表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/505

EP44:番外編:有馬②

衣を剥いで有馬の豊満な乳房を口を使って愛撫すると、有馬は快感の声を漏らした。

時平はつねづね、自分の欲望を満たそうとするとき、相手の女性には快楽をもたらすのが最低限の礼儀だと思っていた。

女性が快感を感じるまで手や口で丁寧に愛撫し、十分に潤ったところで自分の欲望を満たす段階に移る。

豊かな肉体の女性は多くの場合、母性にあふれていて、時平をいつも甘えさせてくれた。

時平が気乗りしないときには逆に口や手で刺激してくれ、最後まで導いてくれた。

今も時平は、有馬を愛撫している途中で、浄見を思い出し、いつもならそれがより刺激となって気持ちが高まるのに、今日は怖気づいたまま、その気がなくなってしまった。

浄見のことを考え、絶望し、苦しくなり、イライラするという事を繰り返すうちに、女が煩わしくなっていた。

「すみません。今日は無理です」

と体を仰向けに投げ出し正直に言うと、有馬は驚いたようだが、

「では、わたくしが・・・」

といって、口に含み、手で刺激し、反応させると、その上に乗り、自分で動いた。

時平が刺激されるまま、脊髄(せきずい)反射的に果てると、有馬は時平の上で挑むように

「誰があなたを苦しめているの?」

というので時平は苛立った口調で

「子供です。つまらない、どうにもならない事について考えるのがもううんざりなんです。考えたくない。」

「お子様の中に手がかかる子がいるの?」

時平は浄見の勝気な顔を思い出し、触れたいのに触れられない自分のふがいなさと、他の男に微笑みかける浄見の姿に苛立ち

「いや、子供じゃない、私の・・・私の女だっ!」

と思わず吐き捨て、上半身を起こしたので驚いた有馬は慌てて時平の上からおりた。

有馬が横に座りなおすのを見つめながら時平は

「すみません。こんなことになって。申し訳ないと思ってます。」

と謝ると有馬はぼんやりと見つめ、ぽってりとした唇を少しあけ

「また、いつでも、苛立った時はお相手しますわね。」

と微笑んだ。

時平は今更ながら申し訳なく思って

「これは、その、本気ではなく、お互い遊びの関係だと思っていますが、それでいいですね?」

と念を押すと有馬は

「まぁ!野暮なことをおっしゃらないで。男女の仲なんていつどうなるかわかりませんでしょ?あなたの方がわたくしに夢中になるかもしれないでしょ。」

と笑いながら言った。

時平は、今まで数々の女性たちに、甘え、慰められ、心の傷を癒されてきたことにつくづく感謝した。

「あなたのような母性の(あふ)れる人を好きになればよかった。」

と時平がぽつりと漏らすと、有馬は

「え?何かおっしゃった?」

と忙しそうに衣を着付(きつ)けながら聞き直した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ