EP169:伊予の事件簿「吉備津彦の桃(きびつひこのもも)」 追記
「吉備津彦の桃(きびつひこのもも)」のストーリーは『その7』で完結しており、以下は付け足しです。
R15?R18?でしょうか?ご不快な場合は、無視していただけますと幸いです。
小袖をやっと縫い終え、桃の枝の刺繍もさし終えたので兄さまに
「これをどうぞ!もしよかったら着てください」
兄さまは受け取らずに立ち上がり両手を広げた。
「着替えさせて」
「もうっ!甘えてっ!」
口をとがらせながらしぶしぶ固く結んである腰の紐をほどこうと集中する。
一生懸命結び目をほどこうと
指先に力を入れるけど固くてほどけない。
熱い息遣いを耳元で感じると、なぜか焦ってくる。
鼓動が速くなる。
兄さまに聞こえるんじゃないかと
思うぐらい大きく脈打つ。
顔が熱くなって頭がクラクラした。
やっとほどけてホッとしながら衿を開くと
艶やかな筋肉がむき出しになった。
形よく盛り上がった胸や
四角く連なったお腹の
硬く締まった筋肉
触れれば柔らかで弾力のありそうな
肌はしっとりしていた。
その下は、と視線を落とそうとしたけど
恥ずかしくて見れずに顔を上げ急いで後ろに回った。
背中から衣を脱がせると
くっきりとした肩と盛り上がった腕の筋肉に見とれ
思わず触れたくなった。
衣の袖を腕に通し、また前に戻って衿を合わせると
両腕をグッと掴まれた。
「なぜ下を見ない?」
は?何?見られたいの?
嘘でしょっっ!
カーっと頭に血がのぼり、焦って
「は、恥ずかしいからっ!」
上目づかいで見ると
不安そうな目をしてた。
「気持ち悪い?」
急いで首を横に振ったけど
本当は少し怖かった。
先に進むことが。
他の人の何かを
体の中に受け入れることが。
大好きな人だったとしても。
ほんの数回の
指で触れられただけの行為でも
以前とは違う
これまで知らなかった
感じ方や、感情の、萌しに戸惑っていた。
兄さまが自分で腰ひもを素早く結び、裾をヒラヒラさせ桃の花の刺繍を見つけると
「裾の衣が重なったところにしてあるのか。普通にしてたら見えないように。凝ってるなぁ」
面白そうに呟いた。
腕を取り胸に引き寄せ抱きしめられた。
「ゆっくりでいいよ。」
小さく呟く。
うんと頷き、
艶やかな張りのある胸に
唇を押し当てた。
「ありがとう。」
呟きながら、
温かい躯幹を、
ギュッと抱きしめ返した。