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第三百七十七話 エステルへの罰

「これ、こっちだよ」

「それはあっちだよ」

「はーい……」


 入園式後王城に行くと、何故かエステルがララとリリの指導を受けながら書類の分別を行っている。

 どうもこれが今日の罰らしい。

 文官の才能がゼロのエステルは、早くも頭がオーバーヒートしそうだ。


「はあ、この子ったらソフィーとジュリエットを部外者立ち入り禁止の所に案内しようとしていたのよ」

「だから、皆とは別のタイミングで出かけたのかよ」

「いくら学園生活を紹介したいとはいえ、隠れてコソコソするのは良くないわね」


 監視でフローラ様も来ていたが、本当にどうしようもない理由だな。

 

「ララとリリも、遠慮なくエステルを指導して良いぞ」

「「はーい」」

「えー!」


 エステルが絶望的な悲鳴を上げているが、今日はキチンとやってもらおう。


「仕事効率が落ちる……」

「レイア、諦めろ。罰なのだから」

「地味に、その言葉は痛いわよ」


 レイアのぼそっと言った言葉が、エステルには深く突き刺さっていた。

 帰宅する時間まで、エステルはキリキリと働かされていた。


「疲れた……」

「うーん、こんなにも酷いとは」


 結局エステルの仕分けた書類はもう一度確認する必要があり、二重の手間となってしまった。

 エステルは、本当に文官の才能がないなあ。


「はあ、仕方ないわね。罰の続きとして、明日の花嫁修業をもっとグレードアップしますか」

「お母さんの鬼!」


 フローラ様も娘のダメダメっぷりに、文官作業は諦めた様だ。

 花嫁修業でどんなキツイ事をされるか、エステルの顔色は若干青くなっていた。


「「「「「ただいま」」」」」

「おかえりなさい、皆さん集まっていますよ」


 フローレンスに出迎えられながら帰宅し、着替えてパーティ会場へ。

 既に今日入園した子ども達と何人かの親は食事を始めていた。

 どうも平民の親は遠慮してきていないらしいが、それでも多くの子どもが参加している。

 

「「「カンパーイ」」」


 そして、いつもの通り偉い人達が部屋の隅を占領して飲んでいた。

 子ども達もこの光景に慣れているのか、スルーして近づいていない。

 そういえば、入園式での俺の反応について子ども達に聞いてみよう。


「いつもエステル先輩にサトーと呼び捨てで言われていたので、ライズ伯爵だと思わなかった」


 この回答が一番多かった。

 そうか、エステルは俺の事を呼び捨てで呼ぶもんな。


「いつもエステル先輩にこき使われていたので、エステル先輩の侍従かと思った」


 次に多かったのがこの回答。

 そうだよな、年中エステルに色々されているよな。

 

「エステル先輩が、サトーは私の召使いって言っていた」


 これが三番目。

 おい、エステルは子ども達に何を吹き込んでいるんだよ。

 というか、エステル絡みが多いじゃないか。

 

「エステル、ちょっとこちらに」

「お母さん、耳を引っ張らないで!」


 この結果にフローラ様が反応した。

 特に三番目の回答は駄目だろう。

 明日の花嫁修業のメニューが、更にパワーアップしそうだ。

 

 因みにうちの関係者で一番権力があるのは、王妃様達という結果に。

 この結果は、俺達も含めて誰も否定はしなかった。

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