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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)
203/505

EP203:伊予の事件簿「妖かしの醤(あやかしのひしお)」 その6

その女性はよく見ると切れ長な目に長い睫毛が美しいだけでなく、高いシッカリした鼻と、形のいい唇は、かなりの美人。

「私たちの『あやかしのひしお』という商品に何か問題があってお調べになっていると聞きました。

何を調べたいんですか?

人気の商品だからといって、お上に(とが)め立てされることは何もしてませんわ!

どこでもお調べになっていただいて結構です。」

キッパリと言い放った。


兄さまがニッコリと微笑み

「あなたが美蘇子(みそこ)さんですね?この(ひしお)工房の代表者の?

ではお言葉に甘えて、調べさせてもらいます。

まずこの(ひしお)樽を上から見せてもらえますか?」


梯子(はしご)が用意され、樽に立てかけられ、一人ずつ順番に中を見せてもらった。

茶色いブツブツした液体と固体との間のような(ひしお)が樽の表面を覆っててその下は見えなかった。

兄さまは混ぜてもらって中を見せてもらってたみたい。


「では次は材料を見せてもらえますか?」


美蘇子(みそこ)はにこやかに頷き先導して歩いた。

蔵を出てその裏に回ると、正倉のように高床(たかゆか)の倉が数戸あり、梯子(はしご)をかけて一つずつ見て回ることになった。

一倉(ひとくら)目は米俵(こめだわら)が置いてあり、兄さまは

「中の米を見せてください」

美蘇子(みそこ)が取り出し器に入れて見せた。


二倉(ふたくら)目は麻袋(あさぶくろ)のなかに麦が入ったのが数袋あり、大豆が入ったのが数袋、塩が入ったのが一袋あった。

それぞれ袋の中を見せてくれ、大豆、塩は普通に見えた。

普通の麦が入った袋が数袋あり、最後の袋に入った麦の穂には長くて一寸(3cm)ぐらいの黒い角が生えてて

『えぇ~~~?何?気味が悪い!』

とちょっと引いた。


(こうじ)も見せてもらえることになって、蓋の付いた壺に白い炊いたご飯にうっすらと白い膜のような(かび)?がついて覆ってた。

「塩切り(こうじ)です。他の壺も同じです。乾燥(こうじ)もあります。」

兄さまはいちいち全てを見せてもらってた。


穀物倉をでて(ひしお)蔵の見えるところに戻り、兄さまが蔵を見ながら

「三棟すべて『あやかしのひしお』ですか?」


美蘇子(みそこ)は少し緊張した面持ちで

「いいえ。一番西にあるのは研究のためにいろいろな事を試している蔵です。」


兄さまは美蘇子(みそこ)をジッと見つめ

「その中から商品になってるものはありますか?」


美蘇子(みそこ)は首を横に振り

「ありません。試行錯誤中のものばかりです。

新しい(ひしお)を一つ作りだすのでも大変な時間と労力と経費がかかります。

『あやかしのひしお』の売れ行きがよくてやっと何とかなっていますの。」


確かに~~~!

材料も無駄にするかもしれないし、温度や湿度の管理、工程、再現性、安全性、全てを考慮してたら大変!

その努力には頭が下がる!

銭がいくらあっても足らないでしょうねぇ~~~!

しみじみ苦労を想像して(?)かみしめた。


美蘇子(みそこ)が急に(なま)めかしく首を(かし)げ兄さまの肩に手を置き

「大納言様にはぜひお願いしたいことがありますの」

鼻にかかった甘い声で(ささや)いた。


はぁ?

何してんの?!!!

誰の目の前で誘惑してるのっっ???!

思わずブチギレそう!!

(その7へつづく)

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