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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)
180/505

EP180:伊予の事件簿「疆界の三稜鏡(きょうかいのさんりょうきょう)」 その2

 文にある通り、廊下に出て白い紙を引き、太陽光を水晶に通して紙に映るようにしてみた。

自分の手の影と水晶の縁の影が映り、部分的には水晶の中を通った光が白く集まったように見えた。


『それが現れる場所に立つものとは?』


って何?何のこと?白い光?

サッパリ意味が分からない。


こんなときは・・・・!

ちょっと考えて辺りを探し回り、庭で雑草取りをしてる姿を見つけた。


影男(かげお)さんっ!!ちょっと来てっ!」

手招きして呼び寄せる。


いつもの無表情の三白眼に

「この文を読んでみて!で、これの意味わかる?」

水晶を手渡し丸投げする。


文にサッと目を通し、水晶を手に取りクルクルと回して


「三角柱の横面を太陽光と垂直になるようにすると・・・」


白い紙に影男(かげお)さんの手の影とその中に水晶を通った光が虹色になって落ちた。


「へぇ~~~!そーゆーこと?この水晶に光を通すと虹が見られるのね!凄ーーーーい!!」


感嘆の声を上げた。


「これは三稜鏡(さんりょうきょう)(プリズム)です。水晶でも透明度が高いものを使用しないと作れない、貴重なものですね。」


自分でもやってみようと三稜鏡(さんりょうきょう)を返してもらい、角度を調節して白い紙に虹ができるのを確かめる。


凄ーーーーーい!楽し~~~っっ!

太陽の光の中に虹の色が全部混じってるのねっ!

茶々にも見せてあげなきゃっ!


「兄弟そろって(とりこ)にしている気分はどうですか?」

不機嫌そうに影男(かげお)さんが呟く。


『は?』と顔を上げると


「そんな貴重なものを簡単に贈り、熱烈な求愛の文を送り続けてるんでしょう?その文を他の男に読ませるなんて上皇侍従が気の毒だな。」

三白眼の目の端を吊り上げ、眉をひそめる。

いつもより不機嫌さが倍増してツンケンしてる。


ん~~~~、まぁ、そうかもしれない・・・けど、

「だって、やましいところはないんだもの。忠平(ただひら)様と浮気するつもりなら誰にも見せないわ!でしょ?」


「大納言以外の男の心は(もてあそ)んでもいいと?」

ギロっと睨みつける。


ムムッ!でもっ!

気を引いた覚えは一切ないしっ!

勝手に言い寄られてるだけっ!

正直迷惑だしっっ!


・・・とか言い返そうとしたけど、影男(かげお)さんのいう事も一理あるなぁと思いなおし

「そうね。二度としないわ。私の文を兄さまが廉子(やすこ)様に見せてると思うと嫌だものね。」

反省した。


気持ちを切り替え『そうだ!』と本題に戻り

「で、じゃあ『虹』が出る場所に立つものって何?知ってる?」

期待を込めてワクワクと答えを待つ。

(その3へつづく)

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