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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)
196/505

EP196:伊予の事件簿「決裂の偶像(けつれつのぐうぞう)」 その10

 数日後、勅令がでて、大神(おおみわ)己生(みき)の屋敷に(かくま)われている、渤海(ぼっかい)国皇子・(だい)封﨏(ふうえき)検非違使(けびいし)によって逮捕された。

取り調べを受けた後、渤海(ぼっかい)国に送還されるとのこと。

(だい)封﨏(ふうえき)は母国で兄の皇太子を暗殺しようとした罪で逃亡し、貿易船に乗りわが国へ密入国した。

大神(おおみわ)己生(みき)は協力者たちの一人だった。

兄さまは彼らの挨拶が皇族への作法だと気づき(だい)封﨏(ふうえき)について調べたらしい。

協力者のうち大神(おおみわ)己生(みき)の屋敷の使用人を取り調べ、飴と鞭を使って(だい)封﨏(ふうえき)の身元を白状させた。


兄さまは

(だい)封﨏(ふうえき)は彼らの憧憬の対象だった。

だがその敬意のせいで私に身元を明かしてしまった。


憧れの対象である偶像は

いつか壊れるべきなのかもしれない。」


私の頬に触れ、見つめながら呟いた。


渤海(ぼっかい)国の人々の理想の皇子像


私の中の理想の恋人像


兄さまの中の理想の恋人像



理想を形づくる偶像は行動の原動力になるのかもしれないけど

独りよがりの思い込みかもしれない。



過去の恋人への嫉妬をやめられないけれど

手放した愛情を補って余りある

新たな愛すべき一面が見つかるかもしれない。


ひび割れた偶像のそのままで

慈しむことができるかもしれない。


『優しい兄』をやめた時平様は


私にとって


もっと、ずっと


愛おしい、大切な人になった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

イスラム教ほど徹底して偶像崇拝禁止をすれば、幾何学や化学が発達するというのも、示唆に富んでますよね!

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