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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)
273/505

EP273:伊予の事件簿「霊験の水精(れいげんのすいせい)」 その2

桐壺からお菓子を届けてくれたついでに私の(へや)で、文机のそばに足を投げ出して座ってブラブラさせながら。

茶々(ちゃちゃ)

「『霊験の水』っていうのがあるらしいのぉ~~!で、それがね、寝所に置いておくと意中の人と相思相愛になれるんだってぇ~~!でね、飲むと病気が治るとか、好きな人と一緒に飲むと恋愛成就するとかぁ、いいこと尽くしらしいのぉ~~。」


手を止めて、眉をひそめ

「そんな都合のいい薬があるの?今流行ってるの?もしホントなら貴重すぎて手に入らないんじゃない?」


「だからぁ~~、伊予に聞いてるのよ!大納言様とか上皇侍従様とか、太~~~い人脈があるでしょ?」


ムッとして

「大納言様とは簡単に会えないのっっ!・・・忠平(ただひら)様?はそうねぇ。文を出せば都合はつけてくれると思うけど。『霊験の水』を持ってるかどうかは知らないわよ!私に頼む前に桐壺更衣様の人脈は・・・・もう頼んだのね?」


ウンウンと何度も頷く茶々(ちゃちゃ)の姿が目に入った。


「だってぇ~~!この前の和歌の師匠も殺人鬼だったでしょ?その前の淡竹(あわたけ)さんも貢がせてた姫にナニされちゃったし、遊び人だったし。

チッ!私って見る目が無いのよね。運も悪いしっ!!こうなったら神頼みや願掛けしかないじゃない!」


面長でほっそりとした顔に扁桃(アーモンド)形の生気のある目を吊り上げ、悔しそうに歯ぎしりしながら大きい口を横にグイッと開き、それこそ鬼の形相で吐き捨てた。


怖~~~~っっ!!!


茶々(ちゃちゃ)が上目遣いでジッと見つめボソッと

「『比翼連理(ひよくれんり)』って恋愛仲介所なんでしょ?行ってみたんでしょ?どうだった?良い男性が来てた?」


えぇ~~?

刃傷沙汰(にんじょうざた)や詐欺被害まであった物騒なところなのに、まだ興味あるの?

困惑して

「ええとぉ、あそこはやめたほうがいいよ!そもそも『比翼連理(ひよくれんり)』を運営してる代表者があまり信用できない人だし」


泉丸(せんまる)に関われば茶々(ちゃちゃ)の身の安全を保障できない!!

私だっていつ誘拐されるかもしれないのに!!

危険人物には近づかないに越したことは無い!!

茶々(ちゃちゃ)はますます疑わしそうに、扁桃(アーモンド)形の目を三白眼の上目遣いにして睨み付け

「何よぉ~~!私が知らないとでも?伊予が竹丸を通して(チョー)美形の美男子(イケメン)と牛車で逢引きしてたのを!それが『比翼連理(ひよくれんり)』の代表者でしょ?大内裏の情報網を舐めないでよねっ!!名前は?知り合いなの?その人が原因で大納言様と別れる事になったの?なぜ伊予ばっかりモテるの?」


矢継(やつぎ)(ばや)に質問され、混乱で頭がいっぱいになったけど


「あの、まず、名前は泉丸(せんまる)。で、知り合いで『比翼連理(ひよくれんり)』の代表者だけど、仲良くはないし、モテてるというより、敵意を持たれ嫌われてるといった方がいいかな。大納言様と別れる直接原因というわけでもない。あのときは竹丸に呼び出されて、牛車で話をしたんだけど、逢引きじゃなく脅迫されたの。竹丸は泉丸(せんまる)のいいなりだから信用できないときもあるの。」


ふぅ~~ん。

目を細めて鼻であしらった後

「じゃあ、泉丸(イケメン)を隠してたことは許すわっ!!そのかわり『霊験の水』を調達してちょーだいっ!あと誰でもいいから美男子(イケメン)も紹介してっ!!犯罪人じゃなければ誰でもいいわっ!泉丸(せんまる)でもねっ!!」


だから、泉丸(あのひと)は絶~~~~っ対っやめた方がいいってっ!!

危険な(ヤバい)人だって!

あと、多分、好きなのは女性じゃないと思う。


 とりあえず身近な人で『霊験の水』を調達できそうな人といえば・・・

竹丸!

思いついて、文を書いて、影男(かげお)さんに手渡しながら

影男(かげお)さんは知ってる?『霊験の水』のこと?」


無表情な三白眼が少し揺れ、(まばた)きが多くなり

「い、いいえ、はっきりとは知りませんが、服用すると咳止め、たんきり、下痢止め、消炎、むくみの利尿に効用があるとされるそうですね。それと・・・・」

最後は赤くなってゴニョゴニョといい渋る。


そんなに照れるワケが分からず、じれったくなって


「知ってるわ!『寝所に置いておくと意中の人と相思相愛になれる!』でしょ?」


フフン!と得意になりながら、悪戯(いたずら)っぽく目を覗きこむ。


影男(かげお)さんがキョトンとして私を見つめ、

「そ、そう!そうですね!そうですよ!ハハハッ!では竹丸に文を届けてきます。」

ヘンな感じで空笑(そらわら)いして立ち去った。


何なの??!!


竹丸から(さる)の刻三つ(午後四時)に陽明門で会いましょうという文を受け取って、時間通りに陽明門へ向かった。

陽明門で待ってる竹丸に手を振る。


「あ~~!姫っ!ちょうどよかったです!私も姫に相談したいことがあったんです。」

(その3へつづく)

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