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【三国志異伝】《唯一無二の計》  作者: 賭博士郎C賢厳
第四章:魏.VS.呉蜀同盟.VS.???
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三軍の行方:弐

  西暦222年・10月 (黄初2年)



 魏による大規模な行軍が開始された。


 侵攻する場所は、蜀の『漢中』と呉の『樊城』・『濡須』である。 まず『漢中』攻略には、張郃を主将にし、鄧艾を副将にし、諸葛誕を軍師にして、10万の兵を『漢中』へ向ける。 次の『樊城』攻略には、曹仁を主将にし、曹洪を副将にし、司馬懿を軍師にして、10万の兵を『樊城』へ向ける。 そして『濡須』攻略には、張遼を主将にし、徐晃を副将にし、徐庶を軍師にして、10万の兵を『濡須』へ向ける。


 張郃たち魏軍が長安から漢中に到着→漢中の東北にある山頂に陣を築く。 曹仁たち魏軍が南陽から樊城に到着→樊城の北之三十里手前に陣を築く。 張遼たち魏軍が寿春から濡須口の北側・巣湖の北岸にある合肥に到着・入城。 そこからそれぞれ(いくさ)の準備をする。



 『漢中』→東北の山頂の陣にいる張郃たち。


「前回は八千だったが、今回は10万だ。 これだけの兵力があれば夏侯淵将軍の仇が討てる。 今度こそ漢中を奪還して、夏侯淵将軍の無念を晴らす。」

「「……」」

「全軍、明日総攻撃を開始する」

「「はっ!」」


 明日の総攻撃の為の準備を着々と進める魏軍。



 『樊城』→北之三十里手前の陣にいる曹仁たち。


「今度こそ、樊城・襄陽を奪還して、丞相の無念を晴らす。」

「ああ、それと于禁・楽進・李典の仇を討つ。 曹仁よ」

「ああ、その通りだ。 曹洪よ」

「……」

「よし、明日総攻撃を開始する」

「おおっ!」

「…はっ…」


 ここでも明日の総攻撃の為の準備を着々と進める魏軍。



 『濡須』→巣湖の北岸→合肥にいる張遼たち。


「よいか、明日の総攻撃で一気に濡須口を()りに行くぞ!」

「「はっ!」」

「皆の者、遅れるな!」

「「ははっ!」」


 士気を高めながら明日の総攻撃の為の準備を着々と進める魏軍。




 一方の呉や蜀も魏の侵攻に対して備えをしっかりしていた。 まず漢中では、魏延を主将とし、黄忠・厳顔を副将として、蜀の7万の軍勢で守らせた。 次に樊城では、凌統を主将とし、朱然を副将とし、全琮を軍師として、呉の5万の軍勢で守らせた。 さらに濡須口では、周泰を主将とし、朱桓を副将とし、諸葛瑾を軍師として、呉の6万の軍勢で守らせた。 これだけの軍勢であれば、なんとか守りきれると考えたからだ。



 漢中にいる魏延たちは―――


「張郃め、夏侯淵の仇を討ちに来たか。 10万とは…また大軍だな」

「ふむ、この前と真逆じゃな」

「じゃが、ワシらとて7万の軍勢で漢中を守っておるから、そう簡単に漢中は落とされんぞ。」

「ああ、東北の山頂に陣取っているらしい。 明日あたり攻め込むつもりなのかもしれんな。」

「魏延よ、ワシらはどうする?」

「ワシらも、このまま籠城するつもりなのか?」

「……」


 魏延たちは、この後も色々な計略を練っていた。



 樊城にいる凌統たちは―――


「ちっ、あの曹仁がまた攻めてきたか…」

「今回もまた10万の軍勢で攻めてきたのか?」

「はい、曹仁や曹洪たち魏軍10万が樊城の北之三十里手前で陣を()いているそうです。」

「ただ前回いたあの陸遜大将軍も、今回はいないから、この後は一体どうすればよいのやら?」

「あの司馬懿って軍師もいるんだろう?」

「ああ、そうらしい…」

「あの司馬懿か、ならばこちらは籠城するか?」

「……」


 凌統たちは、この後も色んな計略を練っていた。



 濡須口にいる周泰たちは―――


「また魏軍が攻めてきたのか?」

「相変わらず懲りずに魏が大軍率いてやって来たか?」

「あの合肥をなんとかして攻め落とさんと、あそこからまたこの濡須口に攻めてくるだろう。」

「しかし、あの合肥もなかなかの要害。 何度攻めても落とせんかった。 今回もまたあの合肥から巣湖を南下して、勢いに乗じて濡須口まで攻め込むつもりだ。」

「この濡須口が落とされると、呉の拠点である揚州・江東一帯も(あや)うい。 ここはなんとか守りに転じるべきでは?」

「では、今回も死守ですか?」

「……」


 周泰たちは、この後も様々な計略を練っていた。




 翌朝、『漢中』・『樊城』・『濡須』から魏軍が一斉に総攻撃を仕掛ける。 魏軍の各10万の計30万の軍勢が漢中の南門と樊城の北門と濡須口の東側から一斉に突撃する。 一方の『漢中』・『樊城』・『濡須』では、初戦から籠城して拠点を死守するつもりだ。 それぞれ要害を堅固にして攻め込みにくくする。 それと漢中では、厳顔が七千の兵を率いて東門から密かに出陣。 そのまま魏軍本陣がある東北の山頂に向かって静かに進む。 また樊城では、朱然が五千の兵を率いて西門から密かに出陣。 そのまま魏軍本陣がある北之三十里手前まで静かに進む。 それから濡須口でも、朱桓が六千の兵を率いて南側から密かに出陣。 そのまま陸路で合肥の西側へ向かって静かに進む。




 その日から魏軍が『漢中』・『樊城』・『濡須』を執拗に攻める。


  まず漢中では、南門の城壁を中心に精力的に攻め立て、漢中の左右の某所からも魏兵が矢の雨を降らせて、漢中の城兵に向かって()つ。 でも城兵も懸命に防戦しており、なかなか城壁に取り付けないでいた。


「ちっ、意外にしぶとい」

「漢中も天然の要害だからな。 いざ攻めるとなるとなかなか……」

「しばらく力押しで様子を見ましょう。 それでも落ちなければ、その時にまた考えましょう。」

「ふむ、そうだな」

「よし、それで行こう」


「黄忠殿、城兵の様子はどうだ?」

「皆、頑張っておるよ」

「そうか、これは持久戦かな?」

「もし、そうなれば魏軍が不利になるだけじゃ。 おそらく短期決戦を狙っておろうて。」

「なるほど、ここからさらに激しくなるか…」

「ふむ、そうじゃな」


 張郃・鄧艾・諸葛誕と、10万の魏兵はあくまで序盤は力押しで漢中を攻略する構えだ。 一方の魏延・黄忠は引き続き籠城・防戦する構えだ。 それに孔明の策略で、漢中の兵糧は充分に蓄えており、ある程度の長期戦には、十分に対応できるはずだ。



 次に樊城では、北門の城壁を集中的に攻め立て、西門・東門の城壁にも魏兵が矢の雨を降らせて、樊城の城兵を射抜(いぬ)く。 だが城兵もじっと耐え抜いて、必死に籠城するので、なかなか城壁までたどり着けない。


「司馬懿よ、この調子で大丈夫なのか?」

「はい、樊城程度ならば、十日もあれば力押しでも、十分落とせると思われます。」

「だが…呉軍は籠城の構えだぞ?」

「はい、樊城に陸遜はおりません。 なので援軍が到着するまで籠城に徹するつもりでしょう。」

「なるほど、そういうことか」

「ならば、こちらは短期決戦か?」

「はい、現状では…」

「「……」」


「ちっ、やはり10万の軍勢……力押しできたか…」

「どのくらいもちますか?」

「もって、十日か……」

「十日…ですか……援軍到着……間に合いますかね?」

「さぁな、だが…我々は籠城に徹するのみだ…」

「はっ、判りました。」


 曹仁・曹洪・司馬懿と、10万の魏兵もあくまで序盤は力押しで樊城を攻略する構えだ。 一方の凌統・全琮も引き続き防戦・籠城する構えだ。 だけど樊城の兵糧にあまり余裕がない。 このまま長期戦に持ち込まれると、むしろ不利―――では?



 それと濡須口では、南下した魏軍が東側と西側に分かれての同時攻撃。 一方の呉軍は北側に陣取っており、左右から攻めて来る魏軍の攻撃を(ふせ)ぐ。 また漢中や樊城とは違い、この濡須口では両軍が激突する。


「攻めろ攻めろ!」

「そのまま一気に押し潰せ!」

「北側の陣を奪取すれば、こちらに勝機あり!」

「周泰を討ち取れ!」

「周泰を逃がすな!」

「北側の陣を奪え!」


「ふふふ、相変わらず魏軍は血気盛んだな…」

「はい、このまま北側の陣を奪えば、確かに魏に()がありますからな。」

「だが…北側の陣が奪われる前に援軍が到着して、奴らの背後を突かれたら、魏軍は一気に滅ぶぞ。」

「それまで我々は耐え(しの)げばいいのです。」

「ふふふ、そういうことだ」


 張遼・徐晃・徐庶と、10万の魏兵もあくまで序盤は力押しで濡須口を攻略する構えだ。 一方の周泰・諸葛瑾もあくまで徹底抗戦の構えだ。 こちらも万全の準備をして、兵糧もある程度は蓄えている。 何より周泰たちのこの不気味な余裕が()せない―――




 それから厳顔軍・朱然軍・朱桓軍の三軍が、この後一体どうなったのか、現状では少なくとも魏の将兵の誰にも解らない―――



 【注意事項】

★三軍にも色々な意味がある。

1.魏軍・呉軍・蜀軍の三軍。

2.『漢中』の攻めての軍と守りの軍、『樊城』の攻めての軍と守りの軍、『濡須』の攻めての軍と守りの軍の三軍。

3.厳顔軍・朱然軍・朱桓軍の三軍。

※今回の三軍には、そういった意味合いがある。


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