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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)
172/505

EP172:伊予の事件簿「鎮魂の花祭(たましずめのはなまつり)」 その3

私は困り果て

「だってぇ~~!北の方や若君や姫君と仲良く家族の団らんしてるところに、どのツラ下げてノコノコ割り込めるってゆーのぉ?」

口をとがらせる。


少し遅れて

「えっ?疫病神(やくびょうがみ)って何?陰陽師がそういったの?」

ヤバッ!危なっっ!!

聞き捨てならないことを聞き逃す(スルーする)ところだった!


竹丸は他人事なので楽しげなのを隠さず

「そうです!若殿(わかとの)が突然夜中に目を覚まし、『黒い人影が自分の寝ている周囲をぐるぐると歩き回っている』と廉子(やすこ)様に告げたので、心配なさって知り合いの陰陽師に相談されたんですよ!で、若殿(わかとの)を見せてその診断が『疫病神(やくびょうがみ)が憑いてる!』ですって!」


二日前の発作もあるし心配になり

「お祓いしてもらった?それっていつのこと?まだ疫病神(やくびょうがみ)が憑いてるってこと?だからxxx寺へ参拝に行ってお祓いしてもらうの?それで治るの?疫病って何の病?症状は?薬師に薬をもらったほうがいいんじゃないの?」

早口でまくし立てる。


腕を組んで、したり顔で頷き

「ハイハイ。陰陽師にお祓いは、してもらいました。でもまだ具合は悪そうです。病と言っても熱や(せき)がでるとかどこかが()れてるではなく、時々、眩暈(めまい)と頭痛・吐き気があるそうです。

目がチカチカしたり変なものが見えるとも言ってました。

薬師はな~~~~~んにもわからないそうです。

他人に感染す(うつ)る疫病ではなさそうです。

xxx寺へは祈祷も目的の一つです。」

次々と質問を(こな)した。


心配のあまり黙って考え込んでいると

「心配なら一緒に行けばいいのに!若殿(わかとの)はそのつもりですよ!」

気軽に言う。


「だって、廉子(やすこ)様はきっと不愉快なハズ!せっかくの家族旅行を邪魔されれば!

ただでさえ気にくわないだろうし。

もし私が廉子(やすこ)様の立場なら許せいないし!」


そう!それよっ!!

将来、兄さまに別の恋人ができて私たち(子がいる想定ね!)が(ないがし)ろにされて目の前でイチャつかれでもしたら!!

考えただけでもゾッとする。

怒りでフツフツと鳥肌が立つっ!


でもその怒りを今、廉子(やすこ)様は私に向けてると思うと、怖いなぁと思う反面、申し訳ないなぁといたたまれなくなった。


「やっぱり行かないっ!上手くやれる自信がないしっ!怒りの火に油を注ぐだけな気がするしっ!」

下手したら食べ物に毒でも盛られかねない。

うん。やっぱり行かないのが正解。


竹丸は不思議そうに

「姫の勘違いですよぉ!なぜ廉子(やすこ)様が嫉妬深いと思ったんですか?そんな人じゃ全然ありませんよぉ!

若殿(わかとの)の宮中の恋人たちには(くし)白粉(おしろい)の贈り物まで用意して若殿(わかとの)に持たせたくらいです!」


それは、えぇ~~とぉ~~~、身につけるもの・・・は『特に』怖い。


竹丸を(さと)すように

「嫉妬深くない女性なんていないのよっ!兄さまを愛していないならあり得るけど、そんなはずないでしょ?」


今度はう~~んと竹丸が考え始め

「そうですねぇ。

廉子(やすこ)様は若殿(わかとの)眩暈(めまい)の発作を起こしたという話を侍女から聞いたとき

『殿はご自分では意識してらっしゃらないけど、大勢の女性を(もてあそ)ぶことに対して罪悪感に(さいな)まれてらっしゃるのよ!

そのせいであの発作が起きるの。

わたくしが注意してさし上げたのだけど、お分かりになったかしら。

きっと女遊びをおやめになれば発作は治まるでしょうねぇ。

それにしても、近頃の女房は針仕事もろくにできないようね!

(みじ)めな御針(おはり)の小袖を殿に着せて!

刺繍(ししゅう)だって一体何の花かも分からないぐらい粗末な出来だったわ!』

と言ってました。

どういう意味でしょう?

若殿(わかとの)が実は無意識に女遊びを後悔してて、その罪悪感が病を引き起こしてるとでも言いたいんでしょうか?」


う~~ん。あの桃の花を刺繍した小袖を廉子(やすこ)様が見たのね。

仕立てに関してはぐうの音もでない。

・・・・みすぼらしい小袖を着せてゴメンナサイ。ちょっと反省。


でも、兄さまが私と付き合う事に罪悪感を持ってるのが病の原因?って本当?!

(その4へつづく)

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