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貴女の好みは?

読んでいただいてありがとうございます。王妃様の暴走が止まらない気がする今日この頃です。

「お疲れ様でしたね、メリッサ」


 シキと黒猫のルキが王妃に連れていかれてからしばらくした後、メリッサは王妃の私室へと呼ばれた。私室には王妃とシキ、それに聖霊であるルキとウンディーネがいた。第一等級の聖女である王妃ならばルキの正体にすぐに気が付くと思ったので、シキとルキが連れていかれた時も黙っていた。

 事実はメリッサの想像のはるか斜め上をいく姉と兄と妹だったのだが、それを知らないメリッサはシキとルキが連れていかれたのは、特級の聖女と聖霊の為だと思っていた。


「メリッサ、この2人…というか1人と1匹ですが、分かっているとは思いますが特級聖霊と特級聖女です。しかもシキはすでに2体目の特級聖霊と契約を交わしているという問題児です」


 ……問題児?まさかの王妃の発言にメリッサはえ?というような顔をして王妃を見たが、当の本人はいたって真剣な顔をしていた。


「問題児ってひどくない??まだ、何の問題も起こしてないのに」

「ええそうですね。ですが、やらかします。間違いなくやらかします。ってゆーか、もうやらかせばいい。そしてこの国を一度更地に…!!」

「ユ…!じゃなくて、王妃様!落ち着いて。まだ更地にする予定は無いから!!」


 あ、一応、まだ更地にする予定は無いんだ、『まだ』、だけど。


 王妃の物騒な発言の後にされたもっと物騒なシキの発言にメリッサは一瞬、意識を飛ばしかけた。

 今日は本当に色々とあった。

 王子たち高位貴族の子息が突然お茶会を開いたと思ったらいつも通り公爵令嬢であるヴィクトリアにいじめられて、我慢が出来なくなって神殿の裏庭に行ったら特級聖女とその聖霊に出会って慰められて、心が軽くなったと思ったら目の前で特級聖女が2体目の特級聖霊と契約を交わした姿を見て、挙げ句の果てに王妃様と大聖女超えの特級聖女が生まれ育ったこの国を更地にする発言をしている。

 何だろう、厄日なのだろうか?それとも逆に始まりを告げる祝福された日なのかも知れない。

 今まで生きて来た中でもこれほど濃い1日は無いだろう。そしてこれから先もきっと無い、と信じたい。


「…失礼。メリッサ、悪いけれどおね…じゃなくて、シキとルキのことを貴女にお願いしたいの。注意事項としては、シキは本能タイプでルキは理性タイプよ。何か問題が起こった時は、まずルキに相談をするといいわ。けれどこんがらがってどうしようもない感じの時はシキを巻き込めばいいわ。気が付けば綺麗に治まってるだろうから」


 王妃様がやたらとこの1人と1匹に詳しい。疑問に思うけれど、自分が受けた印象がまるっとそんな感じなので否定をする気も無い。

 要するにだいたいの物事はこの1人と1匹に丸投げすれ良い、という事だろう。


「かしこまりました。責任…は持てないかもしれませんが、シキとルキはひとまず私がお預かりします」

「ええ、お願いね。それと貴女を決してあの馬鹿(第一王子)の婚約者になどさせませんから安心してちょうだい。ところで貴女の好みの男性はどんな方なのかしら?私のオススメはやはり年上の方ですけれど、同じくらいの年齢の方がいいのかしら?それとも思い切って年下?性格はどんな方がよろしくて??俺様系?腹黒系?情熱の激しい方というのも有りね!」

「……え?…??」


 うきうきな感じでしゃべられても困る問いなのだが、王妃様が年頃の少女のようなきらきらした目で聞いてきた。


「そこまで、王妃様。だいたい年上の出来るオジサマは貴女の趣味でしょう?メリッサ様だって急にそんな事を聞かれても困るだけじゃない」

「えー、コイバナしたい」


 自分の知っている王妃様はどこに行ったのだろう。王妃様はいつでも冷静に話しをされる方で、聖女の中の聖女のような方で、この国を実質支えている方で、何なら冷静すぎて氷の王妃様とか言われている方のはずで……こんな、コイバナしたいとか言う方じゃなかったはずなのだが…それに、出来る年上が好みだったんだ…年上でも出来の悪い国王なんて最初から相手にする気も起きないはずです…。


「気にするな、メリッサ。アレは昔っからあんな感じだ。身内には優しいが敵には容赦が無い。味方につけば頼もしいんだがなぁ。まぁ、自分の好みをこれでもかというくらい我が儘に伝えておけば探し出してくれるぞ。アイツ、本当に他人のそういう事には真剣になるからな。お前は近所の世話焼きお婆かっての」


 黒猫様の呆れた様子にますます王妃様が理解不能な人物になっていったのだが、いつも王の隣で凛として立っている姿よりも、今この場にいるオジサマ趣味の王妃様の方がメリッサには好ましく思えた。

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