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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見と時平の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)
120/505

EP120:清丸の事件簿「天邪鬼の柑子(あまのじゃくのこうじ)」 追記

「天邪鬼の柑子(あまのじゃくのこうじ)」のストーリーは『その5』で完結しており、以下は付け足しです。

R15?R18?でしょうか?ご不快な場合は、無視していただけますと幸いです。

 私のつきまとい(ストーカー)だった藤原恒槻(ふじわらつねつき)大納言(にいさま)への傷害罪で検非違使(けびいし)に捕まり、軽症だったとはいえ兄さまの傷が完治したころ、あの事件以来はじめて大納言邸に里帰りし、私はやっと兄さまと夜を過ごすことができた。

『酸っぱい柑子(こうじ)』の意味が分からなかった私は

「つまり、忠平様は何をしたかったの?」

と聞くと兄さまは難しそうな顔をし

「浄見のことを『甘い蜜柑(みかん)』だと思えば手に入らなくて悔しいから『酸っぱい柑子(こうじ)』だと自分に言い聞かせてるんじゃないかな。」

う~~~ん、じゃあと思って

「忠平様は私を手に入れたいってこと?」

兄さまが真剣な顔になって私の目を見つめ

「実を言うと四郎が浄見に片想いしてくれた方がまだいいと思ってる。少なくとも上皇に差し出す気はなくなるからな。」

以前はあんなに嫉妬してくれてたのに今は全然何も感じないの?と物足りなくなって

「そういえばあの事件のとき忠平様に抱きついたりしたかも~~」

と上目遣いで反応(リアクション)を気にしながら言ってみると、兄さまは顔色一つ変えず

「私と間違えたんだろう?渡殿(わたどの)から見てた。気づいて後ろに飛びのいてたのまで。」

とアッサリというので面白くなくなった。

あの時の不安で心配な気持ちがよみがえった私は思わず

「傷を見せて!本当に治ったの?」

兄さまは下紐を解いて右の脇腹当たりを見せてくれ、灯台の薄明りの中顔を近づけてよく見てみると五寸(15cm)ぐらいの皮膚が裂けた部分がまだうっすらと赤みを帯び表面は乾燥していたけれど少しでも触れると痛そうだった。

「これでかすり傷なの?まだ痛そう!」

とまるで自分の傷のようにヒリヒリとした痛みを想像しながら身を引くと、傷のそばのお腹辺りの筋肉がうっすらと四角い形が連なって浮き上がってるのが見えた。

「う~~ん!やっぱり竹丸のお腹とは全然違うわねぇ~~!あの人ブヨブヨだったもの!」

と感嘆の声を上げると、兄さまがピクリと眉をひそめ不機嫌な顔つきになり

「竹丸の腹を見たのか?なぜ?いつ?もしかして触ったのか?」

と怒りを含んだ声で言うので『え?誤解してる?』と焦って

「違うわっ!見てないわっ!触ってみろというから指でついてみたの!(ころも)の上からよっ!そしたら指がめり込んで入っていくからブヨブヨだったってこと!」

兄さまは『ふうん』と口をとがらせたかと思うと私の手をとり自分のお腹に持っていった。

兄さまのお腹に指先が触れるとしっとりとした薄い皮膚の下に硬い弾力のある筋肉を感じ今まで触れたことのない感触に驚き、自分の身体がいかに筋肉がついて無いのかを思い知った。

う~~ん二の腕とかお肉がある部分はプヨプヨだし、そのほかは(ほね)ばってる気がする。竹丸のこと全然悪く言えないなぁと反省。

「今度はこっちの番」

と兄さまが私の下紐を解き、(ころも)(えり)を開いて肌を露にした。

やっぱり緊張して胸で浅く呼吸していたけど、今度は兄さまの指が触れるとその部分がピクリと震えた。

お腹のあたりから上に指先で軽く触れていくのでくすぐったいような逃げ出したいような変な気持ちになった。

ある部分になるとその刺激に特に敏感になり、痺れがそこから広がり、喉の奥から鼻に抜けるような、不意に驚かされたときのような、自分でも聞いたことのないような声が無意識に漏れ、それにもビックリした。

自分の声じゃないみたいなのがイヤで声を出すのを我慢してると兄さまは触るのをやめ(ころも)(えり)を合わせた。

私が下紐を結ぶと兄さまは私を抱き寄せ

「我慢しなくていいんだ。それが聞きたいのに」

と耳にささやくので恥ずかしいようなホッとしたような、気持ちいいような悪いような色々な感情に困惑した。

(ころも)ごしの背中におかれた手が動くときの感触にまで反応して声が出そうになるので焦って

「もう寝ましょう!眠くなってきたわ」

と兄さまの体を押しのけ手も振り切ると、兄さまは寝ころびいつものように腕枕を出してくれたけどそこに頭を乗せると考えただけで眠れそうになかったので

「今日はいいわ!腕をよけて」

と腕をどかせて兄さまに背中を向けて寝転んだ。

兄さまが後ろから抱きしめるように腕を回してきたのでその手が動かないように指を絡ませガッチリ手で挟みこんで固定しムリヤリ目をつぶって寝息をたてて眠り込んだフリをしたけど、本当に眠りにつけたのはしばらくしてからだった。

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