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第四話 前編

 

 今日の俺は、少しばかり緊張している。


 見てわかると思って欲しいんだが、俺は今、星羽の部屋の前まで来ているからだ。

 なぜ、俺が晩御飯も食べずに星羽の部屋の前にいるのかというと、いつもは俺の部屋で星羽と晩御飯を食べてるけど、せっかくだから今度は私の部屋で一緒に食べない? って言われ、断る理由もなかったから了承したけど、初めて異性の部屋に行くってのは緊張するな……。それに、家族以外の男の人が部屋に入るには俺が最初らしいから、ダブルミーニングでやばい気がする。


 流石に扉前で長時間星羽を待たせるのも悪いから流石に入らせてもらうけど、この一歩を間違えると、俺の人生終わりそうでちょっと怖い。


「……あれ? 遥斗じゃん! お前も星羽さんに呼ばれた口か?」


 ドアノブに手をかけ、ドアを開けようとした所で聞き慣れた男の声が聞こえる。


 ドアノブに手をかけた状態で、声が聞こえた方を向くとかなりラフな格好をしている櫻井が立っていた。



 櫻井祥太。


 こいつは、今は少し休学中の幼馴染と同じ保育園からの長い付き合いのある男で、全てを曝け出しているせいか、オープンスケベというかなり人を選ぶ性格をしているが長年の付き合いがある俺から言わせると一日やそこらでこいつの文句を言う奴がいるなら一発はお見舞いしている可能性がある。


 それくらい人情に熱く義理堅いおとこでもある。そんな男がここにいるってことは、俺が呼んでないから星羽が呼んだことになるけど、なんか心苦しい。


「まあそうだが、お前もってことは、祥太もか?」


「俺? 俺…‥はちょっと、違うな。まあ、星羽さんの部屋にお邪魔したらわかることだし、入ろうぜ」


 祥太にしてはなんとも珍しい歯切れの悪い回答だった気もするが、こいつがいうならそういうならそういうことなんだろう。ドアを開けると慌てて何かを準備する星羽と日向がいた。


「なんで日向がいるんだよ」


「……ん? あ、ああー! わーわー! 本日の主役は呼んだ時に来て!」


 何かの準備中の日向が俺の声に気付くと、部屋に入る前に部屋に入るなと閉め出される。


 本日の主役……?

 察しの悪い俺でさえ、言葉の意味は理解できるんだけど、俺、星羽にも日向にも誕生日なんか行った覚えねぇぞ? あ、だから祥太ってこと? 確かに毎年祥太とは誕生日を祝い、祝われを繰り返してきたけど、そんなことある? 


 というか、祥太が星羽さんの家にいるってことは俺と星羽が晩飯と昼飯を一緒に食ってるって情報は漏れてるって認識でいいよな?



 自分の部屋に戻って待つのもなんだったから、ドア前でスマホをいじりながら待つこと五分。


 日向からメッセージが届き、どうやら準備ができたから入ってきてとのことらしい。ドアを開け、部屋に入るとクラッカーの音がぱんぱんぱんとなり、星羽、日向、祥太の3人が、揃って「17歳の誕生日、おめでとう!」と言ってくれた。


 これだけでも、十二分に嬉しいし幸せってこういうことなのかってのも改めて実感できた気がする。

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