EP114:清丸の事件簿「後宮の万葉(こうきゅうのまんよう)」 追記
「後宮の万葉(こうきゅうのまんよう)」のストーリーは『その5』で完結しており、以下は付け足しです。
R15?R18?でしょうか?ご不快な場合は、無視していただけますと幸いです。
桐壺の怪異を解決した後、私の房を訪れた兄さまの直衣を脱ぐのを手伝っていると、そのすぐ下の衣の襟元に紅がついてるのに気づいた。
直衣をたたんでいると、袖に何か入っているのに気づき取り出すと文を細くたたんで結び目を作ったものだった。
ちょっと悩んだ末、結び目をほどいて開いて中を見てみると
『昨夜のように情熱的に愛されたことなど、今までに一度もありませんでした。もう一度大納言様と身も心も重ね合わせたいものです。』
と書いてあった。
ハイ、浮気確定ーーーーっっっ!!!
と思わずプツンと頭の神経がキレたのを感じた私は兄さまにその文面を顔の前に差し出して押し付け
「コレ何?」
と低い声で呟いた。
兄さまは文面をしっかりと読み平然と
「誰かのイタズラだろう。こんなことをした覚えがない。」
と言うので私は紅の付いた衣を見せつけて指さし
「コレは?これもイタズラ?」
と詰めると兄さまはちょっと焦って
「こ、これは多分今朝、堀河邸で着替えたとき、手伝ってもらってた廉子が突然倒れかかってきたのを受け止めたときについたんだ。」
「ふぅ~~~~ん」
と全然納得してない顔で口をとがらせて横目で見てると、兄さまがにっこり微笑み面白そうに
「何?妬いてる?」
と聞くので、ムッとした私は
「別にぃ。他の人とはできるんだぁ私とはムリでも。」
と嫌味っぽく言うと兄さまもムッとした顔で
「嫌がってるのは浄見の方だろう?そっちこそ本当に私と結婚したいのか?そーゆーことをしたいと思っているのか?」
と真面目な口調で聞いてくるので、したいもしたくないもよくわからないから
「だから、別にしてもいいって言ってるでしょ!したいかどうかなんてわからないもの!したことないのに!」
とまっとうな事を言ったつもりなのに兄さまは寂しそうな顔をして私の頬に触り
「浄見は誰かに触れられたいとか口づけされたいとか、触れたいとか口づけしたいと思ったことないの?そういう人が浄見が本当に男として『好き』な人だよ。安心するとか落ち着くじゃなくて、ドキドキするとかゾクゾクするとかそういうの。」
兄さまの顔をじっと見て私は
『この人はずっと何を言ってるんだろう?私の口から言わせたいんだろうか?』
と思いながら
「そんな人いないわ!
・・・・(あなた以外に)」
ときっぱりと言うと兄さまはビックリして目を見開き、ショックを受けた表情で口を開けては何か言おうとしては何も言わずを繰り返しついには黙り込んでしまった。
唇に触れていた親指も離して引っ込め
「そっか。まぁ仕方ないな。私は『兄』だもんな。そういうのにはなれないんだろうな。」
と目を逸らして呟くので、またイラっとした私は
「じゃあどうするの?別れる?嫌いになった?好きだって言ったのも嘘?」
と詰めると兄さまは傷ついた泣きそうな顔をして
「こっちだけ好きでもしょうがないし、無理強いはしたくない。浄見を傷つけたくない。」
またそれ?とウンザリしたけど
「何度も言ってるけど、私は兄さまに何をされても傷つかないっ!って言ってもまだそれを言う?結局兄さまは私みたいな子供体型は相手にできないと思ってるんでしょ?胸とかお尻とかが『ない』からそういうことできないんでしょ!」
と自分でも思いがけず涙をこぼして叫んでた。
兄さまが私の顔を両手で掴み荒々しく引き寄せると唇に噛みつくように口づけた。
舌を絡ませた後、歯で軽く舌を噛むのでびっくりして引っ込めると追いかけるように侵入して動き回った。
絡み取られ吸い取られると頭が痺れて全身の力が抜けそうになるので、身体が離れないように首に腕を絡ませてしがみついた。
長い口づけのあと、唇が離れると額を合わせながら私が吐息まじりに
「『男として好き』じゃないと本当に思っているの?」
こんなに触れたいと思っているのに?
こんなに口づけしたいと思っているのに?
でも触れられたいかどうか考えたことなかった。
そしてこの前、素肌の胸を兄さまに触れられた時のことを思い出した。
愛しいこの人の指が触れると想像した。
あの時は恥ずかしすぎて緊張しすぎて何も感じなかったけど、目の前にいる愛しいこの人の一部が私の肌に触れると想像しただけで敏感になった。
触れると想像した部分が震えそうな気がした。
そこから全身にゾクゾクとした痺れが走り抜けるような気がした。
どこかが変な気持ちになった。
「・・・触れられたい人がいるわ。一人だけ。」
と兄さまの目を見つめると、上気したそれでいて少し不安そうな目をしていた。
胸に抱きついて顔をうずめ
「本当にわからないなら教えてあげない。好きなだけ待ってればいいわ。」
と兄さまに聞こえないぐらい
小さな声で呟いた。