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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
本編(恋愛・史実)
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Ep14:さらぬ別れ

<Ep14:さらぬ別れ>

時平が帰った後、浄見が穆子内親王の傍に座って

「お母さまって静かな人だと思ってたからきつい言葉に驚いたわ。」

「私だっていつまでもめそめそしてられなかったのよ。私が弱かったからあなたを失ったし、

定省にはあなたを攫われたけど、育ててもらった恩もあるから強く出れなかったの。ごめんなさいね。」

「いいのよ。母さまのもとで育ってたら、兄さまに会えなかったわ。兄さまに会えないなら生きてる意味がなかったもの。」

穆子は眉をひそめて

「そこまで想ってるならどうして素直に帰らないの?先が短いことは知っているのでしょう?」

「兄さまは私を信じなかったの。だから自業自得だわ。それに二度と会わないと言ってしまったもの。

それに・・・多分お腹に子供がいるの。お母さま、私をどこかに嫁がせてください。この子を育てたいの!

この子と一緒にいれば兄さまと一緒にいるのと同じだわ。」

浄見は自分を奮い立たせるように言った。


穆子内親王は浄見の父・在原棟梁に知らせ、浄見と藤原国経(時平の伯父)との婚姻を手配してもらった。

国経は70過ぎの老人だったがお腹が大きくなる前にと浄見は急いで嫁いだ。

藤原国経は、浄見のような若い美人が70の老人に嫁ぐ事に、後ろ暗い理由があることは薄々察知していた。

しかし、一目見ると浄見が美しいだけでなく、聡明で純真なことがわかり何の不満ももたなかった。

それどころか、周囲にその美しさを自慢するほど溺愛していた。


時平が再び穆子内親王の元を訪れ、浄見の様子を尋ねると

「あの子はもう嫁ぎました」

と言われた。

時平はその言葉をすぐには信じようとしなかった。

しかし、穆子内親王は頑として譲らず、同じことを繰り返した。

「せめて、どこに嫁いだかをお聞かせ願えませんか」

「それはあなたに関係のないこと。未練がましい」

とまで言われた。

時平は考えた。

最近嫁をもらった貴族の一覧表を手に入れ片っ端からチェックしたが、浄見を思わせる人はいなかった。

穆子内親王の交友関係が分かれば、嫁ぎ先が分かるかもしれないと思った。

宇多上皇・・・は何か知っているはずだと思った。


宇多上皇を訪ねた。

「平次よ。この頃よく来るがそなたには何も言うことはない。」

「穆子内親王と関係のあった男は誰ですか?」

「わしが知ってると思うのか?」

「穆子内親王が子を産む時期まで把握してらっしゃったということは相手の男のことも知っていらしたでしょう?」

「知らんわ!思い出したくもない!忌々しい!お前も出ていけ!」

と激怒されて追い出された。

時平は、宇多上皇が激怒したある事件について思い出した。

たしか殿上の間の御椅子にある欄干が壊れたいきさつとして在原業平と宇多上皇が相撲をとったという話を聞いた覚えがあった。

穆子内親王の出産は在原業平死去の3年後だから、在原業平と勘違いした誰か・・・ということは在原何某か?

嫁を貰った一覧表で在原の関係者を探した。

果たして在原棟梁の娘が時平の伯父・藤原国経に嫁いでいた。

時平は伯父の寵愛する自慢の美人室を横取りする算段をしなければならなかった。

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