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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見と時平の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)

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EP108:清丸の事件簿「揺動の心柱(ようどうのしんばしら)」追記

「揺動の心柱 (ようどうのしんばしら)」のストーリーは『その5』で完結しており、以下は付け足しです。

R15?R18?でしょうか?ご不快な場合は、無視していただけますと幸いです。

大納言邸に帰り、兄さまと添い寝しながら夜を過ごしているとふと思い出して


山茶花(さざんか)を添えた文ありがとう。xx寺で切ってもらったのね?」


というと


「そう。たまには恋文でもちゃんと送ってみようかな~と思ってね。普通の恋人同士みたいに。」


と照れた口調で呟いた。


昼間の茶々(ちゃちゃ)のことも思い出して、そうでなくても過去の恋人が続々とミミズのようにどこからか湧き続けているのに、新しい恋敵(ライバル)候補も日々着々と増え続けている!と心配になって自分の立場がいつ誰かに取って代わられるかもしれない、いまだに乙女だしと悩んだ。完全な恋人関係にならなければ兄さまを引き留められないかもしれないと不安でいっぱいになって思わず


「いつでも覚悟はできてるのよ。どうしていつも口づけだけで終わるの?」


と身体を起こして、隣でねている兄さまの胸に腕を乗せ頬を胸にあずけて呟いた。


兄さまがビクッとしてモゾモゾと上半身を起こすので、私も両手をついて体を起こし顔を向かい合わせる形になった。


「浄見は・・・何するかわかってるの?」


と驚いた顔で言うので


「う~~ん、多分。話は聞いたことはあるわ!大体のことは知ってるつもりだけど。」


と頷きながら言うと兄さまは


「子供ができるかもしれないのにいいのか?」


「うん。兄さまの子供を育てたいし、いつかは妻にしてくれるんでしょ?じゃあ早くてもいいじゃない?」


と深く考えずに言うと兄さまは深刻な顔をして


「女性は出産のときに命を落とすことが多いんだ。もし、浄見がそんなことになるぐらいなら一生出産なんてしなくてもいいと思ってる。」


「それは、一生そういう行為をしないということ?兄さまはそれでいいの?私はちゃんとした恋人になりたいんだけど。本当に私のこと好き?」


と根本的な疑いが出てきて恨めしそうにジトッとにらむと急に顔を近づけてきて口を唇でふさいだ。


口づけられながら下紐のあたりで手が動いて、ほどかれているのを感じて『どうしよう!もうすぐっ!?』と興奮と緊張でドキドキが止まらなかった。


衣を脱がされ裸の上半身を見られてたときは、恥ずかしいと思う反面、何をどうすればいいのかわからず、ただただドキドキしすぎて浅い呼吸で自分の胸が動いているのを感じ、兄さまの顔も見れずうつむいたままじっと待っていると、兄さまが手を伸ばして私の胸を触った。


胸の上で手が動いているのを何をしてるんだろう?としばらくジッと見ていると兄さまは触るのをやめ脱がせた衣を着せると


「ちょっと用足しに行ってくる」


と立ち上がってどこかに行ってしまった。


えっ?と思ったけど、ホッと緊張が解けた私は下紐を結び、冷えた体を温めようと単衣(ひとえ)をかぶって寝ながら待っていると兄さまが横に寝転んだので


「もう終わりなの?何もしないの?」


と顔を見つめながら聞くと、兄さまが腕を伸ばすので私は頭を浮かせその腕枕に頭を乗せた。


兄さまは寝返りをうち私と顔を見合わせながら頬を触り


「浄見にはまだ早いのかもしれない。それとも・・・」


と少しためらい、苦痛の表情で


「気持ち悪かった?触られるの?やっぱり無理なのかな。恋人にはなれないのかもしれないな。」


と言うので『何?一体何があって何の判断(ジャッジ)があったの?』と焦った私は


「何を言ってるの?どうすればよかったの?」


と泣きそうになった。


兄さまは私を胸に抱きしめ


「いいんだ。一生このままでも構わない。浄見は何も気にしなくていい。」


というので私はホッとして抱きついて眠ろうとした。


よく考えると、心配は一向に無くなってないなぁと思ったけど、とりあえず今はこのままでもいいか。


****************


 時平は浄見が興奮を覚えた素振りもないことに戸惑い、愛されているという自信を失いかけたが、かといってこの先、他の男に浄見を譲るつもりは毛頭なかった。


例え浄見が一生そうであっても、それはより清純な無垢を具現化した存在として浄見を崇拝する意識が芽生えるだけで、時平にとってはますます理想の恋人としての神聖性を増すだけだった。


幼子に欲望を覚えた自分を罰するためには、浄見はそれに不感であるのが必然だとすら思えた。


ただそれは、本能的に希求する女性としての魅力だけではなく、性欲による幻惑と焦燥と淫猥を超越した幼子の神性に触れ、汚したいという背徳的な誘惑を魅力として加え、いっそう時平を虜にした。


何もせず葛藤を持ったまま浄見と一生を過ごしても構わないと思った。


しかし、浄見はそれを望んでいないかもしれないと考えた。


普通に、生物的に望むように、女性として愛され、子を産み育て、成長を見守り、子らに看取られて生を終えたいと願っているかもしれない。


もしそうなら利己的・独善的な理想を浄見に押し付けるわけにはいかなかった。


もし近い将来、自分が浄見にとって男として欲望の対象にならなければ、そのときはキッパリと手放そうと決意した。


欲望に絡めとられない『愛』を実践するためには浄見が不感であることは喜ばしいことだが、時平はやはり自分の男性としての生物的欲求を蔑ろにはしたくなかった。


不潔で不安定で制御できない焦りに付きまとわれた衝動であっても、唯一求める魂を分けた相手と一体化し至上の喜びを分かち合える幸福を、何か大きな存在によって許されているなら、それを味わうことは生きる目的の一つであると感じた。


これを単なる『性欲』というならば、時平はやはり浄見に、最もそれを覚えたのだった。


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