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第三百八十八話 結婚式を前倒しに

「やっぱり結婚式が早まりそうだから、準備してだって」

「了解だよ。というか、早めに終わらせた方が良さそうだね」

「来賓が披露宴の料理を楽しみにしているのもあるけど、人神教国が何をしてくるか分からないからね」

「本当にアイツラは迷惑だよね」


 教会に来賓を全て運んできて、控室にいるメンバーに結婚式が早まるのが確定したと伝えた。

 事前に話をしていたので、エステル達も準備万端となっていた。

 エステルだけでなく他の人も溜息をついている辺り、全員が人神教国の行動に呆れているみたいだ。


 そのまま俺は結婚式会場となる教会堂の前に向かった。

 扉の前には、今回の結婚式を仕切る枢機卿のパウロ様が待っていた。


「すみません、急に予定が早まってしまって」

「いえいえ、皆様準備万端ですし何も問題ありません」

「披露宴はともかくとして、何とか結婚式だけは無事に終えたいですね」

「そこは心配いりませんよ。聖女サトー様の結婚式ですから、誰も邪魔はできませんぞ」


 枢機卿は全く心配していないのか、にこやかに笑って教会堂の中に入っていた。

 何だか俺も少し気持ちが落ち着いたぞ。

 そこに俺の後ろからミケ達がやってきた。

 ミケ達はフラワーガールとフラワーボーイをやるので、天使みたいな服装をしていた。

 この中にはルキアさんの結婚式で同じくフラワーガールとフラワーボーイをした子どもが混じっている。


「サトー様、子ども達に大役を任せて頂き有難う御座います」

「オリガとマリリさんの時はできなかったので、その分楽しんで貰えば良いですね」


 子ども達の着付けをしていたルキアさんが話しかけてきた。

 ルキアさんは安定期に入ったので、色々と動いているようだ。


「しかし、また人神教国ですか。何かあったら私も戦いますわ」

「いえいえ、妊婦さんが何を言っていますか。お腹の子を優先にして下さい」


 ルキアさんも怒っているとはいえ、先ずは自分の体を大事にしてほしいよ。

 わかったといってルキアさんも教会堂に入っていったけど、絶対に分かっていないだろうな。


「大丈夫だよ。ミケ達がルキアお姉ちゃんと赤ちゃんを守るよ!」

「是非そうしてくれ。ルキアさんは安定期に入ったとはいえ、安静にしてもらわないと」


 ここは何かあった時は、ミケ達に頑張って貰わないと。


「只今より、結婚式を開始します」


 おっと、中から声が聞こえてきた。

 何だか急に忙しくなったから、緊張する暇もなかったな。

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