言う考えからすると真逆であり、

 「低所得者(600万以下ぐらい)からは税金を取らないこと」がむしろ良いまであります。


 

質問者:

 どうしてそんなにも幅広い層から取りたがるんでしょうか?



筆者:

 「取って配る」はお役所の外から見ていると非効率で生産性を感じないわけですが、

 役所としては天下り、政治家としては「お仲間に中抜きで配っている(法律に反しない限りで)」を行っていることから、

 やっている側としては非常に生産的なのでしょうね。


 特に財務省を筆頭とした官僚機構が日本を衰退の道に送り込んでいるのだと思います。


 

質問者:

 「財政法4条」があるために「財源」を言うのにしても大企業の補助金を切り捨てたりしてでも徴収しないで欲しいですね……。


 

◇増税したい理論②「社会保険料」は「税金では無い」



筆者:

 日本においては「ステルス増税」が行われています。その筆頭格が社会保険料ですね。


 平成初期の1989年と現在を比較しますと、

 健康保険料は8.30%⇒10.00%

 介護保険料は なし  ⇒ 1.82%

 厚生年金 は12.4%⇒18.30%


 と合わせれば10%近く上がっているのです。

消費税が導入や引き上げの際には大きく話題になりましたが、

それに匹敵するぐらいのパーセンテージが徐々にではありますが上がっているのです。



質問者:

 30年ちょっとで10%も手取りが減るだなんて……。



筆者:

 ちなみに2025年度では139兆円が社会保険給付に使われていますが、

2040年度には社会保険料は185兆円ほどになるそうです。

今の制度を存続・継続するなら単純計算ですけど、社会保険料は今の1.4倍以上の負担増になるのです。


 因みに世界的な「税」の定義には「日本の社会保険料」はほとんど当てはまっています。強制的に加入させられ、払わなければ口座封鎖や差し押さえなどのペナルティまでありますからね。



質問者:

 今の保険料のさらに1.4倍以上になったら流石に生活が立ち行かなくなりますよ……。


 それでも「増税では無い」というのはどういう事なんでしょうか?



筆者:

 この理論の最たるものとしては、


「社会保険料は医療を受けたり、年金として後で返ってくるために税金では無い」と言った言い訳があります。


 僕はこの考え方に真っ向から反対したいと思います。



質問者:

 でも、長生きすればするほど年金をもらえる金額って多くなるじゃないですか?

 それについてはどうなんでしょうか?



筆者:

 まず、将来や未来のことに関しては分かりません。

そのために「長生きをするかどうか分からない」のでその点は何とも言えないです。


 健康に気を付けても事故死すればそこまでですしね。社会保険の恩恵をほとんど受けることなく亡くなる方もいるでしょう。



質問者:

 ちなみにどれぐらいの年齢で払った金額を上回るんですか?



筆者:

 国民年金のみだと15年ぐらいでプラスになりますかね。


 厚生年金に関しては労使折半もありますから、それを含めれば平均寿命の85歳でようやく黒字になるかならないかのレベルです。


 さらに「割引現在価値」で見ると100%の確率で「赤字」になります。


「割引現在価値」とは、将来受け取る予定の収益を今受け取ったと仮定した時に、どの程度の価値があるかを表す概念で、

 年金を「将来受け取る予定の収益」と言う観点で当てはめるのが妥当だと思います。


 徴収せずに株式の長期投資などで運用した方が圧倒的に将来手元に入る金額は大きくなります。



質問者:

 確かに20年生きて元が取れるかどうかのレベルだと、割引現在価値ともなれば絶対に損していますね……。



筆者:

 今の世代を苦しめ、かといって高齢者の方々は年金が足りないという悪夢のような狂った制度は即刻廃止し(年金受給者は貰えるようにした方が良いですけど)、自己積立制度にするべきです。


 今の苛烈な取り立てを行う社会保険制度と中途半端な自己責任の状況だと本当に国民は苦しむばかりです。


 これも先述した通り「取ってから配る」という自らの天下り先と利権と合法キックバックのためにやっているんですからね。


 この流れを断固として食い止める。そう言った流れを作っていく必要があると思います。


 僕はそう言ったお手伝いをさせていただくべくこれからも執筆活動を続けていきますのでどうぞご覧ください。

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