表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

250/526

EP250:伊予の事件簿「虎斑竹の花(とらふだけのはな)」 その7

「え?ええと、淡竹(あわたけ)っていう遊び人貴族が、貢がせてた四方女(よもめ)という姫に恨まれて殺されたの。その四方女(よもめ)っていう姫はモテない男性から大金を貢がせてたのね。茶々が淡竹(あわたけ)にナンパされて付き合うかどうか悩んでたから泉丸(せんまる)淡竹(あわたけ)の『人となり』を確認しにいったの。」


影男(かげお)さんが三白眼の黒目を上に動かし思い出そうと

泉丸(せんまる)って、あぁ、『比翼連理(ひよくれんり)』の彼ですか。彼には妻や恋人はいないんですか?竹丸にもいませんよね?」


泉丸(せんまる)?さぁ、知らないわ。竹丸はいないわね。それがどうしたの?」

目を丸くして見つめる。


影男(かげお)さんが真剣な顔で見つめ返し

「私には妻も恋人もいません。」


「はぁ?有馬さんと桜がいるでしょ?」


首を横に振り

「有馬はあなたに近づくために篭絡(ろうらく)しただけです。あれ以来、関係を持っていません。

桜は兵部卿宮を嫉妬させるために頼まれて一芝居打っただけです。手を握ったこともない。」


ふ~~~ん、そう。

だから何?


ワケも分からずジッと見つめ合ってると

「あなたの恋人になることができます。」

ポツリと呟いた。


あまりにも無表情に照れもせず言うのでビックリして

「えぇ?本気で言ってるの?遊び相手じゃなく?」


ムッとして

「本気がいいなら本気になるし、遊びがいいなら遊びにします。」


そこまで他人まかせなの?

自分の気持ちはないの?


「そんなにどうでもいい感じなら恋人になってくれなくてもいいわ!他を当ります。」


「分からない人だなぁ!!」

口早に呟き、頬を両手で挟まれた。


手を払いのけようと

顔をブンブン振る。


そんな事はお構いなしに抑えつけられ口づけされた。


口中を確かめるように

丁寧に

おずおずと

激しく


私の舌を(から)めとり

やさしく吸う


大事にされてるのが

伝わる


(たくま)しい腕や

ゴツゴツした指から

想像もできないくらい

繊細な優しさで

口づけされた。


たどたどしい動きが

はじめてしたときの兄さまを思い出し


「ぅんっ!」

無意識に声を漏らしてた。


口づけが激しさを増し

手が背中を()()

身体をギュッと抱きしめられた。


忘れられる?

兄さまのことを?


一度考えてしまうと

違うところが気になって

続けていられなくなった。


手で体を押しのける。


三白眼の黒目が大きく輝き、食い入るように見つめる。


(へや)にいってもいいですか?」

掠れた声で呟いた。


う~~~ん

悩んでると突然

背中にあった腕の感触が無くなった。


影男(かげお)さんの腕が誰かに掴まれ持ち上げられてるのが目の端に見えた。


ドスの効いた低い声で

「今、邪魔なのはあなたの方だと分からないんですか?」

影男(かげお)さんが(すご)んだ。


「伊予に話がある。お前は去れ!」


兄さまが(わずら)わしそうに影男(かげお)さんの腕を払いのけた。

私の腕を掴み、御簾の中に引っ張り込もうとした。


連れて行かれそうな私に影男(かげお)さんが


「伊予どのっ!どちらを選ぶんですか?大納言と私とっ!!」


鋭く叫ぶ。


立ち止まり、兄さまの腕を腕から外した。


「大納言様、私はもうあなたのことを忘れます。あなたも私のことを忘れてください。」


兄さまが絶句し動かなくなった。


「もう、二度とあなたに会いたくない。帰ってください。」


言い渡して体を押しのけ、一人で御簾の中に入ろうとした。


ガッ!!


兄さまがもう一度強く腕を掴み、荒々しく御簾を払いのけ私を引っ張り込んだ。


影男(かげお)っ!見たいのならついてこいっ!!見せてやるっ!伊予が誰を選んだのかをっ!」


影男(かげお)さんは立ちすくんでいた。


私は無理やり引っ張られるのに抵抗し腕をブンブン振りながらも、ズルズルと引きずられていった。


グイッ!!


手荒く引っ張られ(へや)のなかに投げ入れられた。

投げ出されそうになるのを、両手をついて身体を支えた。


手早く直衣(のうし)を脱ぎ捨てながら

「脱げっ!!」


「嫌っっ!!」


怒りで顔を引きつらせながら

「私のものだっ!!浄見は私のものにするっ!!誰にも渡さないっ!!」

苛立たたしそうに(はかま)の紐に手をかけた。

(その8へつづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ