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EP33:番外編:破瓜(はか) ①

R15?R18?ですかね?

これで最後にします。

多分。

 時平が浄見を傷つけることを恐れるあまり、最後の一線を超えるのをためらっていた頃、浄見の元に時平が怪我をして安福殿(あんふくでん)(内裏の殿舎のひとつ)で療養しているという知らせが届いた。

同僚の女房の桜いわく

「帝が渡殿(わたどの)から転げ落ちそうになられたのを引っ張り上げた拍子に大臣(おとど)が代わりに下に落ちなさったらしいわ。手首を捻挫したと聞いたわ。」

と宮中の噂に耳が早い。

浄見はそれを聞いて『大丈夫かしら?』とソワソワしたので様子を見に安福殿を訪れた。

途中の人目を避けるため扇で顔を隠しながら、足早に向かい安福殿につくと、侍医が控えていると思ったのに誰もおらず、あたりをキョロキョロ見回した。

すると几帳や屏風を立てて囲ってある一角を見つけ、『あそこかな?』と近づいた。

几帳の中へ向かって

「お休みのところを失礼いたします。伊予と申しますが、左大臣さまが療養なさっていると伺ったのですが」

と声をかけると、中から時平にしてはよそ行きの声で

「あぁ、伊予殿か、入ってきなさい」

というので、浄見は『兄さまの他に誰かいるのかなぁ』と思いつつ几帳の帷をたわめて中に入った。

時平のそばには、十を少し出たばかりに見えるあどけない、だが顔形の美しい侍女が時平の手首を揉んだりほぐしたりしている。

もう一人のこれも見目麗(みめうるわ)しい少女が時平の隣に座り、(うつわ)を持ち、(さじ)を時平の口に運び薬を飲ませていた。

浄見が時平の顔をちらっと見ると、やましいのか時平の目が泳いだ。

「あ~~、二人ともありがとう。もういいから下がってくれ」

と言うと、二人の少女は軽く頭を下げてしずしずと出て行った。

浄見が時平の横に座り込んで黙って顔を見ていると、時平は焦って

「あ、あれは、帝が気を使って私の世話をするようにとよこしてくれたんだよ!別に何があったわけじゃないからね。」

「言い訳しなくても私は何も言ってないでしょう?兄さま。帝も兄さまの好みを熟知してらっしゃるようね。仲がおよろしいこと。」

と時平をからかうと

「こ、好みって何?どーゆー意味だよ!」

と時平が焦るのを浄見は面白がっていたが、真面目な顔になって

「怪我は大丈夫ですの?心配しましたわ!」

「あぁ、大丈夫。捻挫しただけだよ。すぐに治るさ。」

と手首を動かそうとして痛そうに顔をしかめた。


 浄見は時平に会うのは一週間ぶりだったので、寂しさがつのっていたところに思いがけず二人きりになれたので急にドキドキした。

時平も真剣なまなざしで浄見を見つめ

「久しぶりに見ても浄見は・・・」

と頬に触りながら言いかけてやめたので、浄見は時平の手を取り手のひらに口づけ

「ずっと会いたかったわ。兄さま。」

というと、時平は浄見の肩を引き寄せ抱きしめた。

そのまま浄見を押し倒し、長い口づけを交わす。

浄見は『手首が痛くないのかしら?』と思っていると、時平が下紐を解き始めた。

浄見は

「兄さま!ここは誰かくるかもしれないし、ダメよ!」

と焦ったが、時平は浄見の衣を脱がすのをやめる気配はない。

時平の唇が浄見の胸に触れ、舌で愛撫されると浄見はその部分が敏感になり思わず吐息を漏らした。

浄見の中で何かを待ち望んでいる気配がした。

奥が疼き、身体のその部分が潤んで、わずかな刺激にすら反応しそうになった。

時平の指がそこに近づこうとするだけで、浄見は身をよじった。

快楽の予感は同時に罪悪の予感でもあった。


時平は指で浄見のその部分を確かめると、しっとりとした感触があった。

それだけでも興奮を覚えた。

その時、几帳の外から

「左大臣様?そこにいらっしゃるの?わたくし薬をお持ちいたしました。」

と声がした。

浄見はハッとして『こんな恥ずかしい姿をみられたら、後宮中でいつまで噂されるか知れたもんじゃない!』とぞっとして、はだけた衣の衿を閉じて身をおこそうとした。

浄見が焦って衣を胸に引き寄せようともがくのを時平は腕をつかみ上半身をのせて押さえ込んだ。

「今取り込み中だから、遠慮してくれ」

と几帳の外に向かってそっけなく言うと、

「まぁ!せっかく、捻挫によく効くお薬をわざわざ女御からいただいて持ってきましたのに!入ってよろしいでしょう?」

としつこく食い下がるので、時平は舌打ちをしてめんどくさそうに

「取り込み中だから、相手はできないが、それでよければどうぞ」

と言い放った。

浄見はおどろいて『はぁ?何考えてるの?見られたらどうするの?』とますます焦って、上にのった時平の体をどかそうと必死にもがいた。

「兄さま!どいてちょうだい!衣が着れないわ!」

とヒソヒソというと

「やだ。」

と時平は浄見の腕をつかんだままピクリとも動こうとしない。

時平はニヤニヤと浄見が暴れるのを見ていたが、几帳の帷をよけて誰かが入ってくるのを感じると掴んでいた腕を離し、浄見の背中に手を差し込み浄見を抱きしめ、わざと胸に顔をうずめた。

浄見は時平の唇と息の感触を胸に感じびっくりして『ひゃっ!』と声が出かかった。

動きを止め真っ赤になった顔を上げると、息をのみ青ざめた顔でこちらを見る丹後と目が合った。

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