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EP27:番外編:ねやのひまさえ①

R15?R18?でしょうか?

そうでもないと思うんですが。

時平が29歳、浄見が17歳のころ、時平は暇さえあれば浄見の元へ通っていたが、女房には鍵のかかった部屋があるわけではなく、几帳や屏風で仕切られた空間を寝床にしているだけなので、もちろん、音は筒抜けだし、誰でも出入り自由だった。

暗黙のマナーで房事の間は近くに寝る女房は席を外すとはいっても、時平のように堂々と眠り込んでしまうと皆が一晩中、外で過ごすわけにはいかないので自然、伊予(=浄見)の(へや)がある(たい)(建物)には時平とその周囲の(へや)には女房が数人寝ていた。

浄見が椛更衣のお世話を終えて自分の(へや)に疲れて帰ってくると、几帳をよけて入ろうとする前から、(へや)の中に人の気配を感じた。

几帳の帷の隙間から中を覗くと、小袖という下着姿で横たわる男と、その横に座り、男の下半身に顔を近づけている女の姿が見えた。

浄見が最も驚いたのは、その女が一糸まとわずのふくよかな裸体で体を折り曲げている事だった。

浄見はいったん外へ身を引き、周囲を見渡して、自分の房であることを確かめたのち、もう一度、帷の隙間からのぞくと、同じ光景が見える。

浄見は焦った。

自分の房であるからには、横たわる男はおそらく時平だろう。

では全裸の女は誰で、なぜここにいて、何をしているのか?

このまま席を外すほうがいいのか?と考えて、いやおかしいのは彼女たちだ!『私の房で一体何をしているのよ!』と急に怒りがわいてきた。

強気になって几帳を蹴飛ばす勢いで、ザッとよけてはいると、女がやっと折り曲げていた身体を伸ばし、こちらを向いた。

女房の丹後だった。

丹後は口を半開きに開けてうつろな目でぼんやりとしている。

「こっ!ここで何してるのよ!あなたたち!」

と浄見は怒りをにじませつつ、あまり大きな声は出せないので、小さく叫んだ。

横たわっていた男がムクリと起き上がり

「えっ?!あっ!なんだ?これっ!」

と自分のはだけた衣(主に下半身)を見て、驚いたように叫んだ。

浄見は時平に向かって

「兄さまっ!これはいったいどういう事?説明してもらえる」

とあるあるの修羅場状態になった。


 「え?いや?説明って何?これどーなってるの?ここは浄見の房だよね?」

と時平は伊予というべきところを浄見と言ってしまうほどテンパっている。

そして自分のはだけた衣と裸の丹後の姿を見て青ざめ、口をパクパクさせた。

「わ、私は、きよ・・・伊予をここで待っている間に眠ってしまったんだ。そこから今まで何の記憶もないんだ。」

時平はやっとのことでそれだけ言うとうつむいて黙り込む。

浄見は丹後の方を向いて

「まず衣を着てくださる?丹後さん。そして何をしていたかを説明していただけますか?」

と丁寧にキレた。

丹後は微笑みを浮かべながら優雅な手つきで、脱ぎ捨ててあった小袖を拾い、身体にまとうと、手早く下紐を結んだ。

「何をしていたか?・・・言ってもいいのかしら?時平様?」

と時平に流し目をおくると、時平は

「別に!何もしていないじゃないか!なんだその言い方は!」

と慌てる。

丹後はまたフフンと鼻で笑って、

「伊予のような子供にはわからない大人の愛し方よ。」

と浄見を目の端で見る。

浄見はさっき見た丹後の豊満な・成熟した肉体を思い出し、自分の痩せて貧相な体と比べて男性がどちらを好むか?を考えると一目瞭然の答えであることを丹後に皮肉られ、悔しくなった。

時平目当ての女房達があてつけによく言う『伊予は子供だから』という言葉は全部、この自分の痩せた体型と女性を象徴する部分の女らしさの欠如を指摘していることに、浄見は気づいていたが、気にしないようにしていた。

いったん気にし始めると、劣等感まみれになり、時平とまともに顔も合わせられなくなりそうだったから。

悔しすぎて涙がボロボロと頬をつたい、自分ではとめられなくなった。



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