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【三国志異伝】《唯一無二の計》  作者: 賭博士郎C賢厳
第三章:夷陵の呉蜀会談
15/26

兵士の反乱:参

  西暦220年・10月 (建安25年)



 樊城。 荊州北部にある城で呉の領土。

 ここに張任・冷苞・高沛が守備する。

 また呉の精兵一万で守備する。

 それと樊城の守備もほぼ完了している。


 一方の楊任・楊昂と二万の魏の軍勢が樊城を包囲する。 もう既に樊城の包囲は完了しており、そこで陣を敷く。 今は総攻撃の準備をしている最中。


 張魯は魏に所属しており、配下の楊任・楊昂は二万の魏の精兵を有している。

 劉璋は呉に所属しており、配下の張任・冷苞・高沛は一万の呉の精兵を有している。

 この二人が荊州・樊城を賭けて対決する。



 楊任・楊昂が総攻撃を開始して、二万の軍勢が樊城の城壁に貼り付く。 高い梯子を使用して、どんどんと城壁をよじ登る。 一万の城兵も弓矢・投石(落石)・熱湯などを用いて応戦する。 二万の軍勢がどんどんと城壁をよじ登るけど、城兵もよく対応して、なかなか城壁を登りきれない。 楊任・楊昂が火矢を用いて援護射撃するも、城兵も火矢を用いて楊任・楊昂軍に応戦する。 まさに一進一退の戦況となる。


「ちっ、しぶとい!」

「なかなか落ちないな!」


 総攻撃は夕方まで続くけど、最後まで城壁をよじ登ることができず、イタズラに兵力を減らす結果となった。 このまま夜になっても総攻撃を続けた。 将軍たちに悪神(アヤカシ)が囁く。


 [戦え!]…と。


「それ行け!」

「手を緩めるな!」


「防げ防げ!」

「落とされるな!」

「なんとしても守りきれ!」


 各将共に必死だった。

 なんとしても結果・戦功が欲しい。

 だけど兵士たちにしてみれば、真夜中まで徹夜して城攻めしないといけないのか? と思う兵士が続出する。 また城兵も命を懸けてまで樊城を守る兵士は多くない。 こんな城…守る価値があるのか? と思う兵士が続出する。 兵士たちの張魯や劉璋に対する忠誠心はあまり高くない。



 城攻めは連日三日三晩(おこな)われており、双方の軍に戦死者・逃亡者が続出する始末。 明らかに各将たちは焦っている。 なんとしても結果・戦功が欲しいのだ。 兵士のことなど、少しも考えていない。 これでは両陣営の兵士の不満や反感が上がるだけだ。


「……」

「おい、将軍は俺たちのことをどう思ってると思う?」

「どう……?」

「知らねえよ。

 俺たちのことを兵士と思っているのか、物だと思っているのか、よく解らねえよ。」

「物……?」

「ああ、そうだよ! 物だよ!」

「このままだと俺たち餓死か…戦死だぞ!」

「おい、そうなったら妻子の面倒は誰が見るんだ?」

「ああ、そうだよ!

 老いた母の面倒は誰が見るんだ?」

「……」

「おい、もう逃げちまおうか?」

「ああ、そうだな。

 逃げちまおうぜ!」

「ああ、そうだな。

 逃げようぞ!」

「よし、早い方がいい!」


 張魯軍の兵士も劉璋軍の兵士も士気が減少しており、逃げ出す兵士も後が絶たない。 このままでは(いくさ)どころではなくなる。 七日間、ずっと戦い続けたところで、楊任・楊昂軍が樊城から三十里離れた場所まで撤退して陣を敷く。 だけど将軍たちに悪神(アヤカシ)が囁く。


 [戦え!]…と。


 仕方なく撤退した形の楊任・楊昂は陣中の兵士の様子を確認する。


「兵士の様子はどうだ?」

「それが戦死者・逃亡者などが多数出ていて、この陣中にいる兵士の数が一万までに減少している。」

「そうか、一万か……」

「どうだ? 一旦南陽まで引き返すか?」

「えっ? 樊城を落とさないまま、南陽まで撤退するのか?」

「しかし、一万で城攻めは不可能だろう?」

「…だが…」

「クソッ、一体どうすればいいんだ?」


 楊任・楊昂が、今後の城攻めについて話し合う。 このまま城攻めするか、それとも南陽まで引き返すか、考える。 でも…たったの一万だけの軍勢で、果たしてこのまま城攻めできるのか、正直いって不可能に近いかもしれない。 せめて…あともう一万の兵士が残っていれば、まだなんとかなると思うけど…。 それに城攻めの兵士たちも不満や反感があるようだ。 兵士たちに悪神(アヤカシ)が囁く。


 [乱せよ!]…と。


 なんとか耐えた張任・冷苞・高沛も城兵の様子を確認する。


「おい、兵士の数はどうだ?」

「……」

「ああ、戦死者・逃亡者などが多数出ていて、この城に残っている兵士の数は、あと四千程度しか残っていない。」

「四千……っ!?」

「おいおい、これでは籠城戦どころではないぞ!」

「ああ、そうだな。

 これでは翌日には、樊城は陥落しているだろう。」

「これで我々も終わりだな!」

「…クソッ…」

「おい、一体どうする?」


 張任・冷苞・高沛も、今後の事について話し合う。 このまま樊城で籠城するか、それとも襄陽まで引き返すか、考える。 ハッキリいって、たったの四千程度の城兵で樊城を守りきれるはずもない。 樊城を守るには最低でも三万の軍勢が必要。 それを一万の城兵で守るなど無茶があったのだ。 それに城兵の中にも不満や反感があるようだ。 兵士たちに悪神(アヤカシ)が囁く。


 [乱せよ!]…と。


「!!?」

「な…なんだ? お前たち…?」

「お…おい、お前たち…?」


「うるせえっ!」

「このヤロウッ!」

「テメエらっ!」

「ブッ殺してやるッ!」


 なんと城兵四千が張任・冷苞・高沛に反乱して攻撃する。 これには張任たちも驚く。


「俺たちは物じゃない!」

「そうだそうだ!

 俺たちはお前たちの物じゃない!

 お前たちと同じ人間(ヒト)だ!」


「「「!!?」」」


 兵士たちの反逆は想像以上で、予想以上に酷使しすぎた。


 なんとか張任・高沛は樊城から脱出するけど、逃げ遅れた冷苞だけが城兵四千の怒りに討ち死に・戦死した。



 一方の樊城から三十里離れた場所まで撤退して陣を敷く楊任・楊昂軍の一万の兵士も、遂に楊任たちに対して反乱して攻撃する。


「ッ!!?」

「お…おい、なんだ…お前たち…?」


「チクショウゥゥッ!」

「うるせえぇ!」

「このヤロウゥ!」

「テメエらぁ!」

「ブッ殺してやるぅ!」


 これには楊任たちも驚く。


「お前たち!」

「反乱だ!」


「「うぜえぇぇーーっ!」」

「「「死ねぇーーーっ!!」」」


 ようやく兵士たちを酷使したことに気づくも、もう既に遅い。


 なんとか楊任は陣から脱出するけど、逃げ遅れた楊昂は一万の軍勢に怒りの討ち死に・戦死した。 兵士たちに悪神(アヤカシ)が囁く。


 [樊城を奪え!]…と。


 楊任は南陽へ、張任・高沛は襄陽へ、それぞれ敗走する。 樊城に張魯軍一万と劉璋軍四千と謎の千の軍勢、合わせて一万五千の軍勢が集結。 その軍を指揮するのが、()()伯酸瑁(ハクサンボウ)なのだ。 伯酸瑁は樊城の地下牢に閉じ込められてる于禁・楽進・李典の精神を操って、この樊城を守らせた。 樊城は今、漢にも魏にも呉にも蜀にも、どこにも属していない独立した勢力となった。





  西暦220年・11月 (建安25年)



 伯酸瑁の出現により、張魯・劉璋が相次いで病死。 また伯酸瑁の精神操作を受けた張任・高沛・閻圃・楊任・楊白らと謎の一万五千の軍勢が樊城に集結。 今の樊城は于禁・楽進・李典・張任・高沛・閻圃・楊任・楊白らと三万の軍勢で守られてる。 その李典や張任らは完全に正気を失っており、瞳の色が赤く光る。 伯酸瑁は普通の人間ではなく、悪神(アヤカシ)なのだ。 伯酸瑁の姿は人間には見えない。 だけど伯酸瑁は人間を呪ったり操ったりできる。


 伯酸瑁(ハクサンボウ)…南中に続いて、樊城にも登場。


 最後に悪神(アヤカシ)が囁く。


 [漢よ滅べ!]…と。



 【注意事項】

※また悪神(アヤカシ)伯酸瑁(ハクサンボウ)が登場。 超常的な能力を使用する。

悪神(アヤカシ)伯酸瑁(ハクサンボウ)の目的が何なのか? 本当に漢を滅亡させることなのか?

※今度の樊城は伯酸瑁(ハクサンボウ)()()となった。

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