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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見と時平の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)
75/505

EP75:清丸の事件簿「静穏の弦音(せいおんのつるおと)」 その7

兄さまが

波子姫(なみこひめ)のところにあった象牙の(ばち)はあの五弦琵琶と一緒に作られたものではない。そもそも、日本では四弦琵琶が主流だから、あの五弦琵琶は唐渡(からわたり)の物だ。大陸では琵琶を弾くためのものは(ばち)ではなく五本の指先に()めるつけ爪だ。だから五弦琵琶と同時に作られるとしたらつけ爪であるはず。

波子姫(なみこひめ)は木製の(ばち)を使っていたので、象牙の(ばち)は誰かがあの五弦琵琶を弾くために持ち込んだんだろう。

確か藤原玄象(ふじわらげんぞう)は琵琶の名手で、河堀(かわほり)と最近接触し私の蔭口(かげぐち)を言ったようだし、その際におそらく私と同じように波子姫(なみこひめ)との逢引きを用意され、藤原玄象(ふじわらげんぞう)波子姫(なみこひめ)と関係を持った。その際に愛用の象牙の(ばち)を使い五弦琵琶を弾いた。よっぽど親しくなければ高価な象牙の(ばち)をそのままにしておくことはない。

藤原玄象(ふじわらげんぞう)間者(スパイ)として波子姫(なみこひめ)をあてがわれたことに気づいてないのだろう。どこか間違っているか?」

河堀(かわほり)を睨んだ。

河堀(かわほり)は震え上がったが

「な、何を(おっしゃ)るのです?私は藤原玄象(ふじわらげんぞう)よりも、あなたの味方です!藤原玄象(ふじわらげんぞう)があなたを()しざまに言うのを(いさ)めたぐらいですから!」

兄さまはフフンと鼻で笑って

「あなたの(タチ)が悪いところは、まるで蝙蝠(こうもり)のように両方に取り入ろうとしたことです。波子姫(なみこひめ)を使って私と藤原玄象(ふじわらげんぞう)を上手く操り、情報を探って、私と菅公(かんこう)、両方の美味しい部分を味わおうとしたんですよね?そもそも波子姫(なみこひめ)はあなたに心酔して間者(スパイ)を引き受けたんじゃないんですか?

波子姫(なみこひめ)の恋心を利用し、私と菅公(かんこう)のどちらが勝っても損しないように立ち回ろうとするとは、まったく・・・敬服(けいふく)しますが、私との付き合いはお断りします。」

ときっぱりと言った。

私は『波子姫(なみこひめ)河堀(かわほり)と恋人関係だったの?じゃあ兄さまがお世話しなくても後ろ盾があるのね?』と同情しなくてよかったことにホッとした。

そして火事だと嘘をついて兄さまを奪還(だっかん)?したのも間違ってなかったんだ!とホッとした。

河堀(かわほり)は兄さまの推測をハッキリとは認めなかったが、目を逸らし大汗をかいて手巾(しゅきん)でしきりに拭っていたので多分当たってる。

それにしても河堀(かわほり)目論見(もくろみ)藤原玄象(ふじわらげんぞう)には成功したんだからやっぱり凄腕(すごうで)だなぁ!と思ったけど、こんなことにまで謀略(たくらみ)を込める朝廷の官人たちってストレスでおかしくなりそう!と思った。

 河堀(かわほり)が帰った後、私は兄さまに

「聞こえない音が実際効果のある呪いになるのなら、目に見えない『光』が心霊とか精霊とか神秘的な生き物として実在しているのかもね?」

というと、兄さまは

蝙蝠(こうもり)は人には聞こえない超高周波音を聞くことができるというし、霊能力者は普通の人間の領域ではない周波数の『光』を見ることができる人間かもしれないな。」

と言った。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

低周波音は工事現場や家電のモーター音やエンジン音からでるそうでガタつきも生じるらしいですが、確かにストレスになりそうですねぇ。

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