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【三国志異伝】《唯一無二の計》  作者: 賭博士郎C賢厳
第二章:劉備の南征・南方攻略
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反乱軍全滅:肆

  西暦219年・11月 (建安24年) 



 南中・第二洞村。 既に反乱軍の阿会喃(あかいなん)董茶那(とうとな)忙牙長(ぼうがちょう)の三人が合流。 南蛮兵8万の軍勢を集めて、劉備軍・蜀軍を迎え撃つ準備を進める。 ただ第八洞村を守る兀突骨(ごつとつこつ)だけは孟獲に忠誠を誓う正規軍、金環三結(きんかんさんけつ)木鹿大王(ぼくろくだいおう)朶思大王(だしだいおう)と南蛮兵8万の軍勢に阻まれ、なかなか思うように合流できない。 南中でも特に強いとされる兀突骨不在の中、反乱軍は劉備の大軍と激突することになる。


 反乱軍は村の前で陣を敷く。

 アテにしていた兀突骨がまだ合流していないことに焦りを感じる反乱軍の各将。


「チクショウめが!」

「兀突骨は一体何をしてやがる!」

「マズイぞ! あの劉備軍には張飛っていう化物がいる。 俺たちだけで相手にできるか?」

「いや、俺はあの趙雲ってヤツがヤバイと思っている。 あの槍捌きは半端じゃねえぜ!」

「いずれにしても兀突骨が合流するまで、こちらから討って出れないな。」

「ああ、そうだな」

「おいおい、何ビビってんだおめえら!

 張飛だが趙雲だが知らんが、この俺様がヤッてやるよ!」

「忙牙長…」

「お前…あの化物に勝てるのか?」

「ああ、勝てるね。 この忙牙長様を舐めるんじゃないぜ。 あっという間に終わらせてやるよ!」

「「……」」


 すると、そこに南蛮兵が阿会喃たちの所まで駆け寄る。


「申し上げます!

 劉備軍がすぐそこまでやって来ました!」

「へへっ、遂に来やがったか!」

「何っ、もう来たのか!」

「クソッ、いくらなんでも早すぎる!」

「いいぜ! この俺様が劉備軍なんぞ蹴散らしてくれる!」

「「お…おい…」」

「テメエらは黙ってみてな! この南中で一番強いのは、兀突骨なんかじゃなく、この俺様だと言うことを教えてやるぜ!」

「「……」」


 そう言うと忙牙長は南蛮兵3万を引き連れ、意気揚々と陣を出ていく。 この忙牙長…身の程を知らない者なのか、それとも反乱軍となって、有頂天になったのか、まさか…何も考えていないのか、どちらにしても忙牙長はもう答えてくれないだろう。



 劉備軍・蜀軍が到着すると、すぐに第二洞村の前で陣を敷く反乱軍の目の前で陣を敷く。 そしてすぐさま王平・呉懿・呉蘭ら将軍が自分たちの兵を引き連れ、陣から出る。 そこで同じく陣から出てきた忙牙長と対面・対峙する。


「おい、張飛ってヤツはいるか?」

「何っ、誰だ?」

「なんだお前…?」

「俺様は忙牙長って言うんだ!」

「忙牙長だと?」

「ふん、お前ごときが張飛将軍の相手になるか!」

「そうだ! まず俺たちを倒してからにしてもらおうか!」

「おう、ならばテメエらを倒して、張飛ってヤツを引きずり出してやる!」

「何を! 言いやがったな!」

「小癪な! 返り討ちにしてやる!」


 そう言うとまず忙牙長と王平が、それぞれ単騎で駆け寄り、一騎討ちが始まる。 確かに忙牙長も強いけど、強力な王平の相手にならず、王平の猛攻を凌ぐのみに終始する。


「こ…コイツ強い…」

「おい、逃げるな!」


「おお、敵が逃げたぞ!」

「追撃しろ!」


 なんと! 一騎討ちの最中に王平の強さに臆した忙牙長が敵に背を向けて、慌てて自分の陣に逃げ帰る。 それを見た呉懿と呉蘭が自分たちの兵に突撃命令を出す。 ここで忙牙長に南蛮兵3万と王平・呉懿・呉蘭に蜀軍6万が激突する。 その中で、王平が忙牙長の後ろ姿を見つけると、素早く槍で忙牙長の背中を刺し貫く。


「待て! 逃げるな! 大口叩いて、勝てないと逃げるのか! それが南蛮の将軍か!」

「うがっ!」

「お前に南蛮の将の資格などないわ!」

「ぐわっ!」


 背後から背中を貫かれて、そのまま剣で背後から首をはね飛ばされた忙牙長。 王平が忙牙長の首を高々と持って、勝鬨(かちどき)をあげる。


「忙牙長の首! この王平が討ち取ったり!」

「「おおっ、さすがは王平だ!」」

「よし、忙牙長の残りの南蛮兵も片付けろ!」

「おお!」「おう!」


 忙牙長を討たれた南蛮兵が戦意喪失。 さらに倍の兵力のある蜀軍に次々と討たれていき、あっという間に忙牙長と南蛮兵3万は王平・呉懿・呉蘭と蜀軍6万に討ち取られた。 もはや張飛と戦う前に王平に討ち取られるなど、忙牙長も夢にも思っていないだろう。 それほど蜀軍の将軍の質が南蛮の将軍の質より優秀なのだ。


「よし、一気に行くぞ!」

「そのまま攻めかかれ!」

「これで終わりだ!」


「よし、我らも行くぞ!」

「続けぇ!」


 そのまま勢いに乗って、王平・呉懿・呉蘭と蜀軍6万が反乱軍の本陣まで攻めかかる。 また勢いに乗じて、馬良・馬謖・糜竺と蜀軍6万の軍勢も反乱軍の本陣に攻めかかる。 このまま反乱軍の本陣にて、待機中の反乱軍5万となだれ込んできた蜀軍12万が乱戦・奮闘する。 反乱軍の南蛮兵の数がどんどん減っていき、ドサクサ紛れに阿会喃と董茶那の二人も討ち取られた。 蜀軍が第二洞村に来て、半日もしないうちに、反乱軍は全滅。 忙牙長・阿会喃・董茶那の三人も討ち取られて戦死。 残るは兀突骨のみである。 結局、この戦闘では張飛・趙雲の出番はなかった。


 蜀軍・本陣の惟幕(いばく)にて、反乱軍全滅の報告を聞いた劉備。


「そうか、あの三人を討ち取ったか…」

「はっ、反乱軍の南蛮兵も降伏したり逃亡したりして、軍としての機能を失いました。」

「ふむ、よくやった王平・呉懿・呉蘭」

「「「ははっ!」」」

「では…あとは兀突骨だけだな。

 兀突骨は南中でも特に強いとされているけど、果たして張飛・趙雲の敵となるか?」

「へへっ、腕が鳴るぜ!」

「我が槍で討ち取ってみせます!」

「スゲエな!」

「よし、次の第三洞村に向けて出発するぞ!」

「「「「はっ!」」」」


 劉備が号令をかけ、家臣一同が臣下の礼をとって、それぞれの持ち場に戻る。 その日の夜はみな陣で休み、翌日には劉備軍・蜀軍が次の第三洞村に向けて進発する。





 南中・第三洞村。 ここでは既に金環三結(きんかんさんけつ)木鹿大王(ぼくろくだいおう)朶思大王(だしだいおう)と南蛮兵8万と反乱軍の兀突骨と南蛮兵2万が戦闘を開始していた。 両軍共に乱戦・奮闘しており、背後から劉備軍・蜀軍が迫っていることに気づいていないようだ。 劉備は祝融から受け取った木札と書状を持っているので、反乱軍の兀突骨さえ倒せば、あとは第九洞村まで邪魔する者も居ないまま、スムーズに行けるはず。


「クソッ、強い!」

「ええい! 相手はあの兀突骨だ!

 油断するな!」

「クソッ、ここから先へは通さんぞ!」


「ええい! 邪魔な連中だな!」


 兀突骨と南蛮兵2万に対して、金環三結(きんかんさんけつ)木鹿大王(ぼくろくだいおう)朶思大王(だしだいおう)と南蛮兵8万が相手。 兵の数では(まさ)っているのに、南中でも最も強いとされる兀突骨が思った以上に奮闘しているため、なかなか兀突骨軍を全滅させられない。 しかし、反乱軍はもう兀突骨しかおらず、孤独な反乱者・兀突骨の戦いは続く。


 だが…孟獲派の正規軍にも意地がある。

 このまま兀突骨軍を全滅させ、もう二度と南中で反乱を起こさないためにも、あともう少しの辛抱であり、ここまで来たら意地でも頑張らないといけない。 そんな孟獲派の正規軍の背後までやって来た劉備軍・蜀軍は、孟獲派の正規軍の頑張りと両軍の乱戦・奮闘ぶりを見て、この(スキ)に兀突骨軍の背後へそっと静かに回り込む。


「「「ん?」」」


「な、なんだ?」


「「「あ…アレは…? まさか……?」」」


「えっ……!?」


 兀突骨軍の背後の異変にいち早く気づいた金環三結(きんかんさんけつ)木鹿大王(ぼくろくだいおう)朶思大王(だしだいおう)と南蛮兵8万の孟獲派の正規軍。 その孟獲派の正規軍の驚愕ぶりに不審に思い、後ろを振り向く兀突骨軍。 そこには既に劉備軍・蜀軍30万がズラリと並んでいた。 それと兵たちの前で張飛が馬上から兀突骨を(にら)み付ける。


「テメエが兀突骨か?」

「お…お前は……?」

「俺様は張飛って言うんだ!」

「何っ、張飛だと!?」

「なんと! 劉備軍がいつの間に兀突骨の背後へ?」

「気づかなかった…蜀軍がもう第三洞村まで来ていたのか…?」

「戦いに夢中で気づかなかった…」


 張飛と並んで劉備と趙雲も前に出た。


「我々は孟獲殿の援軍として参った。

 この様に祝融殿から木札と書状を頂いておる。」


 劉備が木札と書状をみんなに見せる。


「な、何っ!?」

「おおっ!!」

「な、なんと!?」

「す…スゲエェ!!」


「既に帯来洞主殿と合流して、阿会喃・董茶那・忙牙長の三名を討ち取っている。」

「な、何っ!?」

「おっ、ヤったか!?」

「な、なんと…凄いのだ!」

「マジか…ヤるなぁ!」

「兀突骨よ。

 そなたも潔く降伏するがよい。」

「ふざけるな!

 ここまで来て降伏などできるかぁーーーっ!」

「…そうか…」


 兀突骨が馬上から劉備めがけて駆け寄るが張飛も馬上から兀突骨めがけて駆け寄る。 ここで兀突骨と張飛の一騎討ちに入る。


「ほれほれ、どうした?」

「おのれぇーーっ!」


 兀突骨の大刀・剣の攻撃を全て張飛が蛇矛で受けきり、張飛の蛇矛の鋭い一突きが兀突骨の胸部を刺し貫く。


「そりゃあああぁーーっ!」

「うがぁぁ―――」


 兀突骨が馬上から崩れ落ち、そのまま絶命する。 そして張飛も馬上から降りて、兀突骨の首を切断。 首を高々と上げる。


「兀突骨の首…この張飛が討ち取ったぞ!」

「おおっ!!」

「な、なんと!?」

「マジか……スゲエェ!!」


 あれほど孟獲派の正規軍が苦戦していた兀突骨を張飛が一人で一突きで容易(たやす)く倒してしまった。 やっぱり蜀の猛将張飛は、ここでも健在である。 兀突骨も張飛に討たれ戦死。


「よし、残りの反乱軍も蹴散らせ!」

「「「おおぉーーーっ!!」」」


 趙雲の号令の(もと)、蜀軍30万が一気呵成に反乱軍に突っ込む。 こうなると反乱軍2万は大将の兀突骨も討たれたこともあり、極端に士気は()がり戦意喪失状態。 蜀の大軍になすすべなく蹂躙されてしまい全滅する。 ここに孟獲派の正規軍があれほど苦戦していた反乱軍を劉備軍・蜀軍30万が一気に全滅させたことになる。 さすがは蜀軍。 やっぱり要らぬ杞憂だったか?



 【注意事項】

※今回は全てが架空なので注意点はない。


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